第百三十六話 昔付き合ってた男の性癖をばらす奴って最低だよなって話
ぶっくま、ありがとうございます!
・・・ああ、ストックがなくなる・・・。
下書き残量がもう・・・。
「プロテクションシールド!!」
僧侶のミコノが防御呪文を展開する。
プロテクションシールドは被対象者を中心に球状のシールドを発現させ、
物理的なダメージを軽減する魔法だ。
光闇雷系の呪文には一切防御効果は働かず、
炎系氷系には直接的なダメージは受けないものの、周囲の温度変化には効果が薄い。
そういうわけで、魔力の高い相手には必ずしも適正な防御呪文とは言えないまでも、
敵が基本魔法を使ってくるうちは効果の高い防御呪文である。
先に魔術士のライザがエアスクリーンを使ったが、
あちらは術者を中心に一定の空気の膜を形成する。
エアスクリーンもどちらかと言えば物理的な防御の呪文だが、
あちらは温度変化にも対応できる。
物理的な防御呪文と言えば、ライザはアースウォールも使えるが、視界を塞いでしまうので戦闘用には向かない。
従って戦闘開始前にミコノがプロテクションシールドをかけるのは妥当な戦術、
そしてそれが戦闘開始の合図だ!!
問題は・・・
「あっ、・・・私のシールドではオーガバスターズの皆さんまでは・・・。」
おっと?
通常メンバーでは問題なかったが、人数が増えるとミコノの負担が増大する。
近場にいたカイゼルシュタットとランス使いにはシールドがかかったが、残りのメンバーにはシールドが届かなかったか。
「問題ねぇ!! グランゾ!!」
む? 確か手甲装備したモンクだったかな、
「おう! プロテクションシールドッ!!」
そうか、彼は格闘家だが僧侶の職業適性を持っているんだった。
ミコノより効果は薄いようだが、残りのメンバーにもシールドはかかったようだ。
それはつまり・・・
「オーガバスターズにも回復役はいるってことだね!?」
「そっちの貴族のお嬢さん程には使えねーが、役には立って見せるさ!!」
心強いとも!!
ならば遠距離から仕留めるぞ、
「ライザ!!」
僕の声と共にダークエルフのライザが強力なストーンバレットを!!
だが、こちらの動きを見て妖精アルラも理解したのだろう、
詠唱無視で妖精の周りに光の膜が張られる。
あれはエアスクリーンか!?
ライザは連続でストーンバレットを撃ち込むが妖精のシールドに全て阻まれる。
「むぅ・・・固い・・・生意気・・・。」
一方、攻撃をされた妖精は?
「お、おう、こ、これが魔法か・・・
ワシも使えるが攻撃されるのは初めてじゃったな、
ま、まぁこの程度ならへっちゃらのようだな!!」
余裕がある・・・というより未経験の故か、
ミコノは一度引き返すのも有りと言ってたが・・・もしかしたら、この妖精に経験積ませないほうがいいかもしれないのでは?
「次はあたしの番だね!!
デストラクション・アローっ!!」
ミストレイのデストラクションアローだ!
これはスキルではない。
単純にミストレイが自分で名前をつけただけ。
ハイエルフの森都ビスタール出身の彼女は、自分の姉が似たような名前の二つ名をつけられているのに感化され、姉の得意技そのまま、矢の先端に土属性の魔力を付与し、破壊力を増大させる。
その時、矢を撃たれた標的は爆発したかのような破壊力を与えるのだ。
そして今、その矢は妖精アルラのエアスクリーンを・・・破壊っ!!
「うおおおおおおおおっ!? なんじゃああああっ!?」
惜しいっ!!
確かにミストレイの矢はアルラのエアスクリーンを破った!!
だが、それを見越したのかアルラは慌てて身を捻り、矢の直撃を避けるに成功!
だがシールドを破壊したのなら・・・
「ンヤハハハハーッ!! オルベが行くよーっ!!」
右に左にジグザグと目にも止まらぬ動きで妖精に肉薄!!
さらには接近の際、長く鮮やかな毛並みの尻尾を縦横無尽に動かし、敵の視線を幻惑する。
そして手元を見せずに敵の死角からナイフで切り裂くオルベの得意技!!
接近を感じた妖精はオルベに向かってストーンバレットを連射!!
だがオルベは全てを躱していく!!
「ンヤハハハーっ! 余裕余裕ーっ!!」
「ええい、うざいわぁ!! アースウォール!!」
「ンヤッ!? 回避っ!?」
攻撃の起点が妖精から、急にオルベの足元に変わったせいか、さすがに回避行動を取らざるを得ない!
オルベはジャンプ一番・・・
「空中なら狙いは簡単じゃなぁっ!!
ストーンランスっ!!」
「ンゲェェッ!? やばっ・・・!!」
いけない! いくらオルベでも空中では態勢を変えられない!
このままじゃ・・・
バチィンっ!!
い、いや、今の音はプロテクションシールドが破られた音・・・、
オルベは無事か!?
すぐに彼女は空中でクルッと一転、妖精から距離を取る。
どうやら妖精のストーンランスとプロテクションシールドが相殺されたようだ。
「ンヤハ~、危ない危ない・・・。」
「オルベちゃん、戻って下さい!
