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第三百四十四話 後始末

クィーン編が今回で終わると言ったっけ?

すいません。

それは嘘です。

<視点 カラドック>


魔人クィーン・・・ベアトリチェが死んだ。

この黄金宮殿に来るまで、魔人との交渉次第では魔人を打ち倒す状況も当然に想定はしていた。

しかし結果はこのような形で終わる。


これで良かったと言えるのだろうか?

すくなくとも、これから人間・亜人社会から子供が産まれなくなるということはないだろう。

その意味においては冒険者パーティー「蒼い狼」の快挙である。


残った問題は「邪龍」と、

そして新たに浮上した問題は「魔王」か・・・。




む?

ケイジ達が戻って来た。

後ろから見ていただけだけど・・・やっぱりアイツ泣いていたのか。

「ケイジ」も「リィナ」ちゃんも、麻衣さんも、

ミュラとは面識ない筈なんだが、おのおの言わずにはいられなかったんだろう。


・・・思い出すよ。

私達の世界で恵子さんが亡くなった時を。

直前まで死相が浮かんでいた筈なのに、

あの時・・・死に際の恵子さんの顔はとても美しかった・・・。

優しそうで・・・そして幸せそうな・・・。


しばらく後になってからだっけかな。

父上が天使の能力で、恵子さんの苦痛を全て取り払っていたと気づいたのは。

そしてその時、確信したんだ。

父上が人間の心を失ってなどいないことに。

恵介も気づいていた筈なんだが・・・

あいつはそれを正直に受け止めることができなかったんだろうか・・・。



 「・・・ケイジ、お疲れ・・・。」

 「う、グスッ、いいや、なんてことはない。」

無理しなくていいぞ?

どうせ、自分の母のことを思い出していたんだろう?


 「やっぱりほっとけなかったか?」

 「・・・うるさい、余計なお世話だ。」


その余計なお世話をしてあげたのはケイジの方では?

ああっと、リィナちゃんも様子がおかしいね。

 「リィナちゃん、どうしたの?

 そんなソワソワしちゃって。」


 「えっ? あっ、い、いや、その、

 あたしもなんか初対面の・・・しかも赤ちゃんになんかマジに言いたい事言っちゃって、その今になってなんか・・・

 ていうか、あの子が・・・その、カラドックの世界のリナって子に・・・

 ほ、惚れてたって、言うの?」


 「ああ、まあ、直接口説いたとか、求婚したとかそんな話は聞いてないけど、

 状況見ればすごく分かり易い態度してたからね、ミュラは。」


そしてそれに対して、恵介がめっちゃ嫉妬心剥き出しにしてたからね。


 「そ、それって、その、あれ・・・

 肝心のリナって子は、どう反応してたの・・・?」


うん? 気になりますか、リィナさん?

ケイジがガル?と牙を剥く。

 「ちょ、おい、リィナ!?」

 「い、いやさ、気になるだけだよ!

 あ! ミュラの方じゃなくて、異世界のあたしとか言われてる方がさ!」


ああ~・・・これ、この兆候は・・・。


 「あ、ああ、うん、リナちゃんの方は・・・」

 「おい待て、カラドック!?」


落ち着いてくれケイジ。

別に君に不利になるようなことは言うつもりないからさ。


 「リナちゃんの方は・・・ミュラを恋愛対象には見てなかったと思うけど、

 かなりのめり込んでる気配はあったな・・・。

 一人ぼっちになったミュラをほっとけないって・・・。」


 「・・・あああ~・・・。」

後ろを振り返って溜息をつくリィナちゃん。


 「なんか、凄い納得してそうな表情だね・・・。」


 「いやそれ、めっちゃわかる・・・。

 こう、なんていうか・・・こっちの母性本能直撃するような、あのつぶらな目で拗ねられると・・・、

 あ、でもほら、あたしだけじゃないよ?

 今も、向こうの女性たちがミュラを取り合ってんじゃん!」



なるほど、そしてそんなミュラがこっちの世界で魔王として生まれてきたってことか・・・。


 「あれ?

 麻衣さんも母性本能刺激されちゃった?」


麻衣さんも何か、石のように固まっちゃって・・・?


 「い!? いえいえ、

 あたしの方はそういう訳じゃないんですけど、

 あたしの場合、自分がちょっと調子に乗り過ぎちゃったっていうか、

 なに、あたし偉そうにお説教してんだろうと思って・・・。

 基本あたし、他人のプライバシーには関わらないようにしてるんですけど、

 こっちの世界に来てから何度も・・・、どうも勢いに飲まれちゃってっていうか、

 少し自己嫌悪気味になっちゃって・・・。」


そう言えば、麻衣さんもお母さんを亡くしている筈・・・。

多分だけれど、麻衣さんが声を掛けた理由は、自分の境遇と姿を重ね合わせたからではないだろうか。

もちろんこの場でそれに言及するつもりはないけども。


私が答えを返す前にケイジが横から口を挟む。

 「・・・それは気にする必要ないぞ、麻衣さん、

 それでみんなが助けられている。」


 「え、ええええ・・・。」


 「ケイジの言う通りだよ、君はみんなを救っているんだ、自信を持っていいと思う。」


 「あああああ、いえいえ、やめてください、

 これ以上、あたしをおだてないでください!

