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第二百七十二話 小手調べ

 

 「エアカッター!

 ウォーターボール!

 ファイヤーボール!

 アイスニードル!

 ストーンバレット!

 ライトニング!」



うぉぉぉっ!?

アガサの無詠唱連続魔法!!

相変わらず呪文の繋ぎが滅茶苦茶早い!


もちろん、詠唱した方が威力も高いが、

詠唱無しでこれだけの呪文を発動できるのが有り得ない。

悪魔どもが余裕ぶっこいて、動きが遅い今だからこそ可能な術だろう。


悪魔の向こうでシグも驚いているな!


アガサの放った魔法は標的のでかい悪魔どもに全て命中!!

・・・だが。


剣を握るベリアルとやらが一人呟く。

 「ほう・・・人間にしてはなかなか・・・

 いや、あれはダークエルフという種族だったか、だがそれまでよのう?」


悪魔全てにダメージが入っていない!?


 「・・・いや、

 痛みは感じておるようじゃぞ?

 もっとも反応があったのはストーンバレットか!

 ウォーターボールも阻害されてはおらんだが・・・もともとの殺傷能力がないからの、

 水系呪文は。」


女王の魔眼が全てを見透かす。

つまり・・・ってことは・・・。


 「なるほど、

 魔術でも物質系のものならダメージは通りやすいという訳ですね!!」

カラドックの言う通りだろう。


 「・・・ならあたしの天叢雲剣も試して・・・!?」

 「いや、リィナはちょっと待て!

 雷属性は・・・まだ!?」

今にも飛び出そうとするリィナを止める。

アガサのライトニングで効果が大してなかったのなら、天叢雲剣も同じ結果になるかもしれない。

剣による直接攻撃は有効なんだろうが、無策で突っ込んでいくのは危険すぎる。



 「いえ、ケイジさん!!

 リィナさんの天叢雲剣は有効です!!

 でも、リィナさん、遠距離攻撃はダメです!!

 悪魔の体内に雷撃を直接ぶち込んでください!!

 それならダメージを与えられます!!」


 「え!?

 麻衣ちゃん!?

 そっ、それ本当!?」


麻衣さんに、何故そんなことまでわかる?

いや、そういえば麻衣さんは天叢雲剣に触って、その性質を見抜いたのか・・・!

ならば信用していいのだろう。


 「・・・なんだ、

 戦いよう・・・あるじゃねーか!?」

少しだけ希望が湧いてきた。


 「ケイジ!

 指揮は任せてもらってもいいか!?」


当たり前だ、頼りにしているからな。

 「カラドック!

 愚問だ!

 オレがお前の指示に従わなかったことがあるか!?」


 「フ・・・ケイジ、

 そうだな、その通りだな・・・。」

ん?

なんか一瞬、鼻で笑われた気がする。

いまの、笑う所か?

いや、今はそれどころじゃないな。


 「だが、なんとかなりそうか?」

 「最悪の手段なら、共倒れになってでもあいつらを封じれるかもしれないが・・・。」


 「それはなるべく避けたいな。」

 「ああ、まずは任せて欲しい、

 『ファイヤーウォール』!!」


えっ!?

カラドックが火系呪文!?

ファイヤーウォールって防御呪文だろ!?

まだ敵から攻撃されてないのに!?

眼前に巨大な炎の壁が噴き出す。

とてつもない大きさだ。

さすがのカラドックというところか。


 「ヨルさん!

 リィナちゃん!!」

カラドックの掛け声で二人が動き出す!


 「魔闘法ですよぉぉぉぉっ!!」

 「あーまーのーむーらーくーもーっ!!」


あの二人に攻撃させる気か?

いま、炎の壁を作って悪魔どもとオレたちの間を分断したばかりなのに?


しかもカラドックの強大な魔力のおかげか、悪魔どもの姿さえも隠す程の大きさだぞ?


あ・・・まさか


そのまさかか!

魔族娘ヨルは、全身の魔力を身体能力に変換!

リィナは精神力を雷に変えて天叢雲剣に帯電!!

そしてタバサやアガサのシールドでカラダを保護したまま!!

あの炎の中を突っ切る気か!!

あれなら悪魔たちに視認されずに、いきなり攻撃を仕掛ける事が出来る!!

