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第三百三話 ぼっち妖魔は引きずっている

ぶっくま、ありがとうございます!

<視点 麻衣>


今現在の話に戻ろう。


この宮殿内はめちゃくちゃな魔力が集まって、とんでもないカオスな状況である。

正直、こんな呑気な解説をしている場合ではない。


この空間を・・・うん、空間と言おう。

そう言い換える理由はすぐにわかってくれると思う。


この空間の恐らく4割ほどの部分をハイエルフのオスカさんによる結界が占めている。

そしてその残りの部分に余すところなくカラドックさん達の精霊術による魔力が渦を巻いているのだ。


更に更に更に!

新たに生まれたロリ妖精ラウネによる土系最大呪文「ストーンシャワー」!!


ストーンシャワーってのは敵の頭上に大量かつ巨大な岩石を出現させ、

その凶悪な重量と、無慈悲なほどの物量で敵の人数が少なかろうが多かろうが、問答無用に圧し潰してしまう防御不能の魔法である。

狭い室内であるならば回避することも不可能だろう。


ただし・・・弱点、と呼べるようなものではないが、

その強大な岩石の群れも、一度落下させてしまえば、後はただの障害物として残るだけである。

岩石の落下にも耐えきれるだけの手段があるならば、必殺の魔法というほどでもないだろう。


耐えきれる事が出来れば・・・である。


ではその凶暴なる岩石群の襲撃が、

「一度で」済まなかった場合はどうだろう?


それも二度や三度というレベルではない。

それが永久に終わらないとしたら?


 「ワーッハッハッハーッ!!

 ストーンシャワーッ!!」


ロリ妖精ラウネのストーンシャワー、

本来であれば敵の頭上に展開する岩石群であるが、

ハイエルフさんの結界に阻害されて、結界空間の手前天井いっぱいに大量の岩石が浮かぶ。


そしてあたし達は漏れなく精霊術者たち三人の周辺すぐ近くに固まって、

「術」に巻き込まれることから回避せねばならない。


そう、いまやこの「空間」は嵐の最中なのだ。

無事なエリアはその嵐の中心地と、ハイエルフさんの結界だけだ!


そしてついに!

悲劇的な破壊のエネルギーを有した岩石の群れが手綱を解かれる!!

通常ならその場に落下するだけなはずの岩石は、

カラドックさん達の精霊術の供物となるのだ!!


 「「うっ!? うわああああああああああっ!!」」



誰の悲鳴かって?

「聖なる護り手」とかいうAランクパーティーの剣士さん達である。


言い出しっぺはあたしになるんだけど、

このすぺしゃるな合体魔法の目的は、ハイエルフさんの結界を吹き飛ばすことで、

誰かを攻撃するものではない。

だから、敵の剣士さんたちが、床にびったりと伏せてくれるなら、

・・・多分、巻き込まれずに済むだろう。


うん、生きた心地はしないだろうけども。


そして・・・

絶対安全圏にいる筈のあたし達でも、他人事ではない。


このそれなりの広さを持っていた筈の「宮殿」は・・・

もう「宮殿」なんて誰も呼べないよね、

妖精ラウネが作り上げた岩石群は、

カラドックさん達の嵐に飲み込まれて、この「空間」全てを無慈悲・無差別・無遠慮に蹂躙・破壊・粉砕し「続けてゆく」!



後に残るのは瓦礫の山・・・なわけもない!!

だって、その粉砕した後の瓦礫すらも、精霊術の暴風雨に巻き込まれて更なる凶器と化していくんだもの。


そしてそれだけで済むとでも?


四方の壁を破壊し、天井すらもどんどん削り取って行けば、

連鎖的にハイエルフさんが覆っている筈の材質の壁や天井も「物理的」に影響を受けざるを得ない。


 「あ、あ、あ、て、天井が・・・!?」

防護対象のベアトリチェさんや、結界術者であるハイエルフさんは無事なんだろうけども、

彼女達の周りに存在していた立派な内壁や天井も崩れてゆく。


もうあとは詰み将棋だ!!



 「オ、オスカ!?

