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第二百九十四話 語れない話

あーっ!

予約投稿時間間違えましたー!

すでにアップ済み?

午前中に校正しようと思ってたのに。

皆様、いつもの時間にお読み直しくださいませ。

誤字とか細かい表現訂正してます・・・。



我ながら紛らわしいタイトルです。  

ちょっと長めなりました。


天使シリス・・・あの男に人間の「心」を学ばせる?

意味が分からない。

麻衣さんはいきなり何を言い出したんだ?


確かに前振りのようなものはあったかもしれない。

ここに来る前に、カラドックがあの男について、人の心を理解してるだの誰よりも優しいだのと、オレが絶対に認められないような話は確かにあった。

あの時の麻衣さんは、認める認めないはともかく、何か納得したような口ぶりだったのも覚えている。


だからそれは置いておこう。

訳が分からないのは、今の話の流れでなんでそんな話題が出たのかということだ。


 「それは一体どういうことだい、麻衣さん!?」


カラドックだって理解できないだろう。

ウィグルとスーサは戦争を行っていた。

その首魁であるシリスとアスラ王が単身同士で激突して、スーサの首都は一切の生命が失われた焦土となった。

そしてアスラ王は生死不明、

天使シリスもカラドックに王位を譲ったのち、一度姿をくらました・・・。


その二人の間に共通の目的がある?

あの男に「人間の心を学ばせる」?


この話の中のどこにそんな余地があるっていうんだ!?


 「・・・麻衣様?

 え・・・と、い、今のは私も理解できませんわ?

 私の前世、そしてたった今明らかになったもう一人の私の記憶からも、そんな様子は受けませんでしたわ?

 まぁ、そもそも、あちらの世界に天使シリスはいませんでしたけども。」


そう、クィーンですら理解の及ばない話。

一体麻衣さんは何を根拠にそんな話を始めたのか?


当の麻衣さんは、「あ、言っちゃった」とばかりに自分の発言に面食らっている。

自分でもよくわかっていないのだろうか?



 「あ、え、えっとですね、

 やっぱり、クィーンさんの世界では少年はいなかったんですね・・・。

 あ、あの、ですね、

 さっきも言ったように、あたしには確証はないんですけど、

 それでも、あたしはカラドックさんとは違う世界の生まれで・・・

 例え一瞬でも、皆さんの知らないあの二人に接しているんです。

 そのあたしが見聞きした話を思い起こすと・・・

 絶対とは言えないんですけど、そういう推測が生まれてくるんですよ・・・。」


一体彼女は何を見たんだ?

オレたちの知らない何かを?


 「麻衣さん、一度話を確認したい。

 少なくとも私たちの世界ではアスラ王と父シリスは対立していた。

 アスラ王の真意は知れないが、彼は常々荒廃した世界を復興するために父と友好な関係を築こうとしていた。

 それに対し、父シリスは一切話し合いを拒否していた。

 もともと圧倒的な軍事力で領地を拡大していたスーサなど一切信用できないというのが表向きな理由でね。

 その後、私や恵介がウィグルに迎えられ、互いの国同士は緊張の一途をたどる。

 そしてついに戦争が勃発するわけだが・・・

 父は・・・アスラ王の全てを認めなかった。

 彼の主張も・・・友好の手も・・・

 彼の作り上げた国家さえも・・・

 息子の私が見ても残酷過ぎるほどにね・・・!

 そんな二人の間に、共通の目的が?

 それこそ有り得ない!!」


麻衣さんは一生懸命考え込んでいるようだ。

カラドックの説明に間違いなはい。

オレも同じ認識を持っている。


麻衣さんはどうしたら自分の言葉がカラドックに通じるのか悩みまくっている。 

 「うう~ん・・・、

 えーと、カラドックさんのお父さんは、天使で・・・

 でも、元は人間だったんですよねぇ?」


 「あ、ああ、そうだね・・・。」


 「なら、もう一人の天使の方もそうだとは思いませんか?」


 「え?」


 「多分ですけど、人間だった時の少年・・・斐山って男の子は、

 天使とは別人格なんですよね?

 ・・・でもその行動には天使の影響が現れていた・・・。

 アスラ王って人もそうじゃないんですか?

 人間の時とそうじゃない時とは人格は別・・・

 でも人間の時からある程度の影響があった。」


 「そ、それは・・・その通りかもしれないね、

 だけど、まだ話が飛び過ぎている・・・!」




 「あ、そこは分かりますわ!!」

クィーンが反応した。


 「もう一つの私の前世で、ルードヴィッヒ様はアーサー様とミィナ様をあの方の生贄になさるおつもりでしたのに、

 あの方は最後の最後でお二人の命を奪いませんでしたわ!!

 完全に覚醒されていたにも関わらず!!

 もうあの方のお姿は人間のものに思えませんでしたのに、きっと人の心が残っていたんですわ!?」


ミィナ?

ミィナって誰だ?

いや、それよりさっきも言ってたけど生贄って・・・!?


一瞬、麻衣さんが嬉しそうな顔をしたのは気のせいか?

