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第百五十二話 ぼっち妖魔は商売を始める

前回はいきなりパソコンが文字変換するたびにフリーズし始めたためかなり焦りました。

再起動したら直りました。

知らないうちにDiscordがアップデートされてたけどあいつのせいじゃないだろうな・・・。




さて、あたしは元の世界で商売はおろかアルバイトもしたことがない。

そろそろやってみようかなと、思っていたところではあるのだけど。

そもそも、本来幼いうちに父親が死んでいる筈のリーリトならば、もっと積極的にお金を稼ぐ手段を覚えるべきなのだろうが、

幸いなことに稼ぎ頭のパパは今もなお健在なため、自らお金を稼ぐ必要性は薄い。

だからと言って、学校生活だけで満足しているのもどうかとは思う。

ならばこの機会に商売と言うものを経験してもいいのではないか。

ただ、こないだの呪いアイテムの件でもあったように、お仕事を舐めてはいけない。


なので必殺「細かいところはおんぶに抱っこ作戦」を遂行したい!!

ええ、お仕事を舐めてませんよ、

舐めてませんとも。


 「ということでデミオさん! ご協力をお願いできないでしょうか!!」


やって来たのは商人ギルド、

受付の女性にサブギルドマスターのデミオさんを呼んできてもらって、

別室にて、あたしが拵えた自家製プリンを食べさせてみたのである。


 「ぬぁんだ、こりゃああああああっ!!」

 「おっ、美味しいですっ! 食感がたまりませんっ!!

 卵と牛乳でこれだけのものがっ!?」


卵も牛乳も流通しているのに、プリンは存在していなかったようだ、この異世界。

もしかしたら他の国では作られているかもしれない。

冷蔵保存が難しいこの世界では、あったとしても異世界中に広まることはないのだろうか。

そう言えば、こっち来てからお刺身食べてないな。

・・・次の街に行く時は海のある街を探すか・・・。


 「・・・そんで嬢ちゃん、

 相談ってのはギルド前の広場で屋台を出す申請か。」

 「はい、それで、後は食材の手配ですね、

 個人で作るならその辺のお肉屋さん辺りで仕入れるんですけど、

 商売やるなら、直接農家の人に頼んだ方がいいか勝手がわからなくて・・・。」


 「この街で恒久的にやってくつもりじゃないんだろう?」

 「はい、あくまで期間限定で・・・。

 具体的に言うと、ゴッドアリアさんの借金と魔道具作成のメドが立つくらいに・・・。」


 「うう、麻衣、アタイのために・・・。」

うるうるとゴッドアリアさんが感動しているが、勿論あなたにはしっかり働いてもらいますよ?


 「長期で契約するなら農家に直接依頼するのがいいと思うが、

 短期なら農家によっては足元見られるぞ?

 それより必要なのは、卵と牛乳とそして砂糖か?

 なら食材全般の取り扱いならマーヤ夫人のところでもいけるぞ?

 あそこなら紹介も要らないだろ?」


おお! そんなご都合展開が!!

たぶん、マーヤ夫人を登場させた時、そんな展開誰も考えてなかったと思うよね!?

え? おまえは何を言ってるんだって?

誰、その突っ込み?


 「屋台一式なら商人ギルドでレンタルできる。

 あとはこのプリン・・・か?

 容器とか包装は・・・包装材はマーヤ夫人の所でいけるが。」

 「あ、容器についてはもう声をかけてる所が・・・。」

 「ほう? どこだ? それなりに売るならかなりの量が必要だろ?」


実はプリンを作ろうと考えた時に、最初に思ったのが、何に入れようか?

