第二百四十九話 暴露
あああ、
スマホからアップしようとして
コピペする部分消しちゃったーっ!!
で、でもぐーぐるどきゅなら履歴の復元で
・・・
スマホからは出来なーい!?
ヤバい!
急いで記憶を頼りに文章打ち直したけど
・・・だ、大丈夫かしら?
カラドックの目が見開かれた・・・。
あいつの目ってあんなに拡がるのか・・・って呑気に解説している場合じゃないな。
オレだってびっくりした。
とは言え、
今、名前があがったジェフティさんて人も、オレらが生まれたかどうかという時代に亡くなっているので、オレも会ったことはない。
・・・あの男によく仕えたものから死んでいく。
オレからするとそんな印象ばかりだ。
さてカラドックの反応は?
「麻衣さん!
そ、その名前をどこで!?」
「あ、や、やっぱり現実に存在している人なんですね、
実はちょっと前に予知夢のような、
あ、未来なのか、現在か過去かは分かりません、
それも世界が違うかもしれないし。
あたしが夢で見た光景では、
そのジェフティさんて人と、
加藤さんて女の人、そして、斐山君と呼ばれる男の人がいました・・・。」
な!?
「なんだって!?」
ヤバい、
危うくオレも叫びそうになった。
加藤って、オレの、母さんか!?
「麻衣さん!
君は私の母だけでなく!
父や・・・惠介のお母さんのことも?」
「直接会った事があるのは、少年・・・いえ、その斐山君て呼ばれた人だけですけどね、
あたしと会った時とは別人のようでしたよ。
深い森の中の白い大きな館で・・・。」
その後、麻衣さんはため息をついたようだ。
「やっぱり、斐山君て人、
カラドックさんのお父さんになるんですね・・・、
ダークグレーの髪と瞳をした美少年てイメージなんですけど。」
「・・・間違いなさそうだね、
父の特徴と一致する。
天使シリス、その日本で過ごしていた時の名前が斐山優一だ。」
昔の姿は知らないが、
オレが最後に見た姿も美少年のままだったからな。
まあ、威厳というか、誰も近寄り難い雰囲気を纏っていたからな、
そんな若くも見えない感じだったが。
「麻衣さん、君は父と・・・。」
「いや、カラドック、ちょっと待ってくれ。」
このタイミングでオレは口を挟む。
注意しろ。
勘付かれてはならない。
カラドックには。
「ケイジ?」
「話の腰を折って済まない。
カラドックが父親と麻衣さんの関係を気にするのは当然だと思うが、
転移者・・・それも巫女のスキルを持つ麻衣さんが、
そんな夢を見たという意味の方が気になる。
麻衣さん、いったいその夢にどんな意味があるんだ?」
しばらくしてカラドックが頷く。
納得してくれたようだ。
今の聞き方なら問題あるまい。
「解釈は難しいです。
ただ、かなり奇妙な夢でした。
その場には三人しかいないのに、
その斐山君て人は、もう一人、
その場にはいないはずのエリナさんて人に話しかけてて・・・
それに気づいた加藤さんが物凄く取り乱して・・・。」
・・・な
「なんだって!?
エリナさん!?」
「あの感じだと・・・そのエリナさんて人にとても不幸なことがあって、
みんな心を痛めていたようでしたけど、
その斐山君だけが平然と、
何事もなかったかのように・・・。」
エリナさんの事はオレも母さんから聞いている。
母さんが高校一年の時、
父親とエリナさんは同じクラスで過ごしたという。
明るく活発で、全校生徒の憧れの的だったそうだ。
それにしても、・・・そうだな。
あいつは人の命なんかどうでもいい。
さっきのジェフティさんの時もそうだったらしいが、
自分のために尽くしてくれた忠臣の死にも涙一つ流す事はない。
「エリナさんか、
私も写真でしか見た事ないけど、可愛い女性だったね、
父とは一心同体のように常に一緒に行動を共にしていたそうだ。
母も当時は嫉妬していたらしい。」
「マーゴさんが・・・へぇ?
あ、それでその後、加藤さんが興奮して・・・
その斐山君がエリナさんがいなくなった事を認められない、耐えられない、
だから幻影のようなものを作り出したんじゃないかって・・・
斐山君は誰よりも優しい、誰よりもデリケートだって大声出してたのを覚えてます。」
・・・あ?
