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第二百二十三話 リィナの追及

<ケイジ視点>


麻衣さんの話を聞いた後、みんなで飯を食って、明日のためにそれぞれ眠ることとなる。

夜中の見張りは必要だが、

リザードマン達がその役を買ってくれた。

とはいえ、いくらなんでも会ったばかりの奴らにそこまで頼るわけにもいかないので、

初っ端はオレも付き合うほうがいいだろう。

それぞれ、適当な時間で交代するけどな。


オレは別に社交的な人間のつもりもないが、一応礼儀的に一緒に警戒に立つリザードマンにお茶を振る舞う。

 「おお、これはキャたじけない。

 勇者のケイジ殿みずキャらとは。」

 「ああ、別に普通にケイジで構わねーぞ。

 そんな偉そうにするつもりもないしな。」

 「いやいや、獣人でありながら勇者の称号を得、

 ヒューマン、エルフを率いてAランクにまで達するとは、なキャなキャのこと。

 我らのリーダーのエルザードも言っておったが大した人物だと思っておったよ。」


 「はは、キャい・・・いや、買い被りだよ、

 それこそあいつらの方が優れている・・・。

 オレは良い仲間に恵まれただけだ。」


第一、勇者の称号を与えられたのはオレじゃないしな。

ていうか、勇者はリィナだってどこでカミングアウトしよう?



 「・・・謙虚だのう、

 偉そうな者達ばっキャりの獣人にしては珍しい・・・。」

 「ああ、確かに獣人は粗野なヤツらが多いのは確かだしなぁ・・・。」


 「亜人が不当にあつキャわれる社キャいに、声をあげようとしてる、とキャも?」


ああ、それはそんな噂も出ているか・・・。

 「それは・・・考えてはいるけども、

 それこそ魔人打倒より難しそうなんだけどな・・・。」


 「それは確キャに・・・。」

 「あんたら、リザードマンとしてはどうなんだ?

 今の社キャ・・・いや、社会をどうにかしたいと思っているのか?」


 「そういう者もおるとは思う。

 ・・・しキャし現状で満足しとる者も多いよ。

 我らはそれほどヒューマンに依存しとらんし。」


 「そうか、逆にリザードマンはヒューマンとは距離が有るものな。」

 「まぁ、それでもケイジ殿たちが亜人の地位を向上させるという話には興味がある。」


 「それは期待しないでくれ。

 オレにも出来る事と出来ない事がある・・・、

 いや、それより優先したいことがあるといった方がいいか・・・。」


 「ふむ、もちろん、それは・・・おや、その優先する方の人が来たキャな?」



ああ、この気配は・・・

反射的に後ろを振り向く・・・。

 「リィナ・・・。」


ついに来たか・・・この時が。


 「ケイジ、いいかい?

 あ、リザードマンさん、ちょっとこいつを借りるよ?

 少し離れるけど、獣人の聴覚で周りの警戒は続けるけどさ?」


リザードマンはリザードマンで、元々オレらには期待も何もしてなかったんだろう、

淡白な奴らだしな。

片手をあげて了承を示してくれたようだ。

すぐに奴はオレたちに興味をなくし、警戒を続ける。


・・・さて、

おれはこれからどうなるのか・・・。



殺されることはないだろうけど・・・

うん、半殺しの目に遭う覚悟はしておこう。

タバサさん、起きたらヒールお願いします。



 


 「ケイジ。」

 「・・・はい。」

口の中が乾く。

鼻の周りもだ。

直立不動。

さぁ、オレの運命は?


 「別にそんな緊張しなくていいよ。

 今はそれほど怒ってない。」


・・・良かった、

時間を空けたのが功を奏したようだ。

 「でもさ。」

 「はい!」

違う、やっぱり怒ってる。


 「あたしが怒った理由はわかるよね?」

ほらぁああ!!

 

 「あ、え、ああ、

 オレが・・・自分の命を粗末に扱おうとしたこと・・・だよな。」


 「うう~ん・・・。」

 「え? 違うの?」

リィナは残念そうに首を振る。

オレに心底失望しているのかのように・・・。


 「いやさ、あたしもずっと考えてたんだよ、さっきの話し合いの時もさ。

 まずはあんたを半殺しにでもしなきゃ気が収まらない筈だったんだけどさ。」


ガタガタガタガタ・・・

足が震えている。

たぶん尻尾も足の間に隠れてしまっているだろう。

リィナさん、怖い・・・。


 「いや、多分、ケイジ、

 あんたに怒ることがいくつもありすぎて、どこから責めていいか悩んでるんだよね?」


ちょ、ちょっと、リィナさんっ?


 「たださ、ケイジ?

