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第二百四十二話 ぼっち妖魔は考察を進める

勢いで書いてます。

3000字くらいが丁度いいかなと思いつつも、

気がつくと4500オーバー。

二話に分けるには少な過ぎるし・・・。


なお、今回のお話には、はっきりと、

あらすじに登場してるある存在のことを書きました。


前作からお読みの方は大丈夫でしょうけど、

「何の話や?」と言う方は前作をご覧いただければ・・・。




えーと、

どこから話せばいいんだっけか。


時間は少し遡る。

ラプラスとかいう人の乱入のところから話せばいいか。

といっても、大体の流れはメイドの人のニムエさんが記録してくれた。


その後の流れだけれども、

結局、話は後日に持ち越されることになった。

お互い、一度話を持ち帰って検討するという、なんかいかにも社会人というか、営業の人っぽい流れだと思う。


ただまぁ、この後の方向としては確定かな。

一つ疑問だったのは、

あのラプラスって人があたしたちを魔人の所まで連れてってくれるというお話。


もしかしてと思ったら、やっぱりラプラスって人が、ユニークスキル「飛行」でどうにかするとのことだった。

あれ、自分だけでなく、他人も飛ばせる事が出来るんだ?

それは確かに便利そう。


あたしとしても、天険の地とか前人未到の秘境を歩かされるよりかは、そっちの方がいいに決まってる。

前も書いたけど、あたしの体力は一般人に毛が生えた程度なのだ。


その後のこちらの話で、

ケイジさん、カラドックさん、マー・・・じゃなくてマルゴット女王が中心で、

こちら側の方針も定まった。


・・・また女王が無茶を言い出したけど。

「妾も参るぞ!」て・・・。


当然、周りの人たちはほぼ全員反対したのだけど、

代わりにマルゴット女王は、

「必ずしも戦いになるわけでもない」と、あたし達の勢いを留めるような発言もされたのだ。


そうだね、

戦いを避ける手段があるならば、それに越したことはないと思う。

女王によると、先程のラプラスとの情報通りなら、

邪龍はともかく、魔人そのものには害がないような気もするとのこと。

確かに召喚術で死者の魂を大量に呼び、なおかつそれを邪龍に捧げるなどという振る舞いはあってはならないのだけど、

それを止めさせることさえできるのなら、無理に戦う事もないだろうと。

ただしその場合でも、邪龍との話し合いは、過去の人間との歴史を顧みるに不可能であろうから、邪龍を滅ぼす事に関しては避けることは出来ないとのこと。


どっちにしろ、いくつもの想定が必要みたいだった。

ただ、あのラプラスって人の話だと、あたしの巫女職のレベルアップを願うとのことだったので、

それについては、魔人と戦闘がない場合でも、周辺の魔物はなるべく減らして、あたしのレベルアップに貢献してくれるとのこと。



流れはこんな所かな。



・・・ふぅ、

おっと、溜め息が。


話はこれで終わり?

・・・いえいえ、そんなわけないじゃないですか。


むしろあたしからしてみたら、ここからが大変なんですよ。


冒険者として・・・あるいは元の世界から、この異世界に送られて、そのクエストとしての話はこれでいいんです。


問題は・・・

カラドックさんやマルゴット女王が漏らした・・・あたしとカラドックさんとで、出自の時間軸や世界そのものすら異なっているという話。


ハッキリ言って、これは闇の世界に片足突っ込んでるあたしですら理解の範疇をズババババンと飛び越えてしまう状況だ。


しかもカラドックさんは言いにくそうにしていたけど、

あの人の世界では、全世界の人たちが被害に遭う天変地異が起きたという。

・・・どうもそれはあたし達の世界でいうと、あと数年のうちに起きるとか・・・。



マジで?


でも世界が異なる以上、必ずしもその未来が訪れるとは限らない!?


とんでもない爆弾を抱えさせられた気分だ。

カラドックさんがあたしにそれを伝えるべきか悩んだのは当然だと思う。


そりゃ、何事も起きないに越したことはない。

・・・けれど。


言われてみれば納得する。

・・・そう考えざるを得ない。

そもそも!