という問題だったんだよね。

それこそゴッドアリアさんの土魔法でいいかと思ったんだけど、

それではあまりに華がなさ過ぎるものね。

そこで思い付いたのが、

 「竹!?」


 「はい、ゴッドアリアさんのアパートの裏に竹林があるんですよ。

 アパートの大家さんにプリンあげるから切っていいかって聞いたら、

 勝手に生えてきたもんだからどうしてくれても構わないと・・・。」


そこでゴッドアリアさんが実際に切って来た竹の容器を二人に見せる。

大きさは確かに統一されてるわけじゃないけど、

売るときには計量カップで計ったプリンを注ぎいれるから、

中身の容量は全て同じ。

後は紙蓋をして周りを装飾性のある紐で縛って完成。


商人ギルドには屋台のレンタル料や場所代を払う。

マーヤ夫人の紹介には正規の食材の取引として・・・

そして「これからも収益を見込めるなら事業の引継ぎ」を匂わせた。

 「もちろん乗らせていただくわ!!」


二つ返事であった。

 「それで一つおいくらで販売するのかしら!?」


材料費がどれくらいかで計算してもらった。

販売するのはあたしとゴッドアリアさんだけなので人件費は一切計算しなくて良い。


そこで出てきた答えがお一つ500ペソルピー。

元の世界なら、この程度のプリンなら200円くらいかなと思う。

スーパー行けばもっと安い値段で売ってるだろう。

でもまだ売り出し初めで希少性、話題性を作れば高めに設定してもおかしいことは何もない。


ただ、あまり高くして庶民の手が届かないものにはしたくなかった。

あくまで、家族みんなでたまにはこういうのもいいよね、的な位置づけで販売したかったのだ。


後はこの味と値段が、この世界の人達に受け入れられるかどうかである。


なお、商人ギルドでは、

売り物の申請を出して、食中毒とか人体に害があるようなものは許可を出さない。

後は何をどう売ろうが商人の勝手であるが、

一応それで「商人ギルド認定」とされる。

ただ認定されたからと言って何がどうなるわけでもない。


これに対して、「商人ギルド」に「一定の申請金」を払って「特許」を取れば、

商人ギルドが管理しているすべての土地で、同じプリンを他の誰かが売り出した場合、

その使用料を権利者に払わねばならない。

つまりあたしが特許を申請すれば、誰かマネしてプリンを売り出した場合、

特許使用料を払わねば違法になるのだ。

そして使用料を払ってくれるのなら、あたしは黙っていてもお金が入ってくる。

もちろん、仲介する商人ギルドには手数料を払う事になるが。


たださすがにこれは・・・。

当たり前の話だが、プリンはあたしが発明したわけじゃない。


ここ結構悩んだんだよねー?

プリンを売ってあたしが儲けるのは構わない。

ただ、特許を取ってあたしと関係ないところからお金を貰うのは気が引ける。

かと言って、何処の誰かも知らない人がこのプリンの製法を知って、誰にもお金を払わず自分たちだけで儲けるのは・・・

あたしがいなかったらあなた達、プリンの作り方わからなかったでしょ?

作り方そのものは簡単なんだけど・・・ううむ。


 「よくわからんが、なら登録商標制度を利用するか?

 ただそれだと個人では登録できんぞ?

 ただ、これなら少なくとも同じものを作られたとしても、同じ名前で販売できなくなるが・・・。」


それで行きましょう!!

このあたしが難しいことを考えようというのがそもそもの間違い!

あたしは商人ギルドにマイマイ商店を設立・登録する。

前も言ったと思うけど、この街でお店を開くには商人ギルドランクを上げるしかない。

ランク上げには一定の収入、そして税金を納める事(これは商人ギルドに手続きを任せることができる・有料)、そして試験で資格を得ねばならないが、

屋台みたいに一時的な出店ならあたしのような駆け出し商人でも認められているのだ。


これらの手続きに丸一日、

そして順番は逆になるが、プリンの試作、使用する砂糖はどれにするか、など試行錯誤で二日ほど時間をかけた。


ゴッドアリアさんが借金取りに捕まると面倒なため、竹を切り出した以外では彼女の家には近寄らず、マーヤ夫人に手配してもらった厨房を借りて初日は200個作り上げた。

全部売れれば10万ペソルピーか。

・・・いけるかな?


 「売り方次第だな・・・。」

 「よろしければ私たちの方で販売も行うわよ?」


デミオさんとマーヤ夫人は獲物を狙うような目であたし達に話しかける・・・。

試されているのか、

美味しいところを持っていこうとしているのか・・・。

マーヤ夫人の商会に全て任せる手も有りと言えば有りなんだけど、

その場合、あたし達の取り分も減ってしまう。

まずは自力でどこまでやれるか・・・。


 

次回・・・おひさしぶりんのあの方が!

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