な、何を言っている?
何を言ってるんだ、麻衣さん?
あ、あの男が・・・誰よりも
優しいだと!?
あり得ない!!
そんな事など絶対にない・・・!
「・・・それは、なるほど、
父の能力なら可能、かもしれない。
恐らくその時点では父はまだ人間のままだったはずだが、無意識に能力を使っていたのかも・・・。
それに・・・惠介のお母さんの時も・・・。」
「えっ?」
オレは反射的にカラドックを睨んだ。
何を言っている?
オレの母さんの時?
「父は人の気持ちなど分からないと皆んなに思われているかもしれないが、
そんな事はない。
誰よりも・・・優しい。」
バカな!!
オレはカラドックを兄として認めているが、それだけは受け入れられない!
否定する!!
あいつに人間の気持ちなんか理解できるはずないだろう!!
「麻衣さんには初めて話すことかな。
私たちの元の世界で、父と私たちは長い間、離れ離れになっていた。
弟の惠介やその母親、恵子さんや李那ちゃんは日本の片隅で暮らしていてね、
ようやく私たちが、彼らを発見し、
父を連れた私が彼らの元に訪れた時、
もう、恵子さんは手の施しようもない状態だった。
意識もなくなっていてね、
・・・でも、父が、恵子さんの枕元でその手を顔に触れた時、
恵子さんは意識が戻ったんだ、
『斐山くん、・・・遅刻だよっ』て・・・。
そして、しばらくして・・・恵子さんは痛みも苦しみも感じることなく旅立った・・・。
とても、幸せそうな顔だったよ。」
それはっ
それは・・・
確かに・・・確かにあの時は・・・
違う!
あり得ない!
それは何かの間違いだ!!
絶対に・・・絶対にだ!
その時、オレの手を誰かが優しく握ってくれた。
リィナだった。
・・・あ、
オレの感情が
漏れていたか・・・。
恐らく、気づいているのはリィナだけか・・・
いや、もしかしたら麻衣さんにも気づかれたかもしれない。
一度・・・麻衣さんに事情を話した方がいいのだろうか・・・。
カラドックにさえバレなければいいのだ。
いざという時に口裏をあわせてくれるといいのだが・・・。
「あの少年が・・・人を愛することを
覚えたんですか・・・。」
麻衣さんの言葉には、何か含まれているような気がする。
彼女はオレたちが知らない何かを知っているのだろうか。
「麻衣さんが父上に会ったのは、その予知夢・・・と言っていいのかな、
それを含めて二回だけ?」
「正確には3回ですね、
会ったのは一度きり、そして夢で見たのは2回、
あとメッセージのようなものを送ってきて・・・あ、これはカウントする必要ないですね。
ええ、3回です。」
「じゃあ、以前にも父の夢を見たと?」
「はい、二年ほど前に・・・。
でもその時も一体いつの時代の姿なのか全くわかりませんでした・・・。
周りは戦争のような様子でしたし・・・。」
「・・・というと、スーサと戦っていたときかな?
私たちの世界の話だとしても・・・。
他に誰かいた?」
「白人の軍人将校みたいな人と対面してました。
あ、これ言って良かったのかな・・・!?」
ん?
何かあるのか?
まさか、これ以上とんでもない爆弾投下するつもりじゃないよな?
「麻衣さん? いったい・・・。」
「あ、そ、その・・・
その時、法衣のようなものを着ていた少年が・・・その将校の人にお腹を刺されたんです・・・。」
「何だって!?」
・・・え
ちょ・・・ちょっと待ってくれ、
それって・・・
麻衣
「ヤバい!
調子に乗って喋り過ぎた!!」
御神楽ルカ
「狼男さんが話題微妙に変えてくれたからまだ良かったね・・・?」
麻衣
「ルカ先輩!
どうしてここに!?」
御神楽ルカ
「うん、まあ、ここにっていうか、
ポテチ食べながら鑑賞してるだけ?」
麻衣
「役に立たなーい!!」
御神楽ルカ
「でも、麻衣ちゃん、それ以上はダメだよ?
わかってる?」
麻衣
「う、うう、き、気をつけます・・・。」