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第二百七話 戦闘開始


 「ケイジさん!

 これは魔族同士あたしに責任が一番あるですよぅぅぅ!

 まずはあたしが突っ込むですぅぅぅ!!」


いや待て!

シグがそれなりの実力者だと言うなら・・・

と、止める前にヨルは槍を掲げてダッシュした!!


直ぐに加勢に向かおうと思ったが・・・。


 「いや、ケイジ、

 あの執事はヨルさんには本気で攻撃できないかもしれない、

 ここはいつでも動ける態勢のまま、あの執事の実力を見よう・・・。」


 「だがそれはではヨルが・・・!」

ヨルは仲間にしたばかりだが、オレたちの正式なパーティーメンバーではない。

だからといって、女の子一人に任せておけるはずもないだろう。

オレはすぐにカラドックの言葉を否定しようと思ったが・・・


 「ケイジ、まずはヨルの意志を尊重。」

 「ケイジ、ここはカラドックの言葉が正論。」


あ?

オレが間違っているって言うのか?

確かにカラドックのやり方は理屈に適うし、ヨル本人の立場に立てばそうなんだろうが・・・。



 「ケイジ、だからヨルさんが危なくなったらすぐにサポートに回る。

 むしろ、私たちが敢えて動かず、それなりの振りを見せた方が、

 あの執事の注意が削がれて、ヨルさんは有利に戦えるんだ。

 私たちは守りを優先しながら、陽動に回るぞ。」


そういうことか、

相変わらず、さすがの知略家だなカラドック。

確かにごちゃごちゃ、迷いながら戦うより、効果的か。

完全にカラドックの戦法に同意するわけでもないが、

すぐにヨルの助けに行けるよう、オレは剣を構える。

リィナも二刀のロングナイフで戦闘準備完了だ。



 「さあぁあぁぁぁあ、行きますよぅぅぅぅぅっ!!」


獣人並みのトップスピードでヨルの槍が執事に向かう。

・・・ていうか、あの執事、武器を持ってないぞ?

魔術士タイプなのだろうか?


・・・だが、オレは魔族の戦闘スタイルを何も知らなかった。

「様子を見る」というカラドックの方針は正しかったのだ。


 「素早い踏み込みです、

 ・・・成長なされましたな、お嬢様、

 ではこのシグがお相手させていただきますぞ?

 ・・・『魔闘法』!!」


魔闘法!?

まさかヤツは素手のまま、ヨルの槍に腕を合わせるだと!?

あの男は格闘家なのか!?


執事はヨルの初撃を防いだ!

だがもちろん、ヨルは自らの槍を切り返し連続攻撃に繋げる!


 「・・・あ、あいつ、素手で槍の刃を捌いてるの!?」

 「いや、よく見ろ!!

 あの執事の爪・・・爪が!?

 ちょっと待て!

 さっきまであんなにごつい爪だったか!?」


もともとヒューマンの手とは比較にならないくらいの大きさと強度に感じたが、

いまや、野球のグローブほどの大きさと・・・そして触れただけで生身の肉など簡単に切り裂けそうな、凶悪なほどに鋭そうな五本の爪がヨルの槍をはじいていた。


 「魔族には、自らの魔力を肉体に還元して戦闘に応用する戦い方がありますよぅぅぅ!!

 そしてシグはその魔力を自分の爪に集中して、切れ味と強度を増加させてるんですよぅぅぅっ!!」


 

ヨルは自分が戦闘中にもかかわらず、オレたちに情報を送る。

本当に、この子いい子だよな。

なら余計に危険な目に遭わせたくはない。

 「ありがとう!

 だが、オレたちのことはいい!

 自分の戦いに集中してくれ!!」

 「了解! わかりましたですよぉぉぉぉっ!!」


オレとリィナはゆっくりと、戦っている二人の方向に左右から分かれて近づく。

オレは弓を使ってもいいが、それだとヨルを危険に晒すかもしれない。

遠距離攻撃はカラドックとアガサに任せ、

執事が隙を晒し次第、すぐにでもヨルのヘルプに入ろう。


 「・・・お嬢様、困りますな、

 我々の戦い方をそんな簡単に公開されては。」


ヨルの槍さばきと、執事シグの格闘術は互角に渡り合っているように見える。

・・・だが、オレにはこうも見える。

ヨルは全力だが、執事はいまだ余裕を持っているのではないかと。


 「何言ってるんですかぁぁぁぁっ!!

 魔族の中じゃポピュラーな戦闘方法ですよぉぉ! 

 珍しくもなんともないですぅぅ!!

 それより魔人から与えられたっていうスキルはどうしたですかぁぁぁ!?」


ヨルはそこまで狙っているのか。

だが、このままでは執事は格闘術だけでヨルをあしらってしまうかもしれない。

・・・ならヨルの思いに応えよう。

オレは殺気を放ってから、体勢を深く沈みこませ・・・


・・・シグがオレに視線を向けたな!

いい勘をしている。

今だ!!


 「ホーリーレイ!!」


オレの動きはフェイント!!

アガサの最速呪文が本命だ!!

これで奴の動きを封じさせて・・・



 「『ダークウォール』・・・やれやれ、これは油断できませんな。」


なんだ!?

アガサの呪文が撃ち消された!?


思わず連続攻撃真っ最中であったヨルも動きを止める!

 「な、なんですかぁぁあぁっ!?

 シグはそんな防御呪文持っていたですかぁぁぁぁ!?」


なんだ、ありゃ!?

執事の目の前に、真っ暗闇の、ゆらゆら蠢くような膜の壁が出来上がっている!?

あれがアガサのホーリーレイを打ち消したって言うのか!?

いや、確かに無詠唱だったから、本来のアガサの呪文より威力は弱かったのかもしれないが・・・。


ん?

ダークウォール?

闇術魔法か?

・・・確かに闇属性を持った術士はヒューマンでも滅多に見ないが、そんな術は聞いたことも・・・。



 「ダ、ダークウォール!?

 ダークエルフの私でもそんな術は未知なる魔法!!

 この魔族のユニークスキル!?」


術のスペシャリスト、アガサでも知らない術なのか。

タバサもか?


 「い、いえ・・・あの術・・・もしかしたら・・・

 魔術ではなく・・・まさか僧侶呪文!?」


何だって!?

これはカラドックも同じ術士として驚いたようだ。

 「僧侶呪文だって!?

 バカな!?

 僧侶呪文はみな全て光属性の筈じゃなかったってのかい!?」



すると、戦闘を一度中断した執事が楽しそうに笑い始めたのだ。

 「ハッハッハ、

 みなさま、今まで不思議に思われませんでしたのか?

 魔術士が使う魔法には光と闇の分類があるのに、

 何故、僧侶呪文には光しか存在しないと思い込んでいたのか?

 ・・・まぁ、私もクィーンに教えてもらうまで気づくこともなかったのですから、仕方のない話なのかもしれませんがね?」


 「なんだと!?

 ・・・じゃあ、今の術は・・・!」


 「はい、ケイジ様、先程、ヨルお嬢様がお聞きになった答えの一つですよ?

 私も皆様に情報を教えて差し上げましょう。

 ・・・もちろん、対価はいただきますがね?」


こいつ・・・まだ奥の手を隠している?

なら・・・全て曝け出してもらうぞ!!


 

更新できる日は、私の仕事のお休み日と密接な関係があります。

しばらく更新ない時は、休日がない仕事と思っていてください。


さて・・・次回、そして次々回と更なる脅威が。

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