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第百七十四話 ぼっち妖魔は正体を見抜かれる

ぶっくまありがとうございます!


うわあああ、

さすが、オーガのどてっぱらにも風穴開けられるとゴッドアリアさんが豪語するだけの事はある。

あれ、人間が喰らったら即死だよ、

背中から有り得ない程の血がドバドバ出てる。

でも吸血鬼にどれだけのダメージとなるんだろう?


 「ツァーリベルクさん!

 吸血鬼にゴッドアリアさんの土魔法って有効なんですか!?」


確か聖属性の魔法かスキルでないと意味がないようなことを言ってた気がする。

ゴッドアリアさんの粗相は、かなりのダメージになっていそうだけど、

吸血鬼に効かないと言われたら何の慰めにもならない。


 「もちろん、有効だぞ?

 普通の攻撃だって吸血鬼には通じることは通じる。

 ・・・ただ、聖属性以外の攻撃はすぐに再生してしまうんだ。

 と言っても、火・氷・雷の属性も外傷の再生を阻害するからね、

 それらの属性魔法が使えるなら、聖属性でなくてもヴァンパイア相手に戦うことは出来るだろう。」


てことは一見、勝負あったかに見えるあの凶悪なストーンランスも決定打という訳にはいかないのか。


見るとそれを証明するかのように、エドガーはカラダに刺さったストーンランスを無理やり・・・引っこ抜いた!?

ん? なんかおかしな抜け方した?


ダメージは・・・あんまりなさそうだけど、痛みというか、

・・・恐らく怒りの方だろう、憤怒の形相をあたしたちに向けてきた。

怒りの感情に呼応しているのか、沸きあがる魔力の揺らぎも尋常じゃない程膨れ上がっている・・・!


 「もう・・・もう、許さない・・・

 こんな、こんな侮辱は初めてだ・・・。

 同じ妖魔のよしみで大目に見てあげようと思ったのだけど・・・

 もはや、何の遠慮も温情も要らないってことでいいんだね・・・!」


ん?

今のセリフって・・・ラミアさん向け・・・じゃない?

なんか嫌な予感してきた!


 「ラミィさん!

 ゴッドアリアさんをこっちへ!!」

 「はぁーい!

 ごめんね、ゴッドアリアちゃん、

 ちょっとチクってするね?」

 「え、あ? あ痛っ? 

 ・・・あえ? はが・・・!?」


あ、ラミィさん、あの長い爪でゴッドアリアさんの首筋の皮膚を・・・

そうか、ラミィさんの爪には麻痺効果があるんだっけ。

すぐにラミィさんはゴッドアリアさんを抱えて階段の手すりをつたってこっちに帰って来た。

ともかく、これでゴッドアリアさんはこちらで保護!

戦線離脱だけど。



 「おかえりなさい!

 ゴッドアリアさんの事、ありがとうございました!

 そういえばラミィさんて、どんな魔法が使えるんでしたっけ!?」

 「あたしが使えるのはせいぜい、土魔法と水魔法よ?

 他は火も風も大した威力はないわ。」


経験豊富なツァーリベルクさんが渋い顔をする。

 「土と水か・・・吸血鬼にはあまり効果的とは言えんな・・・。」

 「じゃあ、ラミィさんは防御に専念してもらえますか?」

 「それしかないわねー?

 吸血鬼にはあたしの魅了も麻痺も効かないからねー?」


やっぱり改めて比べると、ラミアでは吸血鬼には敵わないのか・・・。


あたしたちが作戦会議している隙に、

吸血鬼エドガーは階段をゆっくり降りてくる。

もはやそのこわばった表情の背景には、お星さまもお花も見えることはない。


ゴッドアリアさんの魔法を食らったせいで洋服がボロボロだが、

中身は完全に再生しているのか、ダメージは全く感じられない。

あれだけの怪我がもう治ったっていうの?



 「・・・許さん・・・許さんぞ・・・!」


どうやら本気で怒らせてしまったようだ。

まぁ部下の屍鬼を消滅させて、獲物を横取りして、さらにお腹に穴開けちゃったからね、

これは無事にここから帰れるとは思えない。

ここでケリをつけるしかないようだ。


ううむ、どうしよう?

ラミィさんが魔法使っても、さっきの話じゃ効果的なダメージは与えられそうにない。

ツァーリベルクさんの技ならダメージを与えて、なおかつ屍鬼に最後に使った技なら吸血鬼を消滅させることも出来そうだ。

・・・でも技を当てられないと意味がないとも言っていた。

せめてエドガーが動けなくなるぐらいダメージを与えるか、

その行動を封じないとそこまで辿り着けることも出来ないだろう。

なら!

