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第二百五話 魔族シグ

ぶっくま、ありがとうございます!


 「ば、バカな!?

 いつからそこに!?」


有り得ない!!

これだけの存在感を持った魔族の接近を誰一人気付かなかったというのか!?


 「ああ、この道が下り坂になったところからでしょうかね?

 いえ、もっと前から後は付けていたのですがね、

 距離が離れていてはさすがに私でも皆様の会話に参加できませんですからなぁ、

 皆様がこの広場で小休止なされるだろうと追いつかせていただきました。」


 「そ、そういうことを聞いてるんじゃないですよぉぉっ!?

 シグはどうやってあたし達に気付かれずにここにいるんですかぁぁぁ!?」


 「お嬢様、これは異なことを、

 隠匿結界はお嬢様もご存知でしょうに。」


あ、そ、そう言えば、魔族の最初の街マドランドに入る直前、

このヨル自身が隠匿結界とやらを使っていた筈・・・、

匂いや音でバレバレだったとリィナちゃんが言ってたけど・・・。


 「え、嘘、不審な匂いや音は何も・・・。」

やっぱりリィナちゃんも感知できなかったって言うのか、なら一体なぜ?


 「・・・本来、こういったものは各自が研鑽して身に着けるものなのですが、

 他ならぬお嬢様ですからね、

 タネを明かしますとね、

 エアスクリーンを併用すると、隠匿結界の効果は高まるのですよ。」


あ! そうか、確かにエアスクリーンなら音や匂いの拡がりも低減させる。

もちろん完全に遮断するようなものではないが、隠匿結界との併用なら今回のような結果を産むのだろう。


 「す、すごいですぅぅ、

 さすがはお父さんの執事ですよぅぅぅ!

 あ、じゃ、じゃなくてやっぱりこの質問もするですぅぅ、

 どうしてあたし達の後を追ってきたですかぁぁぁ!?」


 「・・・薄々お気づきなのではないですか?」


う・・・

場の緊張が高まっていく・・・。


真っ先に想像できることはある。

それは私たちにとっては最も無害で・・・ある意味歓迎したい理由になるのだが、

果たしてそれでいいのか・・・。

 

 「お、お父さんに言われてきたですねぇぇぇっ!?」


そう、真っ先に思いつくのはその可能性・・・!


執事シグは両手を拡げて天を仰ぐような振りをする。

 「・・・はい、ゴア様からお嬢様を連れ戻すようにと・・・。」


良かった、

それなら最も平和的に話は終わるだろうか?

しかしもちろん、ヨルはそれで納得しないだろう。


 「何をいまさらですよぅっ!

 あの時、お父さんとは散々話し合ったですよぅっ!!

 ヨルはこのままカラドックやケイジさん達と一緒に魔人クィーンのところまで一緒に旅するって決めたんですよぅぅっ!!」


 「・・・はい、左様ですな、

 ゴア様がお嬢様を説得できなかったようなので・・・私にまでお鉢が回って来たということなのですが・・・。」


 「・・・あー、自分に出来ないことは部下に丸投げですかぁぁ、

 お父さんらしいですぅぅ。」


あ、それ、為政者の考え方としては別に悪くないからね。

物事には適材適所ってあるし。


 「いや、子供の方としちゃ、自分のこと他人任せにした時点で親への信頼度は30%はダウンするからな。」


む・・・ケイジはそういう意見か。

・・・いや、ケイジ・・・


君は本当に恵介とは何の繋がりもないというのか・・・。




 「いえいえ、お嬢様、誤解が少々・・・。」

 「何を誤解するって言うんですかぁぁ・・・。」


あ、また冷めた目をするヨル。

この子、たまーにちょっと怖い顔するんだよね。


 「確かにゴア様はお嬢様を連れ戻すように指示はしました。

 ・・・しかし私はこう申し上げたのですよ、

 ゴア様にも止められなかったお嬢様を私ごときがどうにか出来るとは思いませんと。」


ん?

風向きが違う・・・か?



 「・・・へぇ、じゃあどうするっていうんですかぁぁ?」


 「するとゴア様はこう仰られました、

 ではシグよ、貴様は魔人の所まで陰からヨルを護衛するのだぞ、とね?」


 「・・・はぁ、お父さん・・・、

 シグにも迷惑かけるですねぇぇぇ。」


いかにも迷惑そうに首を振る執事魔族。


 「・・・全くです。

 あれでマドランド最強というのですから厄介です。」


 「それでどうするですかぁ?

 陰からと言いつつ、もうバラしちゃってるじゃないですかぁ?

 でもまあ、魔人の街までヨルをガードしてくれるっていうなら、

 それならそれで構いませんですよぉ?

 『蒼い狼』の皆さんのご迷惑にならないなら、問題ないと思いますしぃぃぃ。」



確かに。

今の話の流れだと、このシグという執事は、私達のパーティーには加わらないが、

ヨル個人を守るというのだろう。

それならそれで構わない。

連携に不安がないでもないが、ヨルに守りのリソースを割かなくてもいいと言うことになるのだろうか?


 「ケイジ、どうする?

 また一人、メンバーが増えるが・・・。」


そこで私は言葉を中断した・・・。

ケイジの形相に異常を感じたからだ。


 「・・・ケイジ?」


彼は私の方に視線をピクリとも動かさない。

ずっと魔族の執事、シグを見つめるだけだ。


 「この感じ・・・。」

 「ケイジ?」


ケイジの左手がいつの間にか腰元の剣の鞘に伸びている?



 「ああ、お嬢様、結論を急いではなりません。」


ん?


 「どういうことですかぁぁ?」


 「いえね?

 お嬢様は魔人・・・クィーンに興味はございませんか?」


!?


 「は、はぁ?

 シグはなにいってるですぅぅ!?」

 「いえ、そんな難しい話はしておりませんよ?

 実はここだけの話なのですがね、

 魔人クィーンは開放的かつ友好的な方でしてね、

 世間的には誤解されることも多いのですが、やって来る者にはたいていは手を差し伸べられるお方です。

 お嬢様も客として魔人の住まう黄金宮殿に行かれるのならば、

 魔人クィーンはきっとあなたを歓迎する事でしょう。」



そこでヨルは槍を向ける!!

 「シ・・・シグ!

 あなた魔人の手下だったですかぁぁ!?

 お、お父さんを裏切るってことですかぁぁぁぁぁぁ!?」


 「いえいえいえ、誤解なさらぬように、

 私は今までもこれからもゴア殿の執事を務めさせていただきますとも、

 ・・・ただ、同時に黄金宮殿へのスカウト、及びナビゲーターの仕事も兼ねさせていただいているだけの事でございます。」



私たちは一斉に臨戦態勢を取る。


 「おやおや、皆さま、反応がよろしいですな?

 せっかくですから、魔人に与えられた力をお披露目させていだきましょうか?」


 

・・・この時、再びあの生暖かい風が吹いたのは、何かの前兆だったのだろうか・・・。



 

さぁて、

シグの能力どうしてくれよう。


案はいくつかあるのだけど、

どれにしようかな・・・。

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