 結界空間が歪んでいきますわよ!?」


 「あっ、はい、はい、いえクィーン!?

 私の魔力はまだっ、・・・あっ、こ、これはっ!?」



そう、あたしの虚術も「空間」の認識が必要だからよくわかる。

ロックワームとの戦いの時には、ゴッドアリアさんの作ってくれた土の檻を境とした!

吸血鬼エドガーの時には、あの屋敷のエントランス全てを境とした!

ケイジさんとリィナさんを救う時は、あの岩場の空間全てを境とした!!


だから「一定の空間」に術が効力を発揮するのだ。

じゃあその「空間」を「一定」でなくしてしまえば?


もはや、かつて宮殿だったこの部屋は、天井の境目がなくなり、

建築資材どころか、もとの針山だった岩の部分が露出し始めている。

ハイエルフさんの結界が、この宮殿・・・この部屋全体に掛けられていたなら、もう少し結界の維持も楽だったろう。

けど違う。

結界は、部屋のどこかのラインであたし達から自分たちの側を区別させねばならなかった。

恐らくもっとも区分けしやすかったのは、

ベアトリチェさんの玉座のために、あたし達の位置の床から、数段高くしている所だろう。


事実、結界空間はそこから先であり、あたしが逆の立場でもそこを目印にする。

けれど、この岩石の嵐で、床も天井も土台からどんどん吹き飛ばしてしまっている。


そう、


えっ? 境ってどこだったっけ!?



となるわけだ!


 「あっ、け、結界が!?」



さぁ、今回も砕かせてもらいましたよ!

まぁ砕いたのあたしじゃないけども!!

 


パギィィィンッ!!




この場にいる誰にもわかるような大きな音が響いた!!

ハイエルフさんの結界が消滅したのだ!


 「カラドック! ベディベールよ!!」

マルゴット女王が大声で合図!!

すぐさまカラドックさん達が精霊術への魔力供給を停止!


とはいっても慣性があるから、岩石群はすぐに止まったりすることはない!!

 「きゃっ、きゃあああああああああああっ!?」



結界という壁を失ったベアトリチェさんたちに容赦なく

岩石の群れが襲い掛かる・・・あ



 「アッ、アースウォールっですわっ!!」


無詠唱でベアトリチェさんが土魔術を展開!

滅茶苦茶濃密な魔力の籠った土壁がせり上がる!!


あ、あれ凄く硬そう・・・。



それでも勢いの乗った岩石はベアトリチェさんの土壁に激突して・・・


なんとか、耐えきったようだね、

土壁ボロボロに崩れたけど、ベアトリチェさんたちは無傷でしのいだようだ。

 

無傷・・・

そう、無傷ではあるけども・・・


 「あ、ああああっ・・・」

 「ヒ・・・ヒィィ」

 「な、なんだよ、今のムチャクチャな術は・・・。」




うん、皆さん心が折れかかっていらっしゃる・・・。

無理もない。


今の攻撃、風魔法で同じ事が出来るかと言えば無理である。

風魔法最大の術、トルネードを併用すれば似たようなことは出来る。

でもあれ、任意の方向にぶっ放すだけだから、

ストーンシャワーと一緒に使うとしたら、

うまくタイミング合わせて、落下する寸前にトルネードを放って岩石群の射出方向を変えるだけしかできないだろう。


戦術の幅を広げるだけなら有りかもしれないが、今回のような継続的な破壊現象を起こす事など出来ない。


あ、理屈だけなら可能かもしれないけどね。

例えば風魔法のスペシャリスト、怪鳥・・・いや、会長ラプラスさんのような精密な魔力を使用できる人なら。

でも、アークレイの領主さんのお屋敷で見せたような術は、規模を小さくしたからこそコントロールを自在にできたんだろう、

術の威力を強めれば強めるほど、そのコントロールは困難になる。


との認識で大丈夫だと思う。

以上、解説終わり!

 

麻衣「ぜ、前回、世界観砕いたのもあたしのせいじゃないからっ!!」


麻衣ちゃん、そろそろ見せ場の準備はいい?


麻衣「えっ!? あ、あたしなんですかっ!?」

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