第二百二十一話 情報共有の夜
ぶっくま、ありがとうございます!
今回少し時間的余裕があったので、麻衣ちゃんの冒険者スタイルを作ろうかと思っているのですが、
インナーをどうするかで・・・。とりあえずフード付きパーカーを無理やり改造して画像造りました。
いつか、インナーもちゃんと描きます。
衝撃的なお話はやはりありました。
そう、ようやく本題に入ったのです。
「・・・魔人の女の人が、不老不死のために邪龍と結託して、死んだ人の魂を貪っている・・・って・・・。」
麻衣ちゃんも驚いています。
といっても、アークレイの冒険者ギルドで事前に情報は掴んではいたようです。
ただし、そこらの野良冒険者に聞いても、情報は正確とは限らないわけで。
ギルド自体からも、魔人についてはどう対応すればいいのか、
未だ方針が定まってない状態では、冒険者に依頼を出すわけにも行きません。
今までギルドが冒険者に出す依頼は、あくまでフロンティアの調査・開拓にまつわるものだけでした。
なので麻衣ちゃんも、たった今、初めて正確な内容を把握したという訳なのでしょう。
なお、今も説明は大部分をカラドックにお任せしています。
「その魔人の詳細についても、
クィーンと呼ばれている事、
他人にスキルを譲渡出来る事、
後は、かなり享楽的な女性の魔族としかわかっていない・・・
ただ先程のシグという魔族に、召喚術やら闇属性の僧侶呪文を与えているところを見ると、強力な術士系のようだね。」
「あたしと同じ召喚術ですか・・・
でも『悪魔』を呼び出せるなんて・・・この世界『にも』悪魔っているんですね。」
「・・・いや、その件なんだが・・・
『この世界に』いるのかどうかはわからない・・・。」
「え? どういうことです?」
あたしにもわからないです。
カラドックは何を気にしているのでしょうか?
「今回シグによって呼び出された悪魔は『地獄公爵アガレス』・・・
それはこの異世界ではなく、私や麻衣さんのいた世界に存在する悪魔だ・・・!」
黙って聞いていようかと思ったんですが、
思わずあたしも聞いちゃいます。
「えぇ?
カラドックや麻衣ちゃんの世界にはあんな物騒な魔物がいるの!?」
「あ、リィナちゃん、ごめん、言い方が正確じゃなかったな、
あくまで私たちの世界の、想像上の悪魔さ。
現実に存在しているわけじゃ・・・ない、と言いたいんだけどね。」
そこで麻衣ちゃんも理解できたようです。
「あ? そ、そういえばよくファンタジー系ものの物語に出て来る名前!?」
「そう、いわゆる『ソロモン72柱の悪魔』の一体だよね・・・。
まぁ、あくまでお伽噺程度の話として理解しているつもりだよ。」
「・・・そうですね、
少なくともあたし達の世界に悪魔なんて『存在するはずない』ですものね・・・。」
あれ?
さっき麻衣ちゃんは、自分たちの世界にもいるように話してたと思ったけど、あたしの勘違いでしょうか?
「ん? やけにきっぱり・・・いや、それはいいか。
ただ、そうなると、元々この世界こそ『悪魔』がいる世界かと思うわけだけど、
タバサたちから話を聞いても、なじみの深い存在ではないという。」
「・・・となると、やっぱりあたし達の世界から?
うう~ん・・・
あ、そうだ、あたし吸血鬼からとんでもない情報貰ったんですけど・・・。」
「へぇ!?
それは一体・・・?」
「あ、その、はっきりと断言してたってわけじゃないんですけど・・・
魔人は・・・異世界の・・・と吸血鬼がこぼして・・・。」
「なんだって!?」
ここでケイジが反応します。
「カラドック! どういうことだ!?