あ、これ、元の世界の話ね?


そもそもだよ?

なんでこの時代に・・・「少年」、天使と・・・「あの人」が復活するわけ!?


天使の方は「あの人」の復活に合わせただけかもしれないけども、

人類誕生以後、神々との戦いに敗れ、一万年以上、大地の底に封じ続けられている筈の「あの人」が、

地上の天変地異に合わせて・・・「何らかの形」で復活するなんて、これがただの偶然の訳もない。


レッスルお爺ちゃんのように、「端末」が活動することはこれまでもあったろう。

でも「あの人」は違う。

「器」だ。


間違いない。

「何らかの形」というのは、あたしでさえ予想できないからなわけだけど、

復活については、「あの人」のカウンターという意味で「少年」が天使として降臨していることからも間違いないと思う。



大体にして、「あの人」は今の時代に復活して何をするつもりなのだろう?

天変地異が起きてそれが避けられないと言うならば・・・


人類の救済・・・だろうか?


あたしたち、リーリトの・・・お祖母ちゃんから聞くところによると、

いずれ「神々」に復讐するようなニュアンスもあったようだけど、

そうだとするなら、それを「神々」が手を拱いて見逃す意味がないと思う。


うん、確かにあたしがかつて会った「少年」も、こちら側の動向を監視するような言動をしていたし、人類がかつて「神々」に滅ぼされかけたという話が事実なら、「あの人」が神々側に復讐するというのは、一見つじつまが合うような気もする。


・・・でもだとしたら?

どうして「神様」とやらは今すぐに人類を滅ぼさない?

「あの人」と契約を行ったから?

二度と人類に危害を加えない代わりに、「あの人」もまた人類に干渉しない?


じゃあ・・・「あの人」が地上に復活したら・・・

その契約はどういう事になるの!?


そして・・・ここから先は怖くて聞けない。

カラドックさんに確かめたいけど聞けないんだ。


あたしは見てしまったんだよ、カラドックさんのステータス画面を。

「賢王」まではいい。

「歴史を紡ぐ者」もいいでしょう!

・・・でも「天使の息子」って・・・何!?


最初は何か別の意味合いか何かと思った。

だって、年齢が合わないし。

「少年」の年齢は恐らく二十歳前・・・。

三十手前の年齢だというカラドックさんには関係ない話。

そう思ってた。


でもあの時に判明したのは、あたしたちの間で時間軸がずれているとのこと。

さらに世界そのものが違うと言われて、それを検証することも出来ないけど、

カラドックさんが・・・あの「少年」の息子!?

そんなバカな・・・


でも、

「私の父親が日本育ち」、

「フェイ・マーガレット・ペンドラゴンは私の母親」、


そして気づいてしまう。

かつてレッスルお爺ちゃんと「少年」の会話の中で、

マーゴお姉さんが「少年」のおっかけをしていたって話・・・



マジか、

マジなのかああああああ!?

カラドックさんが、あの「少年」の息子なのかああああああああっ!?




もし、カラドックさんが「少年」の息子だと言うなら、

あたしはカラドックさんとどういう関係を保てばいいと言うのか。

ところが、話はそれだけで終わらない。


・・・一番あたしが気になったのは・・・


以前、あたし達の世界の産物、天叢雲剣ついては言及したと思う。

ではそれを持つリィナさんのことである。


 「・・・リィナさん、ちょっとお願いがあるのですが・・・。」


あたしは夕飯前にタイミングを見つけて彼女に話しかけたのだ。

 「ん? なに?

 ・・・麻衣ちゃん、なんか緊張してる?」


うわぉ、そうだ、

この人はあたしみたいな感知能力はないけど、

その代わりに人の心音とかで相手の心理状態がわかるんだっけ。

これは油断できない!!


