第二百九十八話 決裂
あれ? 予定時間に投稿されてなかった?
寝落ち?
ちょっと短めですがすみません!
「え・・・と、ベアトリチェさんでしたっけ。」
麻衣さんは何を話すつもりだろうか?
そう言えば、さっき彼女もベアトリチェの味方をしてくれないかみたいな事を言われていた筈だ。
「はい、麻衣様、
百合子さんのお子様のあなたなら、特に大歓迎いたしますわ、
仲良くいたしましょう?」
「あ、はい、えっと、いくつか確認したいんですけど・・・。」
「うふふ、構いませんわ?
なんでしょうか?」
「あの、ママとベアトリチェさんが、その・・・さっきの話で、ベアトリチェさんのもう一つの世界では仲間だったってことは理解しました。
それで、あなたの知っているあたしのママには、
結婚している相手も子供もいなかったってことでいいんでしょうか?」
一度、ベアトリチェは宙を見上げて思い出そうとする仕草を取る。
「あー・・・、どうでしたでしょうか?
あの方は私と違って、無口な方でしたからねぇ、
少なくともあの当時は独り身ではなかったのでしょうか?」
そこで麻衣さんは納得したような顔をした。
いや、むしろしてやったりって表情?
「あら、麻衣様?」
「わかりました。
一応、確認のために聞いただけです。
ベアトリチェさんは、単にママと同じ目的で仕事しただけで、
特に親しかったわけでも、何かの義理があったわけでもなさそうですね。」
ああ、その為の確認か。
なるほど、自分の母親と仲良かったんなら敵対したくはないが、
ただの同僚や仕事上の関係だけというなら遠慮はいらないってことだろう。
それに何よりも、親しかったと言えるのなら、互いの身の上くらい話すよな。
「まぁ、これは失言でしたわ、
せっかく麻衣様とお友達になりたかったのに。」
「勧誘はもう結構ですよ、
あと、こちらからはっきりと言っておきますけど、
あたし達『リーリト』は自由を標榜する種族。
あたし達は何者にも縛られない、従わない。
例えあなたが異世界のあたしのママと親友だとしても、
今のあたしと目的を違えるなら、
申し訳ありませんけど・・・
立ち向かわせていただきます!!」
うおおおお、そこまで言うか!
麻衣さんが頼もしい!!
後光が差して見えるぞ!!
・・・いや、あれ、瞳が輝いているように見える・・・。
「ああ、残念ですわ・・・
でもよろしいのですか?
その言葉はあなた方の主に仕えることをも否定するのではなくて?」
「・・・ええ、自由にしていいそうですよ、
自分に仕えるも敵対するのも好きにすればいいような事も言ってた気がします。
もともと自分が死ぬときは、愛する人間たちに殺されるようなことも言ってたし・・・
・・・あれ、どこでだっけ?」
ん?
いったい何のことだ?
どうやらベアトリチェの方も一瞬顔を曇らせたようだ。
「麻衣様、それは?」
「あ・・・
ごめんなさい、うろ覚えなんで・・・。
でもこれでも一応『闇の巫女』の称号貰っちゃったんで・・・。
あ、あと一つだけ言わせてもらいますと・・・」
「なんでしょう・・・?」
「あなたの不老不死の求め方・・・
きっと間違っていると思うんですよね、
いえ、それなりに効果はあるんでしょうけど・・・
あたしたちの主の方向性と・・・。」
ベアトリチェが席を立った。
そこに先程までの余裕ある表情はない。
「麻衣様・・・
邪龍との契約では不老不死は得られないとでも仰るのですか?」
「あ、い、いいえ、
出来るか出来ないかって話じゃなくて、
それはあたし達の主の目的と全く関係ないですよねってことの確認です。」
ん?
それは・・・アスラ王の本当の目的は・・・不老不死だっていう事か?
でも麻衣さんはたった今、愛する人間に殺されるって・・・
ダメだ、何の話だかさっぱり分からない。
ただベアトリチェの反応はわかる。
これまで不老不死を得るためにいろいろ動いてきたんだろう。
その根幹を揺るがされたら、ベアトリチェも真剣にならざるを得まい。
目的のための障害は排除できるが、目的そのものが幻と消えてしまってはどうしようもないからな。
「・・・そうですわね?
この世界にあの方がいらっしゃらないのであれば、別の手段を手に入れるまでですわ、
あの方と袂を分かつのも仕方ありません・・・。」
その瞬間、麻衣さんはオレの方に首を曲げて見せた。
「・・・ケイジさん、これで話はすべて終わりです。
あたしの方と、あの方とは一切・・・何のしがらみもありません。
この世界であの人のしようとしていることが、大勢の人たちの悲劇に繋がるなら・・・
ここで決着をつけるべきです!!」
どうやら麻衣さんは覚悟を決めたようだ。
彼女の瞳に強い意志の光を感じる。
オレはその光を飲み込んだ後、
カラドック、リィナ、タバサにアガサ、ヨル、
そしてマルゴット女王やベディベール、イゾルテに視線を合わす。
・・・みんな大丈夫のようだな。
パーティー仲間ではないが、護衛騎士のブレモアもニムエさんも・・・
あれ?
今更だけど、ブレモアはともかくメイドのニムエさんまでここにいる必要あったっけ?
ああ、そうか、
あくまで話し合いの時に女王の世話をする為だったっけか。
この際、部屋の外で待っててもらってもいいんだけどな。
まぁ、本人がその気なら仕方あるまい。
・・・いくぞ!
「・・・ああ、残念ですわ?
では皆さま、私を守ってくださいね?」
この場にいるはオレらと同じくAランクの冒険者・・・
相手にとって不足なしだ!!