第百四十一話 誰か自分の心を読んでるんじゃねって思う時ってあるよねって話
妖精戦決着!
ぶっくまありがとうございます!
昨日下書き増やしましたよ、
あと3回は無事に更新できそうです。
前回が分量多目でしたので、
今回、少なめでご容赦下さい。
その瞬間、妖精アルラの右腕が飛ぶ!!
びしゃああっと、
真っ白い体液が辺りに飛び散った!!
「っぎゃああああああああああああっ!?」
速いっ!?
目にも止まらぬとはこのことかっ!?
「私はメリー、
いま、あなたの右腕を落としたの・・・。」
いつの間にか、メリーさんは妖精アルラの背後数メートル先にしゃがんでいた・・・。
一回の跳躍であそこまで飛んだというのか・・・。
それにしても、この妖精、
まさか赤い血が流れているなんて事はないだろうとは思っていたが、
よりにもよってそこに流れる体液は白色なのかよ。
「な、舐めおってぇぇぇぇぇぇぇっ!!
『ストーンシャワー』っ!!」
ヤバいっ!
ここに来て遂に土系最大広範囲呪文ストーンシャワーだっ!
しかも詠唱破棄だとっ!?
攻撃の方向が僕らのいる方じゃないから、僕らは安全だけどメリーさんは・・・
そうだ、しかもメリーさんはミコノのプロテクションシールドの防護も受けていない!
あああ、
メリーさんのいる場所の上空一帯に夥しい数の岩石の群れが生じる!!
あれを一気に落とされたら・・・
「クッカッカッカ!
瓦礫に圧し潰されて砕け散れぃっ! デク人形よっ!!」
その瞬間、凄まじい分量の岩石の雨がメリーさんに襲い掛かる!!
あれを避ける術なんて・・・
「あっぎゃああああああっ!?」
悲鳴を上げたのはアルラ!?
すぐに森の中にストーンシャワーが地面に激突し続けるすさまじい音量が僕らを襲うも、
そんな事など全く関係ないとばかりに妖精アルラの左腕が宙に舞った!!
「私はメリー、いま、あなたの左腕を落としたの。」
「す、凄い、魔法攻撃が、全くメリーさんの速さに追いつけていない・・・。」
ミストレイの言う通りだ。
あの妖精は全ての呪文を詠唱破棄できることから、僕らみたいなパーティーでの集団戦にも圧倒できるようだけど、スピードを生かした個体相手にはその特性も全く役立たないようである。
「ンヤハハハハ、オルベなんかより全然速いぃぃ~。」
うちのパーティー最速のオルベですら脱帽状態だ・・・。
「こ・・・こんな、そんな馬鹿な・・・。」
メリーさんが静かに立ち上がる・・・。
「精神異常も私には効かない・・・。」
一歩、そしてまた一歩メリーさんがアルラに近づく。
「あなたの魔法も私には届かない・・・。」
「あ、うっ・・・!?」
「文字通り、あなたは手も足も出ない・・・
あら? 足は出るのかしら?」
そしてメリーさんがその大鎌を肩に担ぐ・・・。
「ま、待ってくれぃ!!
わ、ワシが悪かった!!
もう人間は食わないっ!!
いろいろ融合して遊んだりもしない!!
じゃ、じゃから許してくれぃ!!
そうじゃ!? そ、そこの男たち!!
そなたたちからも頼んでくれ!!
ワシを助けてくれるなら、精気を抜かずに、ただワシの中に入りに来るだけでも良いぞ!?
出したくなったらいつでもワシの中に出して良いのじゃっ!!」
っぐふっ!
何という魅力的な提案!!
アルラなら四つん這いにさせて後ろから腰を抑えつけたままでもいいし、
僕の膝の上に乗せて肌と肌を密着させて身動き取れなくしてからでもいいし、
もちろん立ったままでも構わないし、抜かずにそのまま連続ででも・・・
「・・・アレン様・・・?」
「!? ああ、なんだい、ミコノ!?」
ヤバい、心を読まれたか!?
いやいやいやいや、僕はもう状態異常にかかってない・・・筈?
「残念ね・・・。」
「あ、え・・・?」
「許しを請うなら・・・あなたが甚振ってきた人間たちに行うべきだった、とは思わない?」
そこでキョトンとする妖精アルラ。
「え?
・・・ああ、そうか、そうじゃな、
じゃあ、さっそく・・・ん?
でも、そんな・・・あれ?」
いや、辺りをキョロキョロ探したって、
もうみんな死んでるんだから、そんな奴はこの場にいないぞ。
そしてメリーさんは鎌を振り上げる・・・・。
「私はメリー・・・、
いま、あなたの・・・ 」
「ちょ、ま、待って!
やめて!! 殺さないでっ!!
せっかくここまで大きくなれたのにっ!
お願い、い、いやあああああっ!!」
妖精アルラの最後は、普通の人間の女の子と似たような反応だった・・・。
もう番狂わせは起きない、
何も起こらない。
そう、
メリーさんは無情にも妖精アルラの首を斬り落とした・・・、
呆気なさ過ぎるほど。
でも、
改めて考えると・・・
これが一番ベストな結末だったと思う。
頭ではアルラが邪悪な妖精とはわかっていても、
あんな幼女の姿をしている者を自分の手で殺して平常な心のままでいられるわけもない。
それは僕だとしても、他のオルベやミストレイだって同じだろう。
オーガバスターズの面々だって同様だ。
直接的な恨みのあるカイゼルシュタットだったらその限りでもないかもしれないが、
どっちにしろ他の人間が幼女に見える者を切り殺す事、
それを傍で見ていることですら心に傷を負いかねない。
「魔物同士が殺し合いをした」
そう考えれば、この先も僕らはやっていける・・・。
そう、これで終わる。
後は妖精アルラの死体から魔石を取り出せばミッション終了・・・。
ところが、メリーさんはまだ一つ残っているとばかりに僕らに厄介ごとを示して見せたのだ。
「魔石の他に、戦利品というか・・・、
マルゴット女王が欲しがりそうなものが残っているのだけど・・・。」
「えっ? メリーさん、それは一体!?」
「妖精アルラ・・・アルラね、
その名前が私の想像通りなら・・・、この妖精にはそれを生み出した本体がいるわよ?
ほっとけば、第二、第三のアルラを生み出すかもしれない。」
まじっすか。
我ながらタイトルはそれでいいのかって思う時がある。