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第二百三十八話 ニムエの手記

ストーリーが進展してないかのように思えますけど、気にしないでください。

お願いします。

予定では、この会談終わったら敵の本拠地にまで一気に・・・



行っていいのだろうか・・・?

予定変更するかも?


皆さま、ごきげんよう、

私はニムエ、

ニムエったらニムエ。


前回同様、

なぜか、私がこの騒動をお話することになってしまった。

なんでも女王いわく、

カラドック様は当事者として、あのおかしな格好のラプラスとやらと、

対峙しなければならないので、

同時進行で解説をさせるわけにはいかないのだとか?


その意味だと、同様に女王にもケイジ様にもそんな役をやらせるわけにはいかない。

・・・なんか意味がちょっと分からないのだけど、

今述べた方々に余計な仕事をさせるわけにはいかないという点だけは理解できた。

騎士ブレモアも同じだろう。

この場では何かあった時に女王を守るのは彼の役目だ。

ああ・・・それで消去法で私。


とはいっても、私もここまでの話の流れを全て把握しているわけでもない。

まずは異世界からの転移者・・・賢王の称号を持つカラドック様の事はある程度理解している。

この世界にやって来て早々、出会ったマルゴット女王が、自分の母親そっくりだったという不思議な縁を持つお方・・・。

そのせいもあって、私の傍にいらっしゃるイゾルテ様は、警戒心どころか慎みすら持たずに、カラドック様を受け入れた。

ベディベール様は半信半疑という状態だけれども、

もう、それはそういうものだと無理やり納得することにしたそうだ。

・・・うん、あの女王と長い事一緒にいると、それしか処世術はないんだよね。


・・・!

そうだ!

陛下・・・ここは私よりもイゾルテ様が解説役をされた方がよろしいのでは!?

心の中でそう思った。

もちろん、この場でそんな空気の読めないセリフを吐く私ではない。

するとどうしたことだろう?

窓の外に浮かぶラプラスを凝視していた筈の女王が一度私の方を振り返ったのだ。


 「・・・後は頼むぞ、ニムエよ、

 イゾルテはポンコt・・・いや、集中力が長く続かないからの、

 ここはお主が適任よ。」


え? なに?

私の心の中が読めるの!?

いえ、そ、それもそうだけど・・・

女王・・・仮にもご自分の娘を〇ンコツ呼ばわり・・・いえ、知ってたけど・・・

当のご本人、なにがなんだかよくわからないけど、ニコニコしてればいいのかなって首をフリフリしてるよ?


うん、私じゃない、

イゾルテ様の教育係は私じゃない、私の仕事じゃない。


・・・すると誰かがやさしく私の肩に手を置いた・・・。

ベディベール様!?


 「・・・ごめんね、ニムエ、僕も出来る限りフォローするよ・・・。」


・・・尊い・・・。

今の笑顔だけで私は救われる・・・。

ベディベール様は私よりちょっと年下だけどアリだ・・・。

ご飯何杯でもイケる・・・。


おっといけない!

その仕事をしないと!!

出来る子は切り替えも早いのだ!!


そうそう、なんだっけ?

