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第二百三十三話 巻き返し

あけましておめでとうございます。


そしてぶっくま、ありがとうございます!


私が様子を窺っていると、先に口を開いたのは領主のベルゴであった。

 「タッカーナ様、

 この度、大峡谷を通り抜け、魔族の地を発見したのは冒険者『蒼い狼』の一団でございます。」


 「ふむ、それは聞き及んでいる。

 冒険者のしきたりは知らぬが、そやつらが見つけたアイテムや魔物の素材などは冒険者の物というのも理解しておる。」


冒険者ギルドのギルマス、オルセンが首を上下に振っているな。

けれどもやはり王国側は、冒険者にとっては味方とは言えないらしい。


 「しかし、それらはその冒険者が持ち帰れるものだけであろう?

 領地や資源はその限りではあるまい。

 それをハッキリさせるために我らはここにおるのだ。

 ・・・ああ、安心するがよい、

 そなたら冒険者の功績は我がベードウーア王国では正当に評価するつもりだ。

 後程、そなたらがそうそう手に入れられぬような賞金と勲章を用意するつもりである。」



なるほどね、

支払っても痛くもかゆくもないエサをちらつかせて、冒険者に鈴をつけようってことか。

もちろん、ケイジにそんなものは通用するはずもないな。


 「・・・蒼い狼のリーダーケイジだ。」

そこでケイジがゆっくりと口を開く。

まずは私たちの代表から口火を切ってもらおう。


 「・・・ほう、噂には聞いておったが、本当に獣人がパーティーリーダーなのか、

 だが、相手が獣人であろうと、我が国はヒューマンと差を付けずに表彰してやろう、

 光栄に思うがよい。」


隣で執政官という年輩の男もうんうん頷いている・・・。

おいおい、こいつら本当に交渉するつもりがあるのか?

遠回しにケンカ売ってきていると思った方がいいのか?

私でさえそう思うんだ。

ケイジやリィナちゃんが真っ先に机を吹っ飛ばす心配した方が良さそうだ。


 「大丈夫です、ケイジさん落ち着いてます・・・。」

隣の麻衣さんが私の心中を見透かしたかのように小声で耳打ちしてくれた。

すごいな。

私の心の声が漏れていたのか?

ケイジも良く抑えている。

もっとも、あいつにとってはこういう権力者の態度は想定内ということなのだろうか。


 「でも・・・タバサさんやアガサさんの方がヤバいです。

 あと、ヨルさんも・・・。」


それはまずい。

なんとか視線を送って気づいてもらおう。

お?

タバサがウィンク、アガサが親指をサムズアップで反応!

良かった、こちらの意図は通じたようだ。

あれ・・・ヨルさん?

顔を赤らめて頬を押さえているけど、別に色目使ってるわけじゃないからね?


続いてケイジの表明。

 「・・・先に断っておくが、オレらは領土問題には興味がない。

 目的はまず、魔人の所までたどり着くことだ。

 ただ、今までの経緯からだと恐らく魔人側と敵対関係になるのは避けられないようだ。

 必要なのは魔人側に対する国家規模の体勢づくりであって、新しい領土開拓の褒賞などと言ったものは必要ない。」


うーん、ケイジも直球だなぁ。

まあ感情的に言い返さない分だけマシだが、王太子側は・・・見るからに不快そうな表情になったね。


 「・・・獣人はこれだから・・・

 甘い顔しておればつけあがりおって・・・。

 聞いておるぞ?

 その魔人とやらは、存在も確認されてもおらぬし、この国に何の被害もないというではないか!

 敵を間違えるな!?

 まずは大峡谷の向こうにある魔族領だ!!

 我らがそなたらに望むのはそこまでの案内と周辺の魔物の処理に過ぎん!!

 うまく働くのなら更なる褒美も用意してやる。

 仮にもし、魔人とやらが本当に存在して、良からぬことを企んでいるなら、

 魔族を制圧してから向かえばいいのだ!!」


・・・ダメだな、こいつ。

さて、どうしてくれようか。

私はゆっくりと紅茶のカップに口をつける。

ふむ、・・・良い香りだ。

茶葉の苦味の中に仄かな甘味も感じられる。

最初にアークレイに来た日の宿屋で出されたのと同じ種類のものだろう。


さ、て、と。


ここで私が口を開く。

 「カラドックと申します・・・。

 領主のベルゴ様も同じ意見という事でよろしいですか?」


いまはベルゴ「様」と呼んでおく。

今はね。

そして領主は静かに頷いた・・・。

 「・・・勿論だ。」


ん?