 「へ、へぇ・・・そんなことが・・・、

 あ、話を戻すんですけど・・・

 要は人間の時の二人は・・・少年もアスラ王って人も、

 自分自身についての自覚も知識も何もなく、

 復活した時に、自分の使命というかすべきことを思い出すんじゃないかって・・・

 でも彼らは復活する以前から、何らかの下準備というか、無意識的に自分の目的を達成できるように行動している節がある、って言ったらカラドックさん、理解できますか?」


 「そ、それは・・・。」


そのうち、麻衣さんは何か閃いたようだ。

 「あ、この話はどうですかね?

 カラドックさん、あなたのお父さんは『少年』で、

 カラドックさんのお母さんはマーゴお姉さんですよね?」


 「あ、ああ、前に言ったとおりね?」

 「お二人が出会ったのは偶然ですか?」

 「え? そ、それは母の精霊術が導いてくれたという話だけど・・・。」


 「あたしの世界では、マーゴさんを、そのアスラ王って人の眷属がけしかけていました。

 その『少年』とくっつけるようにって。」


 「なんだって!?」

 「あ、と言っても、最初のきっかけだけですよ?

 その後、どうなったかあたしも知らないし、

 あれから二年か・・・マーゴさん、少年を落としたのかな?」


 「・・・意味が分からない、

 なんだってアスラ王側にそんなマネする必要が・・・。」


 「・・・そっち側についてはホントに根拠らしい根拠ないんですけど、

 少年側の理由はわかります。」


 「それは・・・父が人間の心を知るという話かい?」

 「はい、結果は・・・

 カラドックさんは少年が人間の心を理解していると確信されているんですよね?」


 「い、いや、確かにそう思ってはいるが・・・

 それが二人の共通の目的とは・・・」


 「眷属の人はこう言いました。

 人間を知るには人間の心を知らなければならない。

 ・・・苦楽を共にする友人を、

 家族のぬくもりを、

 愛する人を、

 自分の子供を・・・

 それらを得ないで、人間の体に生まれても何の意味もないと。」


 「・・・それは」


 「少なくともその場で彼はある程度の納得はしたようです・・・。」


カラドックが言葉に詰まるのも当然だろう。

それを・・今の麻衣さんの言葉をどう解釈すればいいんだ?


 「そして、それから少年に何があったかは知りません、

でもあたしが夢で見た最後の彼は・・・人の心を理解していたんだと思います。

 最後に・・・いえ、いまはそれだけでも・・・。」


一瞬、麻衣さんがオレに視線を流したようだ。

何かオレに言いたい事でもあったのだろうか。


 「確かに父上は、人の心を理解しようと努めていた・・・。

 そこは麻衣さんの言う通りだ、

 認めるよ・・・。

 でも、アスラ王側の目的がわからない!

 一体なぜ!?」


 「そ、それは、何度も言ってるように根拠もなく、あたしの思い込みっていうか、

 ただ、これだけは・・・。

 あたしはカラドックさんから、そのアスラ王って人が負けたと聞かされても、

 そのまま話を飲み込めないんですよ。

 むしろ、その人は負けた振りをしてるんじゃないかって、

 いえ、さっきの話を続けるなら、

 彼が人間の時は、いくら負けても構わないってことじゃないのかって・・・。」


 「いくら負けても構わない?」


 「つまり、そのスーサという国とウィグルって国との戦争は、

 天使たちの本当の意味での戦いとは全く・・・は言い過ぎかな、

 直接は何の関係もないんじゃないかって・・・

 あ・・・!」


どうやら麻衣さんは自分で喋っていくうちに何かに気付いたようだ。


 「そうか、こういえばいいのかな?

 アスラ王は、天使シリスが人の心を得るまで時間稼ぎをしていた、とか?

 アスラ王本人には何の自覚もなく?」

 

時間稼ぎ!?

なんの?


 「そ、それこそ一体何のために・・・!?」


 「思い付く理由はあるんですけど・・・

 自分でもかなり荒唐無稽なんですよね・・・。

 たぶん、ここであたしの考えを話しても、

 互いに納得も出来ないし、カラドックさんも肯定も否定も出来ないと思うんですよね。

 それで、その上であたしの話をさせてもらうなら、

 そのアスラ王と天使シリスの対立に、

 異世界に来てまで、あたしたちが巻き込まれる意味ってあると思います?」


 「そ、それは・・・。」


 「第一、リナさんて人は、

 アスラ王の孫娘なのに、シリスって人のお子さん達と仲良くしてるんでしょう?

 それこそ今さらじゃないですか?」


ああ、それは確かに。

カラドックもそこは同意したらしい。

これで不完全燃焼だが話は棚上げできるかと思ったのだが、

麻衣さんの一言は、別に棚上げされていた他の火種を燃え上がらせてしまった。



 「そう!

 そちらにいらっしゃるのは、やっぱりリナ様ですの!?

 でも転移者でも転生者でもなく!?」


その話も残っていたか・・・。

この先、話はどうなるんだよ!!


 

麻衣

「な、なんとかごまかし切ったかなっ!?

クィーンさん、そのまま話を流してーっ!!」


カラドック

「宿題、アスラ王の正体と目的、メモメモ・・・。」


麻衣

「・・・あ、あ、あ、う、う、う・・・。」



本日の愚痴・・・

VRoidがバージョンアップしたのに、遊んでる暇がないです・・・。


次回、クィーンのお名前公表です。

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