 昔から調子に乗るとろくなことないんです!!」


 「ははは、その時は私もケイジもみんなで君のフォローをするさ。

 なぁ、ケイジ?」


 「愚問だな、カラドック。

 言うまでもない。」


 「うううう、ありがとうございます・・・。」

かわいいよね、この子。

娘が産まれていたら、こんな子に育ってくれてもいいなと思う。


さて、

こっちはそれでいいとして・・・

この場をまとめないとな。


 「ミュラ・・・

 悲しみに浸っているところ申し訳ないが、

 いつまでもこうしているわけにも行くまい。

 少し話をさせてくれ。」


話をするために、彼らの方へ近づくと、

ミュラよりも、周りの女性陣に睨まれた。

ちょっとへこむ。


 「・・・話って・・・?」

ミュラも赤ん坊の体格でこっちと会話しようとする姿に違和感しか感じないな。

私が男だからか、女性陣と感性が異なるのだろうか。


 「君の出生の状況については、後で彼女たちに教えてもらうといい。

 いま、私が話さねばならないのはこの世界についてだ。」


私は簡単にだが、この異世界において、

ベアトリチェが不老不死を得るために、死んだ人間の魂を邪龍に捧げていたことを説明した。

そして私達がそれを止めに来たことも。


 「恐らく今回のことで、世界から子供が産まれなくなることは回避できただろう。

 だが、次に直面するのは邪龍がこれから復活するであろうことだ。」


 「邪龍・・・お母様を殺したヤツ・・・だね?」


ミュラの瞳に明確な怒りと憤りの感情が見える。

麻衣さんのような感知能力など要らない。

当然の怒りだ。


 「そうだ、この世界の歴史から考えて、

 邪龍と交渉したり共存する道はなさそうだ。

 ・・・ヒューマン、亜人社会と全面対決になるだろう。」


 「そう・・・今はたくさんのことを考えられないけど・・・

 けじめはつけさせてもらうよ・・・。」


 「きみならそう言うと思ったよ、

 ではどうだろう?

 我々と一緒に来ないか?

 お互い、力は知っているよね?

 君と私が手を組めば一国の軍隊どころか、国そのものでさえ滅ぼせるだろう。」


 「・・・何気に恐ろしい事を言うな、カラドック。」


ケイジが怯えている。

二人の異能力者が同時に術を展開したら凄まじい結果になることを予想できたみたいだな。


 「どちらが魔王かわからぬぞよ?」


マルゴット女王、何を言うのです、

あなたが私の立ち位置にいたら、絶対に同じようなことを仰るでしょうに。


ミュラの方は黙ってその状況と展開を計算しているようだ。

 「・・・。」


だがここで横やりが入ってしまう。


 「なりませんっ!!

 こことは違う世界の話はどうでもよいですが、

 ミュラ様は魔王!!

 魔族を率いるお方です!!

 人間社会に渡してなるものですか!!」


メイド魔族のメナだったか。

そう言えば、各個人がてんでんばらばらに生きている魔族も、魔王の名のものとに結集するんだったっけ。

・・・厄介だな。


がそうなると?


 「君たち、『聖なる護り手』のみんなはどうするんだ? 

 君らはヒューマンとエルフだろ?」


「聖なる護り手」リーダーのダンと、ハイエルフのオスカ、そして残りの死霊使いと僧侶の少年が顔を見合わせる・・・

いや、他の連中を無視するかのようにハイエルフ、オスカが荒々しく口を開く。

 「私たちはクィーンの愛するお子様を守護します!!」


そう・・・なるか。

 「ダン・・・もそれでいいのかい?」


 「・・・そうさなあ、

 ああ、まあ、オレらは自由にやらせてもらうさ、

 しゃーねーわな?」

ダンの方は義理に殉じているのだろうか。


 「魔族としてはヒューマンが自分たちの周りにいても?」

私はメイド魔族に問う。


 「・・・ヒューマンが自分たちの意志で我らに付くのなら、それを排斥する理由は有りません・・・。」


なるほど、ある程度、意見は固まっているようだね、

すると後はこっちか。


・・・ふぅ・・・今まで先延ばしにしていたけども・・・

私も覚悟を決めないとね・・・。


 「カラドック?」

ケイジが不思議がって声をかけて来るが、君にもすぐにわかるさ。

これから私が何をしなきゃならないのかを。




 

次回、修羅場。


追伸、

物語に関係ないけど昨晩、夢を見ました。

自分の夢の中に自分の作ったキャラが現れてくれるのは楽しいものです。


昨晩はリナちゃんのパパである朱武くんが現れました。



女性の姿で・・・。


あれ、寝る前にTSものの漫画読んだせいだ・・・。


性格はオレ様キャラで全く違和感なかったんですが、

短いスカートでなんの恥じらいもなく、股おっ広げで・・・



意外とアリかも・・・。



朱武

「ちょ、おい!?」

梨香

「あたし、これからお姉ちゃんて呼べばいいの?」


あらゆる拳法に精通し、

雷撃を意のままにする。

戦闘時はスカートのサイドジッパーを上げるのが、お決まりのルーティーン・・・。

 「見せパンだから、安心しなよ?

 あ、残念だと思ったあ?」


うん、いいな。



少年

「オレはこれからどんな態度でヤツと接すれば・・・」


でもそれやると

アスラ王=朱武疑惑を物語内で使えなくなるなあ。

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