シールドを張りなおします!!」
ふぅ、とりあえず互いに小手調べというところか?
それにしてもあの妖精、魔法発動のタイミングがとてつもなく速いぞ?
詠唱破棄できるのも大きいが、あんな連続で呪文が撃てるなんて・・・。
しかし今の攻防を繰り返すなら・・・何故なら僕らにはまだ手札が・・・って
既に突っ込んでた!!
「カイゼルシュタット!!」
バトルアックスを抱えてカイゼルシュタットとランス使いが妖精に突撃する。
「攻撃に切れ目なんか入れるな!!
このまま突っ切るぜ!!」
「・・・全く、男は死なせたくないんじゃがな、アースウォール・・・。」
その接近を阻むように再び土の壁がせり上がる。
だがカイゼルシュタットはオルベとは違う。
「それがどうしたあああああっ!?」
なんとカイゼルシュタットはそれを狙っていたかの如く横薙ぎのフルスイング!!
土壁を木っ端みじんに吹き飛ばしたのだ!!
「嘘じゃろうぅぅぅっ!?」
粉々になった土塊を浴び、思わず態勢を崩す妖精アルラ!
「行け! ジミー!! 初手はくれてやるっ!!」
ランス使いの名はジミーか、
でも男には興味ないや。
それより攻撃は通るか!?
「おわあああああああっ! 来るなーっ!!」
ランス使いが妖精を自らの間合いの中に捉える。
両足を地面の中に突っ込んでいる以上、逃げることは出来ない。
せいぜい、背中を逸らすとかその程度しかできない筈。
なら・・・その近い間合いの中なら魔法も使えまい。
少なくともこの一撃は確実に・・・?
あれ?
あれは誰だ!?
「妖精アルラ、覚悟しろい!!
ここで・・・あっ!?」
ランス使いも攻撃の瞬間、気づいたようだ!
二人の隙間に飛び込むかのように一人の女性が・・・
あっ、あれ!?
「兄さんのかたきぃーっ!!」
案内をしてくれたミランダさん!?
どうしてここにっ!!
「ちょ!? あぶなっ!?」
ミランダさんを巻き込まないために、ランス使いの攻撃のタイミングが遅れてしまう!!
その瞬間、妖精アルラは確かに笑ったんだ・・・。
「アースウォール・・・いや、アースランスか・・・!」
土の中から何本もの槍が飛び出てきたぞっ!?
「きゃあっ!?」
「ぐあっ!!」
なんてことだ!?
二人のカラダを何本もの土の槍が地面から貫いている!?
槍自体、そんな巨大なものではないようなので、まだ致命傷とは言えないとは思う。
でも早く治療しないと・・・!!
それにしてもなんだ、今の術は!?
アースランス!?
「ライザ、今の魔術は何だ!?」
「初めて見る・・・でも・・・真新しい術・・・でもない。
アースウォールとストーンランスを解析・・・複合?」
「そんな事ができるのか!?」
「不可能・・・ではない。
たぶん、その発想さえ・・・思い付けば・・・いえ、既存の魔法の固定観念を・・・
捨て去るなら・・・。」
「アレン様、今はその事ではありません、
それよりどうしてミランダさんが・・・!?」
この位置からはその問いかけも不可能だ。
だが僕らには聞こえてきた。
彼女と妖精との会話を・・・。
「おやぁ? 兄さん~?
兄妹かのう?
どいつじゃ? ワシに精気を抜かれて死んでしまった方か?」
「うっ・・・そ、そこの革のベルトは、私が・・・何年も前に、兄さんの成人の祝いにプレゼント、したもの・・・
いつも、偉そうにしてて、む、村の子にももてなかった兄さんだけど・・・
家族には優しかった兄さんを・・・・うっ、ううっ・・・。」
「それはすまなかったなぁ~、
ああ、そいつか、ワシにも優しかったぞぉ~?
ワシのカラダの隅々まで犬のようにペロペロ舐めまわしておったなぁ~!?」
「なっ!?」
「そうそう、ワシの股間を指で拡げようとして、痛くないからね優しくするからねなどとほざきながらなぁ~っ!」
「うっ! ・・・くっ、あのバカエロ兄貴・・・っ!!」
「あとなんじゃったかなぁ、そうそう、僕のお嫁さんは君だけだよ、
きっと幸せにするからねとか何とか・・・」
「・・・あたしが殺してやればよかったああああっ!!」
もうやめてあげて!
ミランダさんのHPはゼロだよっ!?
みなさま、お気づきかと思いますが、
アレンのパーティーの弓使いエルフ、ミストレイさんは、
以前、ケイジがビスタール弓術大会でお世話になったミストランさんの妹です。
リィナ
「・・・お世話になったんだ?」
ケイジ
「い、いや、別に何もないぞ!?」
この物語の下書きは、ぐーぐるどきゅを利用しています。
大体100ページごとに新しいシートに更新してますが、
ようやく6シート目が終了し、先程7シート目に差し掛かりました。
・・・今回のメリーさんパート長ぇ・・・。
もう終わりに近いとはいえ妖精アルラ編まだ終わらん。
この後、マルゴット女王との対面も残っているというのに。