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第二百二十六話 アークレイ帰還

ぶっくま×2、ありがとうございます!!


すいません!

前回の予告で、あの人が合流と書いたのですが、

今回予定より長めなってしまいました。


次回までお待ちください。

<視点カラドック>


また戻って来たとも、北の玄関口アークレイ。

戻ってくる度に人が増えて街に活気が湧いているような気がする。

まぁ、当然か。

広大な開拓地を発見、

その先には無限の可能性・・・それは領地を得ようとする貴族や、

希少なる魔物や素材を見つけ一旗揚げようとする冒険者や学者たち、

それを当て込む商人に至っては、枚挙に暇がない。


もちろん、その先には魔族が住む土地があり、

領地を持ちたい貴族がいたとしても簡単に話を進められるわけもなく、

この国を挙げての・・・いや、事によると周辺諸国も巻き込むだろう。

今現在、公に役人なり兵なりを派遣する国や貴族などどこにもない。

出来るのは情報収集という名の調査だけだ。

もちろん、それを目当てにやってくる冒険者も数多くいるという訳だ。



そして私たちはアークレイの冒険者ギルドに戻って来たそうそう、呼び出しを喰らう事になる・・・。


 「あっ!

 『蒼い狼』のみなさん、お帰りなさいませ!!

 すぐにギルマスの所に行ってください!!」


本来、私たちの目的は、冒険者ギルドから与えられたものではないが、

それでも形式的にはアークレイのギルドからは、フロンティア開拓の名目で依頼を受けている。

その為に、帰還時には旅の成果と報告をこの受付でするのが一般的な話なのだが・・・

重要な・・・他の冒険者に漏れてはならない極秘の情報などは直接ギルマスに報告するのだ。


それにしても焦っているようだな、いつものクールな受付嬢・・・。


ただこれを先にやっておくか。

 「申し訳ない、

 ギルマスの所にはすぐに行くが、先にパーティー編成登録をお願いできるだろうか?」

 「え? あ? はい? どなたのを?」


当然、魔族ヨルの冒険者登録、及び私達「蒼い狼」への加入、

そして異世界からのもう一人の転移者、麻衣さんの加入だ。

もともと麻衣さんは、リザードマンたちのパーティーに加入していたわけではないから、

リザードマン達との手続きは不要。

麻衣さんは麻衣さんで、この場でリザードマン達と別れを告げる。

・・・和気あいあいと。

相手が爬虫類っぽい見た目でも全然気にする気配がないな、あの子・・・。


そしてリザードマン達は大量の魔物の素材売却で、ギルド内は一時騒然となった。


 「「「ワイバーンにバジリスクに・・・オーガまであるうううううううっ!!」」」


あっちのカウンターも大変だな・・・。

そしてこっちも・・・。

 「魔族の方までスカウトしてきたんですかあああああっ!!

 そっ、そっ、それにてってっ・・・てん、はっ!?

 いけない、冒険者の情報をこんな大声で・・・、

 もうしわけございません!!

 手続きは、はい! こちらで!!」



手続きを終えた私達・・・今や総勢7人のパーティーは二階のギルドマスター室へ向かう。

前回も一度お邪魔したけど、あの部屋に全員入るのは手狭な感じがするな・・・。


ノックをしてから扉を開けると、そこには大量の書類を机の上に山積みにさせたギルドマスターがそこにいた。

もともと術士タイプだったのか、ひょろっとした50才過ぎの男である。

名前はオルセン。

多分覚えなくてもいいと思う。


 「おお、ケイジ殿、良く戻られたっ!!

 首を長くして待っておったよっ!!」


前と反応が違うな。

前回は厄介ごとを持ってきやがって・・・みたいな冷たい視線だったが・・・

いまはこちらに縋りつくような・・・

早く何とかしてくれみたいな?


 「えっ・・・と今回の報告から先にするか?」

ケイジも似たような印象だったのだろう、

ギルド側に何かあったと判断したようだ。


 「う、うむ!

 それは頼むが先に告げておくことがある!!」


やっぱりか。

いったい何が?

ただ今回はパーティーリーダーのケイジに全て会話を任そう。


 「なんだ?」

 「『蒼い狼』が戻ってきたらすぐに領主の所に向かうように言われておるのだ!

 むろん、私も行かねばならぬ!」


 「ああ、まぁ、事が事だからな、

 だが、随分、使われている感じがするな?

 本来、ギルドは領主から独立した組織だろ?」


 「そうも言っておられんのだ!!

 これは領主の所で起きた話ではない、

 その上からだ!!」


上って言うとアークレイが所属する国か、

この国の名はベードウーア王国だったかな?


