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第二百三十二話 前途多難

ぶっくま、ありがとうございます!


今回、伏線回収します!!

麻衣ちゃんの商人ギルドでのテストを思い出してください。


え? あんなもの回収するほどのものではない?



会議室には「コ」の字型にテーブルが並べられ、

私たちは下手に案内された。

その反対側にはこの国の中央からやってきた人間たちが座るのだろう。

直接テーブルに座るのは、

ホスト側である領主の席に近い位置から、ケイジ、リィナちゃん、マルゴット女王、

そして私、麻衣さん、タバサにアガサ、末席に魔族のヨルの8人が座る。

ベディベール君とイゾルテ王女は壁際に席とサイドテーブルを用意してもらい、直接会議には参加しない。

それらの左右には護衛役の騎士ブレモアとメイドのニムエさんが控えている。

立場的に言えば、マルゴット女王の位置取りは有り得ない筈なんだけど、

あくまでもこの会議の主役は「蒼い狼」だからね。

・・・それにいくらなんでも突然の飛び入り過ぎるし・・・。


テーブルの上には空のティーセットと小皿にお菓子などが積まれていた。

そのせいで、あまり緊迫した雰囲気がないけれど、これも文化の違いと言っていいのだろうか?

確かに公式な会議という訳でもないし、そこまで険悪なものにならなければ良いのだが。

私たちの着席に合わせて、この館のメイドたちが紅茶を注いでくれた。

先に飲んで気を休ませてもらって良いという事か。


少ししてから扉がノックされた。

それを受けて部屋の中で控えていた先程の執事が内側から扉を開ける。

 「お待たせしました、

 領主のベルゴにございます。」


現れたのは丈の長いスーツのようなものを来た小太りの男。

50才前後だろうか、

顔つきはいかめしいが、浪費家や怠け者といったネガティブなイメージはない。

どちらかというと目つきの鋭い野心家・・・といったところか、

まぁ、あくまでも外見的なイメージだけどね。


領主ベルゴの後ろには、この街のギルドマスター、オルセンが控えていた。

我々より先に到着していたはずだが、既に領主と話し合いをしていたのだろうか。

領主側のテーブルは三人席で、中央にベルゴ本人が座り、ギルドマスター、オルセンは我々に近い方に座らせられたようだ。オルセンの反対側・・・すなわちベードウーア王よりに座ったのはベルゴの秘書か書記官といったところか。


 「やぁ、よくきてくれましたな、

 王宮からの方々もすぐ来られるとのことだ、

 気を楽にしてくれて結構だ。」


領主ベルゴの言葉にさっそくリィナちゃんとヨルが目の前のお菓子をパクつく。

こういう場に慣れてないようだけど、左右を見回した麻衣さんが苦笑を浮かべて私と目が合った。

性格が出るなぁ、と思いつつも私は軽く頷くと、麻衣さんも目の前のお菓子を一つ手に取る。


すると領主のベルゴから声がかかった。

 「おお、そうそう、その菓子は少量のブランデーが入っているから、

 アルコールに弱い方は気を付けて欲しい。

 ・・・子供はいないと聞いていたので、出しても問題ないと思ったのだが・・・。」


 「・・・大丈夫です・・・16才です。」

麻衣さんがニッコリ笑う。

・・・少し言葉にトゲを感じたのだけど領主の言葉も悪気があったものではない。

それは麻衣さんも理解しているようで、すぐに目の前のお菓子に興味を示していたようだ。

 「へぇ?

 チョコレートボンボンみたいなお菓子なんですかね?

 あ、ホワイトチョコか。

 ・・・ん?

 隠者の白いブランデー?」


お?

麻衣さんが何気なく鑑定をかけたみたいだね。

最後の隠者の、とは商品名かな?


 「おお、発売元はこのアークレイじゃったな、贈り物によく使われる菓子じゃ。

 ブランデーの中に更にゼリーも入っておる。

 妾もこいつは気に入っておるぞ?」


マルゴット女王もご存知らしい。

・・・ただ、麻衣さんの表情が少し固まっている・・・。

何かあるのかな?


 「麻衣さん?」

 「あ、いえ、なんでもありません・・・

 ただ・・・これが『ハーミッティン・ブランブラン(隠者の白いブランデー)』・・・。」

 「おう、そうそう、

 名前が長ったらしいので、ちぢめてハミチンブランブランと呼ばれているようじゃの。」



ハミチンブランブラン・・・。

なんだろう?