何か詰まったような反応だな・・・。


 「・・・葛藤してるみたいです。」

頼りになるな麻衣さん。

彼女は口に手を当て私に耳打ちしてくれる。

領主は王太子の方針に賛同してないが逆らえないということか。


 

王太子は言いたいことはこちらに言いきったと判断したのか、

自らの配下たる領主にも強い口調を控えようともしない。

 「ベルゴも直ちに兵をまとめるがよい。

 このような冒険者どもの扱いが不慣れなら、そこのギルドマスターを介せばよいのだ。

 人は有効に使えばいい!」


 「・・・は、それは王太子の仰る通りに・・・

 ただですな。」


 「ん? なにかあるのか、ベルゴよ?」

 「は、ご存知でしょうが、このアークレイは今まで幸運にも戦乱とは縁のない地域、

 兵隊たちの練度も総数も満足なものとは・・・。」


領主の言葉を一笑に付す王太子。

 「はは、私を誰と心得るか、ベルゴよ、

 そんなものはとうにこちらも理解している。

 貴様らが進軍、整地、拠点づくりを行う間に、我ら王宮直轄軍を派遣する手筈だ。

 安心しろ、貴様たちに危険なマネはさせぬ。

 将兵たちや領民に触れを出すがいい。

 何の心配も要らぬとな。」


王太子並びの執政官と書記が得意げな顔で頷いている。

・・・ああ、これは我らの王太子はさすがだな! という奴か。

しっかり周りの状況に配慮しているとアピールしたいのか。



ではこちらのターンとしようか。

 「下策ですな。」


 「な・・・なんだと!?

 貴様・・・一介の冒険者の分際で無礼にも程があるぞ!?」


もちろん、この言葉を吐いたのは私だ。

 「無礼?

 それは失礼を・・・。

 ただ、そちらも王族の身であるなら鑑定くらいは使えるのでしょうな?

 私は冒険者ではありますが、同時に一国の王でもありますのでね、

 立場上で言えば、そちらにかしずく道理はありませんのでお忘れなきよう・・・。」


今回は私の職業を精霊術士から国王に戻してある。

職業を変えられるのはマスター系のジョブを持っている者だけだが、

こっちは国王だからね、マスターなんてレベルじゃないものね。


 「なっ? こっ、国王っ!?

 【鑑定】・・・いっ異世界からの転移者・・・だとっ!?

 し、しかもなんだ、その魔力はっ!?」


せっかくだから称号もステータスもみんな見せてあげるよ。

 「別に称号や身分で議論をするつもりは全くありませんがね、

 先ほどの話を聞いていると、

 ベードウーア王国は『何の被害も脅威も与えていない』魔族領に対し、攻撃を加えるつもりのようですが・・・

 過去の歴史を振り返れば、ヒューマン側と魔族との間で大規模な争いがあったという。

 ならば、場合によってはこの地方レベルになりません、

 それこそ他のヒューマン国家と魔族全てを巻き込んだ大戦乱になることも予想されます。

 それを・・・ベードウーア王国のみの判断で・・・

 いえ、タッカーナ殿お一人の判断で推し進めて良い、とお考えなのでしょうか?」


 「・・・なっ!?

 なんだと、貴様・・・身分をも弁え・・・いや! お前はっ!?」


身分関係だけで相手の意見を封殺できるのなら楽だよね、

だからまずはそちらの王太子の肩書を無力化してあげよう。

そしてヨルさん、君の出番だ。


 「・・・へぇぇぇぇぇぇっ?

 ヒューマンの方々は、平和に暮らしているヨル達の街に攻撃を加えるつもりなんですかぁぁぁぁぁ?

 これは魔族一丸となってヒューマンと戦争するしかないですねぇぇぇえ?

 おとうさんに報告しますですよぅぅぅ?」


 

うーん、

魔人クィーンのVRoid で、

なんとか角っぽいのをつけたけど・・・妥協するか。


問題は素肌に貼り付けるテクスチャ・・・

それっぽいボンデージファッションにするつもりだけど、なかなかいいのがない。

VRoid ではなくUnityの方にはそれっぽいのあるんだけど、それやるとVRoid に戻せなくなるんですよね・・・。


髪型も既存キャラパターンとは変えたいし・・・。


やはり時間が足りない。

・・・いえ、足りないのは私の能力ですね。

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