今回は一対一!

有効射程範囲内!!

あたしの最大最凶スキルを使わせてもらいましょう!

いきますよ!!


それ!

 「この子に七つのお祝いを!!」


状態異常!!


 あくび!!・・・レジスト!

    えっ!?


 石化!!・・・レジスト!

    あらっ!?

 痙攣!!・・・レジスト!

    うああ・・・

 歯槽膿漏!!・・・レジスト!

    ・・・ぐ

 酩酊!!・・・やったっ!!

 めばちこ!!・・・レジスト!

    むぅぅ、ん? めばちこって何?

 性転換!!・・・レジスト!!

    ダメか・・・はっ!?


うわああああぁぁ、効かない!!

ほとんど弾かれてる!!

ダメだ、

レベル差なのか、魔力に差があるのか、あたしのユニークスキルが役に立たない!!

・・・てか、最後の何!?

性転換!?

そんな恐ろしい状態異常なんてあったのか・・・。

さらにレベルが上がればもっと恐ろしいものが出て来るのだろうか・・・?

だとしたら確かに超極悪スキルと言っても過言ではない。

・・・ただ、相手に弾かれることもあるなら、このスキルにも頼り切るわけにはいかないということだ・・・。


 「む? なんだ?

 足元が・・・まるでアルコールでも摂取したかのように・・・。」

吸血鬼の足がよろける。

階段でも踏み外せばとも思ったけど、さすがにそんな無様なマネはしないようだ。


ちょっと足元をふらつかせる程度のようだ。


 「む、少女よ、

 君のスキルか・・・変わった術を・・・。

 だが僕には効かないようだね・・ヒック。」



いや、酩酊自体は効いているみたいだね・・・

でもそれでこっちが有利になった気はしない。


 「伊藤殿、今度こそ私の後ろに下がっているがいい・・・。

 私の剣を当てる事さえ出来れば奴を倒すことは出来る!」

勇ましいツァーリベルクのお爺ちゃん、

でもこれまでの流れからは、どう見てもただの無鉄砲な強がりにしか見えない。


 「無駄だよ、分からないのかい?

 ヒック、アンデッドバスター?

 それは大層なことだ、

 けれどそのアンデッドバスターが吸血鬼を倒せるとでも?

 君のようなおいぼれには荷が重いだろうに?

 ・・・それと、この吸血鬼の下位互換と呼ぶべきラミア・・・

 再生も人化も持ってない格下の妖魔を呼んだところでどうにかなるとでも思っているのかい?

 そして・・・。」


そこでエドガーはあたしに白い瞳を向けてきた・・・!

 「そこの半端妖魔のお嬢さんに何が出来ると!?」





・・・半端妖魔・・・

あの気味の悪い瞳に映っているというのか、あたしのステータスが。

もちろん、こんな所で他人から視えないように、自分には精神障壁張っていたし、

「妖魔」の部分にはステータス隠蔽をかけている。


それにもかかわらず、視えているというのか・・・。


 「半端妖魔!?

 何を言っているのだ、エドガー殿!?」

 「ほほぉ?

 教会の聖職者ともあろうお方が、共に行動をしている妖魔の正体を見抜けなかったと?

 これは問題だと思いますがねぇ・・・ヒック。」



ツァーリベルクさんもエドガーの視線の先は理解しているようだ。

その先にいるのはあたししかいない。


 

 「アハハハハ、さっきも言ったよ?

 黙っててあげようかと思ったけど、

 僕には視えているのさ!

 君の正体が!! 妖魔リーリトだって!?

 この僕の!

 真眼の前にはステータス隠蔽なんて無意味なんだよ!!」


 「真・・・眼?」


なにそれ?

吸血鬼のオリジナルスキル?

ラミィさんの方に目配せすると、

「あちゃーっ」て顔だ、あれ。


 「あのね、麻衣、

 真眼は、高位の妖魔や、特別な職業に就いた人間が稀に身に付けるスキル ね。

 前に言ったと思ったけど、魔眼や神眼といった上位スキルのもう一つ下って奴だわ。」


ラミィさんのありがたい解説。

そう言えばステータス隠蔽も見透かされるって言ってたっけ。


・・・ここまでかな、



あたしが人間のフリをするのは。


 

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