 「王国から誰か来ているのか?」

 「・・・王国だけでない、

 なんでももっと厄介な者達に目をつけられたらしい・・・

 そいつらも領主の所に来ているようだ・・・。」


 「厄介な者達!?」

 「正体はわからん・・・だが、領主はその者達に逆らえんようだ、

 まぁ、我ら冒険者に害ある存在ではないようなので、そこは安心していいと思う。

 今から領主の所に使いを出すが、

 明日は朝から空けておいてくれ。

 迎えを寄こそう。」




権力者たちの相手か。

本来なら私の担当と言いたいところなんだけど、

こっちの世界じゃなんの権力もないしなぁ・・・。

アガサやタバサにしたところでエルフの国内ならともかく、人間の国では・・・。


いざとなったら魔力ごり押しで進むか・・・。




その夜はアークレイに泊まって、明日の打ち合わせを行う。

すでにアークレイは冒険者や旅行者だらけで宿を探すのにも一苦労かと思われたが、

さすがに今回はギルドの方で泊まり場所を用意してもらった。

宿屋ではないが、街自体になんらかのイベントなりアクシデントが起きた時用にキープしている建物のようだ。


さて、明日の予定ではあるが、

話を進めるのはケイジと私、

後は証言を求められた時には、タバサ、アガサ、そしてヨルにも出張ってもらうつもりだ。

ちなみに麻衣さんには私の傍にいてもらう。

彼女の感知機能はそういう場所でも役に立つだろう。


ある程度、話がまとまった所で、

次に戦闘面での連携の話をしたい。

すなわち麻衣さんに何が出来るのか。


 「・・・あーっと、それは・・・。」

喋りにくいようだな・・・。

初対面の人間を警戒して自分の手札を早々見せれないのはよくわかる。

しかし同じパーティーに入ると承諾してもらった以上は情報は共有してもらわねばならない。


 「あ、いえ、みなさんにあたしの能力を公開するのには抵抗ないんですが・・・。」

 「ふむ、何かそれ以外の問題があるのかい?」


 「問題があるとしたら、元の世界に戻った時でしょうかね?」


ん?


 「というと?」

 「え、あ、あの特にカラドックさんについてなんですが・・・。」

 「え? 私?」

 「は、はい、気分を悪くさせちゃったら申し訳ないんですけど・・・。」

 「構わないよ? 言って欲しい。」


 「あ、は、はい、それじゃ・・・

 あの、元の世界に戻って・・・あたしの能力を・・・他人に広められると・・・。」


 「・・・ああ。」

そうか、それは当然だ。

私は元の世界でも自分の力を隠したことはない。

なにしろ王様だからね、そんな必要がない。

でも彼女はあくまでも一般人なわけだ。


 「そうか、虚術とか召喚術はこちらの世界で身に着けたものとは言え、

 感知能力自体は以前から習得していたわけだね?」

 「はい、ていうか、

 カラドックさんてどこか大きな国の偉い人なんですよね?

 そういう人が、日本の一介の女子校生であるあたしのことを話題に出したり、

 直接あたしに声掛けたりとか、そういうのも危険かなと思うんですよ。」

 「・・・あーっ、そう・・・だね。」


一応、私は大陸において最大の国家の王様なんだけどね。

そこまで話もしてないし、日本みたいに海を隔てた国にはそこまで情報は回らないよな・・・。

まだ大破局から復興だってできてないだろうしね。


 「つまり麻衣さんは、元の世界に戻って、

 私や・・・その他の国際的なゴタゴタに巻き込まれたくないってことだよね?」

 「あ、はい!

 そう思って頂ければ!!」


 「うん、理解したよ、

 ま、本音を言えば、成人してからでもいいけど、

 私の国に来てもらって活躍してもらってもいいかと思ったんだけどね?」

 「あああ、すいません、すいません、それはパスで!!」

 「はは、残念だ、

 でも君の情報は秘匿しておくというのは了解した。

 それならいいかな?」


とはいえ、私の言葉にそんな保証もできないのもわかりきっている。

まだ彼女はこちらを信用しきれていないだろう。


それでも彼女は何枚か手札を見せてくれた。


 「あたしの持ち技は、召喚による魔獣化した蛇とふくろうを呼べます。

 感知能力についてはそこまで期待しないでください。

 相手が高位の魔物だと通用しないことがあります。」


 「あの虚術ってのは?」

 「よくわかりませんが、あたしだけのユニークジョブとか?

 生物には一切ダメージを与えずに、その場の何かを奪い取る無属性魔術とだけしか・・・。」


 「それがとんでもない効果だよね・・・。」


 「いやぁ、無重力の術を手に入れた時にはこれだ!

 と、思ったんですけどね、あたしにはうまく運用できないっていうか・・・。」

 「そうかい?

 かなりなチートだと思うけど。」


 「はい、そうなんですけどね、

 一度無敵の能力かなとも思ったんですよ。

 バジリスクとか、無重力状態にしておいて、

 一度でも蹴り上げれば、お空に高く飛んでって、

 そこで能力を解除すれば・・・ドスンと一撃必殺の能力になるとか・・・。」


 「うわ・・・それは確かに問答無用の必殺能力・・・。」

想像できる。

相手に飛行能力がなければドラゴンでさえ屠れる筈だ。

しかも麻衣さんにはさらに敵の飛行能力を封じる術もある。

あれなら最強コンボとなるだろう。


 「ダメでした・・・。」

 「え? なんでだい?」


 

 「あたしが蹴り上げても、真上に跳んでってくれなくて・・・

 斜め前方に跳んで行った挙句、結界から外れてそこで落下!

 ダメージそのものは与えられるんですけど、それで死ぬような魔物もなかなかいなくて・・・。」


・・・なるほどね。

それは彼女の身体能力や技術の問題か。

それを差っ引いても凄い力だとは思う。



そういえば、麻衣さんの事でちょっと気になる反応があった。

元の世界の話になると、会話中にしばしば間が生じる時があるのだ。

あの大破局後、日本ではいまだ統一された国家は樹立してはいない。

もちろん地方ごとにそれなりの支配者が存在し、無法地帯になっているわけではないのだが、

私達ウィグル王国と協力関係にある勢力からの情報では、復興にはまだまだ気の遠くなるような時間が必要とのことだった。


なのに麻衣さんの話だと、それほど大変そうな印象を受けないんだよね。

確かに麻衣さんが生まれた時は大破局以降なのだから、

本人の目には復興しつつある文明が映っているだけで、かつての繁栄を誇った旧世紀の思い出とかはないのだろう。

その辺りが私と認識が異なる一因なのかもしれない。



麻衣

「なんか話が噛み合わない気がする・・・。

ウチは大震災では影響なかったんだけどなあ。

カラドックさんは日本全部が地震の被害に遭ったとでも思っちゃってるのかなあ?」

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