第三百五十二話 会談(アフロディーテ画像有、なお衣装に透過機能はありません)
アフロディーテの3Dできました。
もっと大人っぽい感じにするつもりだったんですけど、VRoid正式版扱うの今回が初めてで・・・。
あと髪型はもっとゴージャスにしたいです。
テンプレの髪型少しいじくっただけなのです。
<視点 引き続きケイジ>
「美しい・・・。」
四肢を封じられ、一枚の薄衣を纏っただけの、長いウェーブのブロンドヘアーの持ち主・・・。
その物憂げな瞳は半目を開いてオレ達を見下ろしていた・・・。
目を凝らせば、その衣の透けた後ろも見えそうではあるが、
下卑た感情は一切湧いてこない。
どちらかというと、優れた美術品に見惚れてしまったかのような、完璧なプロポーション・・・。
うちのタバサやアガサすらも、蕩けるような表情でその女神を見上げてしまっている・・・。
見ようによっては、後ろの樹木に囚われているかのようだが、
今の自己紹介を聞く限り、「世界樹の女神」というならば・・・
世界樹・・・
えっ、世界樹の女神!?
それ今、初めて聞いたぞ!?
そう言えば先程ラプラスが世界樹と言っていたのは・・・
あの空から見えていた巨木の大地の下にある部分が、今オレ達が目の前にしているものなのか!?
「これは・・・樹木と一体化しているように見えるが・・・
何がどうなって・・・それ、後ろの・・・世界樹なのですよね?」
司会進行はカラドックに任す。
オレがやると迂闊なことを言いそうになるからな。
知りたい事が出来たら気を付けながら質問しようと思う。
「はい、私が転生者だというのは配下の者達からお聞き及びかと思います。
前の世界で一度死に・・・気が付いたらこの世界でこのように世界樹の中で目が覚めました。
さらにはステータスウィンドウとやらに『世界樹の女神』と・・・。
もう、最初の頃は何が何やらと・・・。」
溜息をつくかのように女神? は目を伏せる。
これは男の庇護欲を掻き立てるな・・・。
さきほどは美術品のようだとは思ったが、あくまでそれは動かない時の話。
声も挙動も表情も、油断すると自制心を失いそうになる。
ベアトリチェの時は「誘惑されそう」になるのを堪えれば良かったのだが、
今回は向こうに「誘惑する気」は全くない、・・・筈だ。
なのに目を放せなくなっているのは・・・いや、
何か甘ったるいような匂いもだ。
感度のいい獣人の鼻が恨めしい・・・。
カラドックは大丈夫か?
「お、おい、カラドック、大丈夫か・・・?」
「あ? ああ、大丈夫だ、ケイジ・・・。
コホン、それで・・・
この世界での世界樹信仰については多少聞いていましたが、
まさかその世界樹に女神が・・・いえ、それも私達の世界から?
そもそも女神アフロディーテとは・・・ギリシア神話に出て来る女神のことなのですか?」
そうだ、オレも名前くらいは知っている。
愛と美を司る女神だよな?
そんなものが実在しているのかって話なんだが・・・。
「・・・私としては『闇の巫女』、麻衣様ですか、
早めに彼女の力に頼りたいところなのですが、
元の世界のよしみでといいますか、
ラプラスさん達以外の人たちと喋る機会もないですからね、
どうぞ、席に腰かけてください。
ゆっくりと話しましょう。
私も皆様に興味があります。
皆様の出自やお名前はステータスで見えますが、軽く自己紹介などをしていただけると・・・。」
そこでオレたちの方も自己紹介を・・・あ。
「ステータス」は見えると言っていたな。
まさか隠し称号も見えるのか?
一瞬ヤバいかと思ったので、先に転移者を優先ということにして、
カラドック、メリーさん、麻衣さんの順番で紹介してもらった。
さすがに未来から来た人形のメリーさんには驚いていたが、
オデムが事前に伝えていたっていうか、ある程度は女神の方でも転移者は最初から認識していたらしい。
その上で「ハーフ妖魔」の麻衣さんにどんな反応するか?
麻衣さんは普通に「向こうの世界からやって来た人間」として名乗っていた。
もっとも、彼女はステータスウィンドウの表示は隠蔽を使ったままにしているそうだ。
だから通常の鑑定では、麻衣さんが妖魔とは誰にもわからない。
つまりマルゴット女王やベアトリチェのように魔眼クラスでないと、「妖魔」種族とのハーフであることは見破れないのだ。
ではこの女神の目には・・・。
だが、女神は麻衣さんの種族については何も追及しなかった。
女神の目には隠蔽された情報は見えないのだろうか。
それとも視えても気にしないだけなのか・・・。
ならオレも・・・。
ただ、オレの場合、ステータス隠蔽は麻衣さんのものより強力なのか、
マルゴット女王にもベアトリチェにも隠された称号は視えなかった。
見抜かれるとすれば、魔眼の更に上位の能力がある場合だが・・・。
ちくしょう、こんな事なら事前にラプラスにでも釘刺してもらってた方が良かったな。
後の祭りではあるが。
心臓をバクバクさせながらオレは自己紹介する。
オレの今の懸念に気付いているのは耳のいいリィナと、
事情を知っている麻衣さんだけだ。
「・・・冒険者パーティー『蒼い狼』のリーダーを務めてるケイジだ。
内緒ごとが多いんだが、そろそろグリフィス公国の元首マルゴット女王の甥であることを公表することになっている。
ま、オレのことはどうでもいいので、
カラドック達転移者の三人は、ほとんど何の説明もなくこの世界に飛ばされて来たらしいから、できれば彼らの力になってやってくれ。」
我ながら嫌らしい説明だよな・・・。
「・・・わかりました。
お役に立てるかどうかはわかりませんが、後程お話を・・・。」
・・・通った!?