魔人クィーンはお前たちと同じ世界からの転移者なのか!?」
「いや、そ、それは私こそ聞きたいくらいだが・・・、
いったい・・・私や麻衣さんのようにもっと大勢の人間が転移させられているのか・・・!?」
「ん? いや待て、カラドック、
お前と麻衣さんはほぼ同じ時期に、白羽の矢に射抜かれて、この世界に来たと言ったよな?」
「あ、ああ、そうだな。
時期も手段も、その後のメッセージの送り付け方からも考えて、同じ存在によって送り込まれたと見ていい。」
「だが魔人クィーンは何年も前からその存在を確かめられている。
それに魔人は・・・魔族だ。
お前たちの世界に魔族なんているのか?」
カラドックは静かに首を振ります。
「そんな話なんて聞いたこともない・・・が。」
「魔族って、そちらのヨルさんみたいに、角が生えて魔石を体内に持っている人たちですよねぇ?
あたしも聞いたことはありませんけど・・・うう~ん・・・
魔族・・・かぁ。」
「ん? 麻衣さん何か?」
麻衣ちゃんの態度がさっきっから引っ掛かりますね、
何か隠し事をしているようには感じないんですけど、
彼女の中で大きな矛盾でも抱えているかのような・・・。
「あ? あああ、いえいえ、何でもないです。
じゃあ、転移者じゃなく、転生者ならどうです?」
「「転生者!?」」
「ええ、そんなことができるのかどうかはともかく、
例えば、向こうの世界で死んで、記憶を持ったままこっちの世界に生まれ変わるっていう・・・。」
「いや、確かにこの世界にも転生者の概念はあるが・・・
なるほど、そうすると辻褄はあうのか・・・。」
「ええ、それであたし達の世界の知識にある『悪魔』を呼び出すことが出来るとか・・・?」
「いや、でも、私たちの以前にそんな事が出来るなんて、
しかも『悪魔』なんて実在しないものを呼ぶだとか・・・。」
そこで麻衣ちゃんが閃いたかのように口を開きます。
「あ、そうだ、思い出しました!
転生者と言えばもう一つ情報があります。」
「え、まだ何か?」
「あたし自身が会ったわけじゃないんですけど、
『マスター』って呼ばれてる人が、あたし達の世界から来た転生者だって・・・。」
「ん? マスター?
なんだっけ、どこかで聞いたことが・・・」
あれ?
あたしも聞き覚えありますよ?
・・・て
「「「「「マスター!?」」」」」
ハモりました!
あたしやケイジだけでなく、タバサもアガサもです。
ヨルだけが何のことかわからずに寂しそうにしてましたけど、
後で説明してあげますよ。
「麻衣さん!?」
「は、はい!?」
「その話をどこで誰から!?」
「あ、え、とキリオブールの街で布袋さんて人から・・・。」
「「「布袋っ!?」」」
「深淵の黒珠関連情報ゲット!!」
アガサが両手を挙げて万歳します。
確かに彼女の最大の目的ですしね。
「ケイジ、布袋って確か、君たちがハイエルフの森都ビスタールで会ったっていう?」
「そうだ!
盗賊『バブル三世』の一人!!
麻衣さん、そいつは縦にも横にもデカい奴で白い袋を抱えている男か!!」
「あ、はい、そうです、
途轍もない魔力を持って・・・あ、そういえばエドガー以外にも魔力高い人いたな、
冷たくされたから忘れちゃってた・・・ああ、なんでもないです、
えっと、それで、
布袋さんはこの世界でマスターに造られたって言ってました。
それで、マスターって女の人は、あたし達の世界の人で、
何か罪を犯したとかで、多分、死んじゃったのか、
こっちの世界に転生したって言ってました。
あと、元の世界にはもう何の干渉も出来ないとも・・・
・・・て、え? 盗賊バブル三世!?
なんですか、そのどっかのアニメからパクって、2で割ったみたいなネーミングセンスは!?」
アニメっていうのがなんだかわからないんですけど、
麻衣ちゃんの世界には似たような名前の存在でもあったんでしょうか?
「罪を・・・。」
あれ? ケイジが何か言いたそうですね・・・。
あ、そういえばケイジはあの時もそんなことを・・・まあいいです。
その話は後にします。
情報共有シーンはここで終わろうかと思たんですけど、後一回だけお付き合いください。