 あたし、あんたが命を懸けてあたしを守ってくれようとしたことに関しては、

 すっごい嬉しいし、感謝してるんだぜ?

 あの時、ヨルも言ってたけど、

 あ、あたしも女性として、あんなこと言われるのは、す、すっごい嬉しかった・・・。」


え・・・ここでその話?


 「お、・・・おう、そ、そうか・・・。」


 「でもよ、ケイジ?」

 「お? おお・・・。」

ヤバい、やっぱりフェイントか・・・来る。


 「ああ、あんた、

 ・・・あたしの事、本当に人として見てくれてるのか?」


 

 「・・・は?」


オレの口からは間抜けな声が出た。

全く想定してない言葉がリィナから出たからだ。

何言い出しやがるんだ?

意味が分からない。



 「・・・わかんねぇ?

 もっとキツイ言い方しようか?

 ケイジはあたしの事を、ある意味・・・奴隷以下の、

 それこそ物か何かだと思ってないか・・・?」


 「ば、バカな!!

 いくらなんでもそんな事あるわきゃねーだろ!!

 オレはリィナの事・・・」


そこへ突然、

悲鳴のような声がリィナの口から溢れだす。

 「ならなんであたしの意志を無視すんだよっ!?

 あたしはお前の言う事聞いてればいいただの人形かよっ!?」


う、ここでそんなっ


 「り、リィナ、ち、違う!

 オレはお前のことを思って・・・!!」


 「あたしの事を思って!?

 じゃあ聞くぞ、ケイジ!!

 あんたの言うあたしの幸せって言うのは!!

 お前のいない世界で一人寂しく生きていくってことなのかよ!!」


 「い、いや・・・それは・・・」

 「ケイジ一人で勝手に考えて!

 ケイジ一人で勝手に決めつけて!!

 あたしに一切の反論させず!!

 あたしが欲しがっているものなんか気にも留めず!!

 一方的にケイジの思いを強制して!!

 それがケイジのあたしに対する扱いだってのかよ!!」


 「ち、違う・・・リィナ、違うんだ・・・!」

 「何が違うってんだよ!!

 あたしはケイジの奴隷・・・!

 逆らう事は一切許されない!!

 そうだよな!?

 最初からあたし達はそういう関係だった!!

 そうだよ、あたしが勝手に勘違いしてたんだよな!?

 あたし・・・ケイジとなら・・・この人となら幸せになれるって、

 そんな夢を見てもいいかなって・・・

 ハハ、

 あたしがバカだった!!

 しょせん奴隷のあたしが!!

 そんな夢見ちゃいけなかったんだ!!

 大事に・・・う、大事に扱ってもらえるだけで、

 それだけで幸せじゃないか・・・、

 それだけで満足してりゃよがったんだよな、ケイジ様っ!?

 ・・そうすれば、こんな悲しい気持ちになんて・・・」


リィナの頬に一筋の雫が流れる・・・。

や・・・


 「やめてくれ! リィナ!!」

オレは反射的にリィナを抱きしめた。

あいつの言う事に一切反論できなかったからだ。

ならせめて、リィナが逃げてしまわないように・・・

オレの手の届かないところに行ってしまわないように抱きしめる事しか出来なかったのだ。


だが、彼女の口からは、オレにとって更に残酷な言葉が零れ落ちた・・・。


 「あ、う・・・ケ、ケイジ様、

 苦しいです・・・放してください・・・。」


う、うあ・・・リィナ・・・


彼女の二つの瞳から光が消えていた・・・。

まるで「あたしの意志を無視するんなら、このカラダをも好きにすればいい」とでも言わんばかりに・・・。



 「お願いだ・・・リィナ!

 オレが悪かった!!

 頼む!

 ・・・そんな事を言わないでくれ・・・!

 やめてくれ・・・


 こ、これ以上、オレに・・・

 それだけは・・・お前にそんな事を・・・


 いやだ、頼む、

 オレは殺されても文句は言えない人生を歩んできた・・・

 でもお前がオレの元から・・・

 お前の心が離れていくのだけは許してくれ・・・!」


 「・・・あと、それ・・・。」


リィナの言葉に力はない。

瞳からは光が消えたままだ。

それでもオレに言うべきことだったのだろう・・・。


 「え・・・いったい、それって?」



次回、ついにケイジの過去が。


あ、それと、ちょっと仕事先がヤバいことに・・・。


現実逃避で物語の下書きを進めたけど・・・

肝心の中身がぐちゃぐちゃになってませんように・・・・。

ああ、何も考えられない・・・・。

と、予約投稿時点ではかなり危ない状況でしたが、乗り越えました。

たた、新たな問題出たりと、

中々精神的に落ち着けない状況です。


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