というわけでカラドック様に関してはもはや女王は全幅の信頼を置いている。

これは実を言うと、私もそんな気分にさせられている。

あの方が異世界人だとか、精霊術の使い手だとかはどうでもいい。

あの方自身「自分が外の人間」と公言しているにも関わらず、

その行動は全て我らがグリフィス公国・・・いえ、マルゴット女王のご家族のために動いておられるのが私にも理解できたからだ。


・・・そして四六時中女王に仕えている私は、カラドック様が何故そこまでしてくれているのかも知ってしまった。

あの方の異世界での弟様に悲しい出来事があったという・・・。

そしてカラドック様は、女王の甥ケイジ様に、その亡き弟様の姿を重ねておられるのだとか・・・。


なんてことだ・・・。

そんな事を聞いてしまえば、もう私はイゾルテ様のことを何も言えなくなるではないか。


そしてカラドック様は女王の望み通り、ケイジ様を見つけることができた。


私はこれまで狼獣人のハーフだというケイジ様に会った事はない。

宮廷内ではそれまでケイジ様の話題はタブーだった。

もちろん、とは言えいろんなところからいろんな話は聞こえて来るものだ。

良い話から悪い話まで・・・。

まぁ、この宮廷を出ていった人の話なら、私と関わることもないだろうと話半分に聞いていただけだったけども。


それがこの度、いきなりそのケイジ様に「勇者」の称号がついたという噂が持ち上がり、

宮廷内が騒然となる。

そして女王を含む上層部で緊急の会議が行われ・・・

どういう経緯でそうなったのか、さすがに私にそれを知らされることはなかったけれど、

異世界から別の勇者を呼び出そうとして・・・


現れたのが賢王カラドック様。


その事について、後に女王は言った・・・。

 「何度思い直してみても・・・

 カラドックが送られてきたことは・・・

 妾たちは誰かによって見守られている・・・

 そう思わざるを得ん・・・。

 妾たちがやろうとしたことは間違いじゃ・・・だから助っ人を呼ぶからそいつに任せろ、

 まるでそんな事を言われたみたいでの。


 死んだマリン・・・あやつが粋な計らいをしてくれたのかもしれんが、

 まぁ、あやつにそんな大層な能力などなかったしの、

 それこそカラドックの父親が余計なことをしてくれたのかもしれんのう・・・。」


それこそ、そんな話は私には理解できない範疇のお話。

けれど、先程、初めて会ったケイジ様・・・

悪い方の噂とはまるで違うイメージだった・・・。


確かに初めてその顔を見たら、怖くて粗相をいたしてしまいそうなほどのインパクトだけれども、

イゾルテ様やベディベール様に会った時のケイジ様は、本当に嬉しそうな表情に見えた。

あんなお腹に風穴空きそうな攻撃を喰らったにも関わらず・・・。


逆に女王に叱られていた時の彼は、本当に小さな子供の様で・・・。


あ、これ、ダメだ・・・。


私が見た事なんか無いにも関わらず・・・

あの人たちが宮廷の奥で無邪気に遊んでいる姿が見えてしまう・・・。


一生懸命剣を振るうコンラッド様に剣を教えるケイジ様、

それを複雑な表情で見守るベディベール様、

その後、イゾルテ様に纏わりつかれ、為すがままにされるケイジ様・・・。


いけない、目から汗が・・・


感傷に浸るのは後にしよう。

もともと、このアークレイに女王が自ら向かうと言い出す話の前に、

カラドック様から事の真相を記された手紙が冒険者ギルド経由で、宮殿に届いていた。


その中には、本当の勇者はケイジ様でなく、

ケイジ様が救い出した獣人奴隷のリィナ様であるという事実も明らかになった。

うわ、面倒な!

まだケイジ様が勇者だったほうが、血統や身分の問題で後押しするのは容易かっただろう。

・・・それでもかなりの障害が待ち受けているのだけど・・・。

それが実は獣人奴隷・・・。


おわかりだろうか・・・

もし魔王が存在していないこの世界に、迂闊に最低身分の奴隷層から勇者が生まれたなんて話が広まってみるがいい、

その勇者を旗印に国家転覆、獣人の為の国を造ろうなんて勢力が現れないとも限らないのだ。


厄介な話はそれだけに留まらない。

カラドック様の手紙によれば、

なんでも魔人だとか邪龍だとか、俄かに信じられないような化物が存在して、

事もあろうに、ヒューマン・亜人拘らずに死んだ人間たちの魂が食われているかもしれないと・・・。


すぐさま女王は国内の新生児の調査を行った。

結果は懸念された通り。

国内で届け出を出された新生児の数が明らかに前年より減少しているという。

別に特に大掛かりな流行り病もないし、飢饉が起きたという訳でもない。

原因は不明。


例の妖精の実験・生育に励みながらも、女王の行動は素早かった。

外交部・内政部各所に自分が不在になってもいいように根回しを行い、

長男・コンラッド様へ不測の事態に備えるように、かなりの時間を使ってその対策を落とし込んだという。

女王自ら、この国を出ることに対し、当然国の重鎮たちは反対したが、

ケイジ様や、勇者リィナ様に接触し、その繋がりをアピールすることは周辺諸国への関係性において重大な意味を持つと説得されてしまったのだそうだ。


そしてやってきたアークレイ。

真っ先に女王は領主を抑えにかかった。

先に冒険者ギルドに向かうという選択肢もあったのだけど、

少なくとも冒険者ギルドはケイジ様たちに敵対的な行為はしないだろうとのことで、

いま、私の目の前で繰り広げられた一幕を見れば、その判断は間違っていなかったと思われる。


そして先程、女王とケイジ様たちの感動の再会・・・。

もうその様子の叙述は必要ないだろう。

それより、私がびっくりしたのは、パーティーメンバーが増えていたこと。


え?

魔族!?

あの露出の多い浅黒い肌の女の子?

魔族なんて冒険者の仲間にしていいの?

・・・そしてさらに・・・


何かの間違いだと思った。

なんでこんな小さな女の子が一緒にいるの?

黒髪の女の子・・・身長も低い。

幾つくらいだろう?

12才くらい?

イゾルテ王女よりも幼く見えたその女の子・・・


聞いて驚いた。

あの子も異世界・・・カラドック様と同じ世界からの転移者!?

その後、マルゴット女王が、実はカラドック様とは違う世界から来たんじゃないかと、

難しいお話をされていた・・・。

あ、それ!

こないだ宮殿に侵入してきたメリーさんとかいうお人形さんの話だよね!?


そう言えば、あのお人形さんはカラドック様を追っているという話だったけど、

この場にはいないどころか、まだカラドック様と接触してすらいないようだ。


どういうことだろうか?

私たちは勿論、馬車でここまできたわけだが、

お人形さんは徒歩でこちらに向かっているのだろうか?

そのせいでまだ辿り着いていないとか?

メリーさん、あなたは今、どこにいるの?


あ、あと、

その黒髪の女の子は16才になったばかりだそう。

イゾルテ様より年上だったのか・・・。

違う、そうじゃない!

・・・驚くところはそこじゃない!!

女王!

内緒話してたみたいだけど、聞こえたよ!?

「妖魔」!?

あの女の子、「妖魔」って言った?

異世界からやってきた「妖魔」なの!?

 

マルゴット女王

「まさか、ニムエがこんな活躍するとは・・・。」

麻衣

「この後も、今まで出てきたちょいキャラが活躍するかもしれませんよね?」


カラドック

「麻衣さんが言うと説得力あるね?」

麻衣

「あー!わーわー!! それは言わないでーっ!!」

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