おかげでリィナさんもちょっと警戒させてしまったようだ。

ここはどういう話に持っていくべきか・・・。

・・・まぁリィナさんが警戒しているのは他にも理由があるかもしれない。

それは次のお話に回しましょう。


さて・・・


 「あ、あの最初にリィナさんにお会いした時も思ったんですけど、

 リィナさんて、

 いえ、あたしの知ってる人がリィナさんの関係者かもしれなくて・・・

 ちょっとリィナさんの手に触れさせてもらってもいいでしょうか?

 そこからあたしの感知能力で何かわかるかも・・・。」


そこまで言ってからリィナさんは溜息をついた。

 「・・・はぁ、麻衣ちゃんも向こうの世界のリナって子の話か・・・。」


ん?

 「え? リナ?

 あ、ごめんなさい、あたしはその人を知らないですけどご不快なようでしたら止めますけど・・・。」


慌てて首を振るリィナさん。

 「あ、違うか、ごめんごめん、気にしなくていいよ、

 関係者ってことは、あたしの親とか?」

 「あ、そうですね、

 わかるのは血縁者かどうかで、親とか兄妹とか、そこまで正確にわかるものじゃないですけど・・・。」


 「触るだけでいいのなら、構わないよ?

 でもそれは、そっちの世界かこっちの世界かとか区別できるものなの?」

 「いえ、そんなたいそうな能力じゃないですので・・・

 まぁ、あたしの想像通りだとしても、結局は『かもしれない』程度なんですけどね。」


そして結論です。

リィナさんの魂の中に「闇の匂い」を感じた。

あくまで遺伝上・・・というと誤解されるかもしれないな、

魂の系譜と言えばいいのか、「あの人」に連なる匂いだ。

それもかなり近い。


どうなってるの?

カラドックさんが「少年」の息子。

そしてリィナさんが、「あの人」の血縁者。


話はそれだけにとどまらない。

この後、詳しく聞いたのだけど、

カラドックさんには腹違いの弟がいて、

つまりそちらも「少年」の息子、ただし、元の世界で死んでいるという。

そして、その人といい仲にあったのが、今の話に出ていたリナという女の子。

そちらも残念ながら時を同じくして亡くなっているそうなのだけど、

リィナさんは、そのリナという子と瓜二つだという。


「少年」と「あの人」は対立者なはず。

どうして・・・

いや、親同士の対立に、

子供たちには何の関係もないと考えればいいのか、


そこまで割り切っていいのだろうか?


 「どう? 何かわかった?」

考え込むあたしにリィナさんが声をかけてきた。


 「あ、す、すいません、

 予想通りと言えば予想通りでしたけど・・・、

 そのリナさんて人との関係はわかりません・・・。」


 「麻衣ちゃんの知ってる人って、男の人? 女の人?」

 「リィナさんと魂の匂いが似てるっていう人は男の人です。

 あたしの命の恩人さんです。」


そう言われて、少しリィナさんは警戒を解いてくれたみたいだ。

少し嬉しそうでもあるな。


 「へぇ?

 じゃああたしの向こうの世界でのあたしの血縁者が、

 麻衣ちゃんを助けて、

 その麻衣ちゃんがあたし達を助けてくれたってことになるのか、

 面白いねー?」


あー、そういう風に考えることも出来るね、確かに。

そうなると、あたしは少しでも恩返しできたことになるのだろうか?



少し気が楽になったな、そう考えると。

・・・でもまだあたしは、この時点でこの先のことを考えることに躊躇いを覚えていたのだ。


この先って?

そう、「歴史を紡ぐ者」カラドックさんは、知っているに違いない、

「天使」と「あの人」の対立の行方を。

カラドックさんがその時代の最大国家の国王だと言うなら、

ある程度、予想できることもあるのだけど、それは認めたくない・・・受け入れたくない。


でも・・・どこかで聞かなければいけないのだろう。

覚悟をもって。


・・・ああ、そうか。

あたしはそろそろ全てを受け入れなきゃならないのかな・・・。


ママ・・・。




 

リィナちゃんが警戒したのは次のお話で。

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