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第三百三十四話 第二ラウンド

・・・あ、あれ?

日付間違えた?

前回のアップ日は28日・・・?

え、てことは昨日更新しないといけなかった?

ああああああああああああっ!?


もうしわけありません~っ!!

<視点メリー>


久しぶりね、

・・・と言った方がいいのかしら?


誰に対して?

それとも何に対してと思われるだろうか?


答えはいろんな意味でよ・・・。



少なくとも今、私の目の前で、ニメートルを超す巨体の魔物が一匹・・・

鬼人というらしい。

なんでもオーガに人間並みの知能を得た存在だとか。


なるほど、これは珍しい魔物と言っていいだろう。

恐らくその身体能力も、通常のオーガよりも遥かに上回っているに違いない。

そして身のこなしも洗練されている。

これまでの経験や知識を技術として、昇華させているようだ。

討伐命令を与えられた冒険者では、生半可なパーティーでは一分として前に立つことは出来ないだろう。


そして何よりも、

通常の人間には視えることもない、あの巨体を包む圧倒的な怨念の渦・・・

いったい、これまでどれほどの人間の命を奪って来たのか・・・


以前、ゴブリンの巣を殲滅したことがあったが、

この鬼人の纏う瘴気はその比ではない。


子供を引き裂いて、まだ息のあるうちに下劣な行為に身を任せ・・・

寝たきりの女性を無理やり床に叩きつけ、抵抗する事すら許さず、その女性が息を引き取っても腰を動かすことを止めなかった・・・。

それも、愛する妻と娘を失った男の眼前で。


あの家族が味わった苦しみ、絶望、恐怖は如何ばかりか・・・。

それだけではない。

この魔物はどこへ行っても同じような行為を繰り返した。

いきなり人間を襲うことはせずに、

まずはコミュニケーションをとってから・・・。


そんなおどろおどろしい情念が何重にも何層にも分厚く積み重なって凝りついているのだ。

強い霊感の持ち主なら、その瘴気に近づいただけで気を失うか、発狂するかに違いない。


だから私も自らの感情を全て閉じる。

この魔物によって犠牲となった者達の恨みの念は、

余すところなく、この死神の鎌ゲリュオンが貪りつくす。


視える?

いいえ、普通の人間の目には視えないでしょうね?

いまや、この鎌の内なる刃はかつてないほどの切れ味を誇るだろう。

鉄壁の防御?

なにそれ?


すぐに魅せてあげるわ?

ほら。



お豆腐を切るより簡単だったでしょう?


鬼人の足元に、彼の左腕がボトリと落ちたわ。



 「きっ! きっさっまあああああああああああああああああっ!!」


あらいやだ?

鬼人の顔に血管が浮かび上がって、口から泡も吹いているじゃない。

よくみると左腕の断面からも泡がでているわ。

まさかもう再生が始まっているの?

さすがにいきなり左腕は生えてこないわよね?

もうそこまでいったらナメップ星人並みだわよ?


左腕の付け根から小さい指先が生えてきても気持ち悪い。

それならまだ、斬り落とされた腕を繋ぎなおしてくれた方がいいだろう。


 「どうかしら?

 あなたも再生できるのよね?

 せっかくだから繋げ直してみたら?」


別に挑発するつもりもないし、もちろん親切心ですらもない。

恐らくだが、あの鬼人も先ほど私が上半身と下半身を繋げたことに対抗意識を燃やしたのかもしれない。


私に憎しみを湛えた視線を逸らさぬまま、震える手で自分の左腕を拾う。

え?


本当に繋げるの?


半分冗談だったんだけど・・・

あら、まあ・・・神経ごと繋がるのに幾分時間がかかったみたいだけど・・・

繋がっちゃったみたい。


 「うおおおおおおおおっ!」

鬼人は歓喜と自らを鼓舞するかのように叫び声をあげる。

うるさいわね、

声の振動で、半壊してる天井から瓦礫が落ちてきてるじゃない。


もう、仕方ないわね・・・。



 「ぎゃああああああああああああああっ!?」



「だから」私は鎌を振るう。

今度は右腕が落ちた。


 「なっ、なんっ、なんなのだぁっ、貴様はああああああっ!?」



何だと聞かれてもね?