あまり婦女子が口にして良いような響きじゃない気がするけど気のせいだろう。

麻衣さんが「おまわりさんを呼ぶような事態にならなくて本当に良かった」と呟いていた。

私には関係ない話だね、きっと。


そこで再びドアがノックされた。

先程と同じように執事がドアを開ける。

 「ベードウーア王国より第二王太子タッカーナ様、

 執政官ドワイト様お越しでございます。」


第二王太子か、

結構大物だね。

オールバックで頭髪を固めた青年が入って来た。

見た所、30代手前・・・私とコンラッド君との中間ぐらいの年代だろう。

執政官のドワイトとやらはやり手の官僚といったところか。

あと一人、若い役人もいたが、こちらも書記のようなものだろう。

続いて護衛役の騎士たちがやはり二人ほど壁際に並んで会議の準備が全て整ったわけだ。



私たちの時と同じように、ベードウーア王国側の人間が着席すると同時にメイドたちが彼らのテーブルに紅茶を注ぐ。

それらを待ってから、領主が開始の言葉を述べる。

 「それでは皆さま、よろしいですかな?

 遠路はるばるお越しいただきありがとうございます。

 さっそく今回の・・・」


 「ちょっと待ってもらおう。」

領主ベルゴの言葉が遮られた。

邪魔をしたのは偉そうな顔をした第二王太子タッカーナ。

これはやはり、怪しげな雲行きとなりそうだな・・・。



 「・・・なんでございましょう、タッカーナ様?」

 「ふむ、この度は、北の大峡谷への開拓及び、その先にある魔族の領地の発見、

 それらについての報告を聞くために、わざわざ多忙な我らが参ったのだ。

 ・・・だというのに、何ゆえに我らの目の前に他国の王族がおるのか?」


ん?

開拓? 魔族の領地?

ほう・・・、この国の王族たちはケイジ達が直面している魔人の件を聞いていないのか?

それとも無視するつもりなのだろうか?


マルゴット女王に目を向けると、微笑を浮かべたまま、黙して語らない。

女王の訪問を受け入れたのは領主の方であるならば、

まずは領主が語るべきという事か。


 「恐れながら、タッカーナ様・・・、

 グリフィス公国のマルゴット女王ご一行は非公式という形でこの地を訪問なさっております。

 そしてその目的は、ただ今タッカーナ様が仰られた件ではなく、

 魔族領の先に存在するという魔人の件にて参られたとのことです。」


少なくとも今のやり取りで、

ベードウーア王国側の王宮側は、領土獲得の問題にしか興味がないとわかってしまうな。

領主の方はどうだろうか?

王宮側と同じ立ち位置か、中立を貫くか・・・

いや、それはあり得ないな。

領主もベードウーア王国の一員である以上、王宮側の意見が明確ならばそれに従うことにデメリットはないはず。

・・・となると後は冒険者ギルド、オルセンの立場だが・・・。



 「ならば、その魔人とやらの件は冒険者ギルドに一任すればいい。

 いま、我々が話し合いたいのは我らの新たな領地の件についてだ。」



おやおや、確かにこの国にとって新たな領地というのは喉から手が出るほど切望する問題なのだろう。

そして現在の国境の向こうに魔族の土地があるという脅威についても理解できる。

私も一国の王だからね、それを否定するつもりはさらさらないよ。

・・・けどね。


 「それとだな。」


ん? まだ何か?

 「・・・そこのグリフィス公国の方の首元の子供は何なのだ・・・!?

 いくら非公式とは言え、この会場において椅子に座ることも出来ない子供を臨ませるとは何事だ!?

 あまりにも我らに対し礼を失した行為ではないのか!?」


・・・あーっと、それは・・・

まいったね、その話を出されるとこっちも強く出れないな・・・。

思わず顔を手で覆いたくなったが、なんとか堪えてみせよう。

さぁて、どう切り返して見せようか・・・。

 

ごめんなさい、とっとと話を進めたいのだけど、ここのシーンさえクリアしたら、新たな舞台へと・・・。


それとハミチンブランブランはあくまでも商品名ですので、

英語だかフランス語だかなんだかわからなくてもいいのです。

つくった人が勝手に名前をつけただけです。

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