一瞬、間があったような気がしたけど、
スルーしてくれたのか!?
冷や汗をかきながら続いてリィナを紹介・・・
彼女が異世界の李那という人間にそっくりという話はしない。
するとしたらカラドックに任せるしかない。
そしてタバサとアガサ、魔族ヨルの紹介をして、
再びカラドックにバトンを渡す。
そう思っていたら、一通り紹介したところでダークエルフのアガサが前に出る。
「・・・深淵の黒珠を欲しがるものが世界樹の女神となれば、
交渉次第で魔法都市エルドラとスムーズに話が通った可能性大。
特に森都ビスタールのリボン祭りに、ラプラス商会を食い込ませる交渉力があればなおさら。」
「・・・それは」
女神が言いかけた所でラプラスが割って入る。
「申し訳ありません、それは私めらの独断です。
交渉は可能だったかもしれませんが、深淵の黒珠はダークエルフの街エルドラでは日常の生活に直結していると聞いていただけに、交渉は不能と判断しました。
何よりマスターの秘匿性を鑑みて、『世界樹の女神』とは明らかに出来ませんでしたので・・・。」
エルフ達は基本的に世界樹崇拝が多いそうだからな。
なんでも人族でも金枝教ってのが世界樹崇拝をメインにしているらしい。
まぁ、アガサも今更この場を糾弾の席にしようとは思っていないようだ。
それこそ、一言くらい言わないと気が済まなかっただけらしい。
意外だったのは、その件に関して女神があっさりと謝罪したことだ。
「大変申し訳ございません、
このことが済んだら、深淵の黒珠は返却いたします。
それとお詫びになるかはわかりませんが、別室にラプラスさんが商売で集めたお宝がたくさんありますので、持って帰れるものがあればお好きなように・・・。」
「ふおおおおおおおおっ!?」
アガサの胸が波打つ!!
なんだ!?
風向きが変わったぞ?
世界有数の盗賊バブル三世が集めたお宝だとぉっ!?
あ、でも盗品ならあまり大っぴらに売り捌くわけにも・・・
いや、商売で集めたって言ってたか?
ならば真っ当なものと考えていいのだろうか。
アガサとともにラプラスの方を見ると、「仰せのままに」とでも言わんばかりに頭を下げる。
「これはスーパーファイナルエリートダークエルフアガサ、英雄的凱旋の予感!!」
胸を揺らせていきり立つアガサ。
「出世するのか、アガサ?」
何の気なしにこぼした一言だが、そこでアガサも我に返ったようだ。
「あ・・・エルドラ魔法兵団で出世しても先は兵団長止まり・・・。」
女教皇を目指すタバサのようにはいかないか。
そこでカラドックの有難いお告げが飛んでくる。
「・・・なんならアガサは研究職とかに・・・
いや、エルフの街には冒険者ギルドがないんだっけ?
完全に転職してエルフ界初の冒険者ギルド長を目指すってのは?」
「・・・おお! 世界中の冒険者の最高権力者!!」
いや、カラドックが言ったのは、あくまでエルフの地域のギルド長だったはずだが、
ん・・・それでもいいな。
最終的にはそこまで目指してもらってもいいかもしれない。
「そうだねぇ、邪龍討伐済めば確実にウチらSランクだよね。
たとえ一時とは言え、それでパーティー解散してもSランクの肩書は消えないでしょ。
それなら総ギルドマスター狙うってのもアリだよね?」
リィナも賛成のようだ。
タバサが女教皇でアガサが総ギルドマスターか。
なんか知らんが凄いな。
カラドックが再び暖かい目で見ていたが、
いつまでも内輪で捕らぬ狸の皮算用していても始まらない。
カラドックは女神の方を向いて話を戻す。
「一通り紹介が終わった所で、先程のお話に戻りますが、
あなたのような強大なサイコエネルギーの持ち主ならば、
仮にも大陸最大国家の王たる私の耳に入らぬ筈がありません。
できましたなら、詳しくあなたの出自をお聞きしても・・・?」
「・・・そうですね、では私のことを少しお話いたしましょう。」
それから、
オレたちはまたもや信じられない話を聞かされることになる。
今度ショックを受けるのはカラドックの方だと、この時点では誰にもわかるまい。
まあ、オレだってまた驚いたけどな。
あれ?
いつの間にかメリーさんとオデムが仲良く手を繋いでいる?
「あら? そう言えば、オデムはマスターの名前教えてもらったの?」
「うん、あの後ここに戻って来た時に教えてもらったー。
みんなでマスターマスターって呼ぶから、オデムに名前教えるの忘れてたんだってー。」
画像は実際のポーズとは少し違います。
両腕は水平より上の角度で樹にめりこんでいます。
動いてる姿をご覧になりたい方はこちらを。
https://hub.vroid.com/characters/404788844387209162/models/1454972951662454989