 「私はメリー・・・

 いま・・・あなたの横にいるの・・・。」


 「そっ、そんなのはっ! 見ればっわかるっ!!」


まあ?

・・・そういえばそうね。

私が反論せずに佇んでいる隙に、鬼人は繋がったばかりの左腕で右腕を拾う。

せわしないことね。


 「・・・ぐぅっ、何というっ、その鎌のっ、切れ味よっ・・・ならばっ!」


私の目の前から鬼人の巨体が消える。

足元には鬼人のバトルアックスが落ちたまま・・・。


さすがに繋がったばかりの腕では、かなりの重量の大斧を支えるには心許ないのだろう。

痛みも当然あるだろうし。


そして私の背後に一陣の風が吹く。

オーディエンスの皆さんが「後ろっ!」「後ろに!!」と叫んでいるようだ。

「シムラシムラ」と聞こえたのは私の幻聴だろうか。

彼らの言いたいことはわかっている。

鬼人が私の背後に回ったのだろう。

どうやら回し蹴りを放って私の腕を狙っているようだ。


 「スピードはっ! 互角かっ!

 ワシもっ! 貴様の腕をっ、砕かせてもらうっ!!」


あら?

やられたらやり返すってわけ?

嫌いじゃないわよ、その考え方。

・・・でも。


私は戦うつもりはないと言っているのよ?



 「グッヒィィィィイイイイイイイイイイイイッ!?」


私は振り返りもせずに、

死神の鎌の石突の部分で鬼人の左膝を砕く。


死神の鎌の切れ味だけでなく、私のパワーも増大しているのだ。

鬼人の骨を砕くぐらい訳はない。



・・・さて、鬼人とやらは、複雑開放粉砕骨折も再生できるのかしら?

 

さすがに支点の足を砕かれて、

鬼人はそこに尻もちをつく。


まだ右足は健在ね・・・。

両腕も時間が経てば元の頑強さを取り戻すだろう。

私は振り返る。

既に鬼人の頭は私の膝小僧の高さにしかない。

ん?

何か信じられないものを見るような目つきね。


 「バッ、バカなっ!!

 有り得ぬっっ!!

 りゅっ、竜人っ、ゾルケトフのようにっ、

 強力な種族でっ! 類稀な進化を経てきたならわかるっ!!

 かつて戦ったっ、精密なっ土魔法とっ、摩訶不思議な体術を同時に使うっ、

 縦にも横にも大きいっ、ヒューマンにもっ、驚きはしたがっ理解は出来たっ!

 だっ、だがっ! 生き物でさえない人形がっ!

 人形ごときがっ! どうしてっ、この鬼人をっ上回る事が出来るのだあああああっ!?」



どうやらまだ勘違いしているようだ。

この私は鬼人の「敵」ではないというのに。


私は一歩、

また一歩と鬼人に近づく。

鬼人がその気になれば、私の両足にタックルをかまし、未だ凶悪なるその二つの腕で、

二本の太腿を抑えつけられてしまうだろう。


さすがにそこまでされたら、今の私のパワーでも引き剥がすことは出来ない。

おっと、

そうなると、私の薔薇の刺繍のドレスの内側を覗かれてしまうわね?


前回、ホブゴブリンにも欲情されてしまったけど、

この鬼人にもその状態から鼻をクンカクンカされてしまうのだろうか?


ああ、鬼人の視線がドレスの下の私の白い絶対領域に・・・。



ニムエ

「・・・なんとなくですけど、あの人形から私と同じ匂いを感じます・・・!」


メリーさんの中の人

「あ、ほら、私もとは貴族の生まれだから・・・」


麻衣

「え・・・それ、貴族かどうかじゃなくて、

ただの腐j・・・いえ、なんでもないです。」

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