それにしても力技すぎるぞ、カラドック!!


 「たりゃあああああああっ!!」

 「やぁぁぁあああああっ!!」


どうだ!?

さすがにオレの鷹の目をもってしても、炎の壁の向こうでは、二人の攻撃が通ったかどうかわからない。

 「リィナッ! ヨルッ!!」

オレの叫びに二人が息を切らせて戻って来た。

良かった、取りあえずは無事か・・・。


 「やりましたですよぉぉぉっ!

 あんの羽の生えた牡牛みたいな奴に切りつけてきましたですよぉぉぉっ!」


 「・・・あたしは冠かぶった豹みたいなやつに・・・

 でも傷は浅かったかもしれないけど・・・行ける!!」


そうか・・・オレたちの攻撃は通るんだな・・・!


マルゴット女王も同じ判断だ。

 「なるほどのう、

 イゾルデよ、そなたも最後尾から矢を放て。

 光属性を帯びさせた矢があるな?

 魔法は効きが悪いが、魔力を帯びた物質による攻撃は有効と。

 分かってきおったぞ?」


 「わかりましたわっ! 母上様っ!!」


だが・・・



 「フッフッフ、

 ザガンにオセよ?

 やられてるではないか?

 久しぶりの現世で、かなり鈍っておるようだなぁ?」


今の声は最初に呼び出されたベリアルか。

防御力・・・ではこいつが一番固そうだが、それまでに一匹でも片づけておきたいのだが。


 「いやいや・・・、

 あの兎娘はなかなかすばしこい・・・。

 これは少し楽しくなってきた・・・。」

セリフからして、この声は豹の姿のオセか。


 「んー、

 ベリアルも人が悪いのー?

 この我がー・・・たかだか角が生えているだけの小娘に後れを取ったとでもー?」

それでこっちは牡牛の顔のザガンとやらか。

・・・自分は角だけじゃなく翼も生えているとでも言いたいのだろうか。



攻撃自体はできる。

それなりにダメージも与えられる。

だがオレの不安は消えない。

何故なら、今まではあくまでこちらの攻撃が通るか通らないかの話。

悪魔どもは未だにオレらに対し、攻撃をしかけてないのだ。



 「「「うわっ!?」」」


突然、何らかの圧力を感じたと思ったら、眼前の炎の壁がこっちに向かって襲ってきた!!

とはいえ、こちらのエアスクリーンが炎の波を遮っている。

火傷もダメージもないが、

カラドックが作り出した炎の壁はいつの間にか消し去られていた。


・・・何が起きた!?


いや・・・最奥の悪魔・・・ベリアルが剣を振り回した直後のような体勢・・・

まさか剣圧で炎を吹き飛ばしたと言うのか!?


だとしたら・・・なんという攻撃力か!?


 「まずい!

 悪魔どもに攻撃する隙を与えるなっ!!」

リィナとヨルだけでは足りない!

オレも・・・そしてイゾルテも頼む!


そこへカラドックの声が飛んでくる。

 「ケイジ! 一手待て!!

 アガサッ!!」



む?

アガサに何かの呪文をさせるつもりか!?

だが、ここで効果的な呪文など・・・。


 「命の根源たる水よ、我が足元に集いて勢いを増せ!」

 

あ、そ、その呪文はぁ!?

 「大地より湧き出でて全てを飲み込め!!

 メイルシュトローム!!」


水系最大攻撃呪文!!

足元から宮殿の天井にまで達するかのような水壁が湧きあがるっ!


こないだアークレイの洞窟でも使用したが、あの時は威力をセーブしていた。

今回はアガサ最大威力で畳みかける気だ!!


もちろん、この水の大瀑布で悪魔どもをどうにかしようという訳ではない!

カラドックの狙いは先ほどと同じく、目くらまし・・・

そして悪魔どもの動きを一瞬でも封じれば・・・


 「「「うぉおおおおおっ!?」」」

悪魔ですら驚くようだな!!

いきなり巨大な津波に襲われるようなものだ。

そのまま波に飲み込まれず、その場に留まれるのはさすがの悪魔と言えようが、

それだけに身動き一つできまい!


行くぞっ!!



引っ張りますよ。

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