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第百三十四話 見た目で油断していたらガチでヤバかったという話

そんなに悍しい表現にはしてませんが、

グロ注意。


僕らはその声の元に、何の疑問も持たずに近づいていた。

今思えば、それも誘導されていたんだと思う。

あの無防備な僕らの状態で、それこそ広範囲魔法を使われていたらお終いだった。


もっとも「彼女」の目的からすれば、それは有り得ない事であった。

それもわかったのは後になってからだ。


身長、7~80センチほど?

いや、1メートルくらいか?

足元が土の下に埋まっているので実際の身長より小さく見える。

そして森の広場の真ん中に、ポツンと立ち尽くす妖精種・・・。


うっ・・・


うっひょうううううううう!?

素っ裸じゃあああああん!!


い、いや、そうでなくて、

確かに話に聞く通り、お尻まで隠れる緑銀の長い髪、

うっすらと全身に柔らかい燐光のようなものが纏わりついている・・・。

そしてその双眸は赤紫色に輝いて・・・。


の、呑まれるな! 僕はリーダーだ!!


 「君がこの幻惑の森の妖精か!!」


その眼光は僕に向いている・・・。

いきなり攻撃するなよ?

コミュニケーションが取れるなら無理に戦わなくても・・・


 「アルラ。」


 「・・・えっ!?」

 「ワシの名はアルラじゃっ!!

 人間どもよ、その名で我を呼ぶがよい・・・!」


声も見た目も完全ロリなのに、言葉遣いだけがババァみたいだな?

アルラか・・・。


 「わかった、君の名はアルラだな?

 僕は『栄光の剣』リーダーのアレンだ!!」

 君に聞きたいことがある!!」


そこで彼女はニヤァ・・・と薄い笑みを浮かべた・・・。

それにしても体は完全に幼児・・・いや、胸がローティーン並みに膨らんでいる。

お尻や下腹もだ。

孕ませることは可能だろうか・・・。


 「ほう?

 人間がここに来るのも久しぶりでなぁ?

 よいぞ?

 わしは今、機嫌が良い!

 何でも聞くがよい!!」


 「ありがとう・・・!

 まずは君に聞きたい、

 僕らの街からこの場所へ、いくつかの冒険者たちが君の所に来たと思う。

 彼らを・・・ 」


彼らの事について何か知っているか・・・そう聞こうと思っていた。

だがその質問をしたとき、同じタイミングで、森の周辺に放置されたままの「それら」の姿が目に飛び込んできたのだ。


 「彼らぁ?」

僕の視線が自分から外れ、森の周辺に視線を泳がせていることに気付いたのだろう、

アルラは高らかに笑い始めたのだ。


 「ああああ、彼らかぁ!?

 しばらく前に来た奴らならなぁ、ワシのエサとなったぞぉぉぉ~っ!

 村人たちより栄養があったのか、おかげでワシのレベルもアップしたわぁ!」


エサ!?

エサだって!?

こいつは・・・人間を食べているのか!?

しかしそこにカラダが残っているのに「食べる」とは?

いや、彼女の発言は「エサ」だったか、そのまま人間を食するわけではないのか?


それにしても・・・酷すぎる・・・。

白骨化した死体もあった。

比較的新しい死体なのか・・・腐ったのかミイラ化したのかよくわからないが、原型をとどめている死体もある・・・。


冒険者と思われる遺体の装備品はそのままだ・・・。

彼らが恐らく、三年前の・・・。

見れば魔術士のような服装のものもいる。

妖精には太刀打ちできなかったか・・・。



 「おぃぃ! 先月オレらと似たような格好したオーガブレイカーズが来たはずだ!!

 その人たちをテメェは見なかったか!?」


カイゼルシュタット達はそれを気にするのが当然だよな、

すぐ殺されたのなら、それももう腐り始めているか・・・

だが僕の予想は裏切られた・・・

というか、ここにいる誰も予想できない答えが返って来たのだ。


 「ん~?

 先月来た者達なら・・・生きておるぞぉ?

 そのオーガなんとかやらかは知らんがなぁ?」


なんだって!?


 「どこだっ!?

 先輩たちはどこにいるっ!?」

 「むぅ、慌てるでない、慌てるでない?

 そこからは見えんか?

 ワシから見て左側の植え込みの陰に・・・おるぞよ!?」

アルラは、かわいらしく小さな指をチョンチョンとその方向に動かす。


その言葉にカイゼルシュタットだけでなく、僕らも一様に・・・右・・・だな、

右の視界を探る!!


 「オルベ! わかるか!?」

 「ンヤハハ・・・な、なんか気配はあるね・・・。

 でも、これ・・・なに?」

 

 「ん? 何・・・ってなんだ?」

言っている意味が分からなかった。

いや、落ち着いて考えれば、オルベ自身が何か理解できなかったんだから、そう表現せざるを得なかったんだろう。


妖精種が複数だったり、他に魔物の仲間がいるとは聞いていない、

慎重に行けば危険はないのか?

先にオーガバスターズのランス使いが険しい顔して向かっていった。

 「オルベ・・・。」

 「ンヤハハハァ・・・行きたくないなぁ・・・。」

無理に行かせるつもりはなかったが、

彼女は渋々ランス使いの後についていった。


一方、妖精アルラは無邪気な笑顔でニコニコ笑っている。

 「安心するがよい、別に危険なことは何もないぞ?

 ただ、そいつらを連れて帰ろうというのは勘弁してくれんかのう?」


 「それは無理な注文だ!

 僕らは彼らの探索も兼ねているんでね、無事なら全員連れて帰る!」


 「ふむぅ、無事・・・無事・・・無事のぅ・・・?」

 「何が言いたい!?」

 「いやいやいや、人間でいうところの百聞は一見に如かず、というやつかのう?

 どうじゃ?

 探しておるのは彼らで相違ないか?」


そこで再び視線をランス使いとオルベの方に向ける。

ん?


様子がおかしい・・・?

二人のカラダが固まっている。

オルベ達の視線は地面に向けて・・・


オーガブレイカーズの一団は野ざらしで寝かせられているという事だろうか?

・・・いや、オルベの視線は少し高いな?

まるでもう一人、同じ身長の妖精がそこにいたかのような・・・


 「キャアアアアアアアアアアアアッ!!」

 「ヒィィィィィィィィィィィィィッ!!」


なんだ!?

その悲鳴はどちらが先だったのか、

恐らく「それ」を最初に見たのはランス使いの方だったのだろう、

だがきっと彼はそれが何なのか、すぐに判別できなかったに違いない。

そこでオルベが同じくそれを見つけて・・・どちらがともなく、それが何かようやくわかったのに違いない。


オルベ達の悲鳴に僕らはすぐに彼女達の元に辿り着く。

二人は腰をぬかして冷たい地べたにへたり込んでいた・・・。


 「オルベ、君は一体なにを・・・ 」



そして僕らは同じものを見た・・・!


 「・・・え?」


これはなんだ?


 「え? え? ・・・え!?」


それは立っていた・・・いや、地面に妖精と同じように足元を埋もれさせ・・・

「それ?」

二本の突起物が生えた・・・

・・・肉の塊・・・え? あれ男性器?


大きさは・・・いや、立っている、のか?

身長1メートルほどの、人間と同じ肌をした・・・顔?

胸? そもそも何処の部位なのか?

肉の塊の片側に・・・頭のような異物が斜めな角度に生えていて・・・二つの目、口、鼻・・・少し離れた場所に垂れ下がった性器?

それが肉の塊の背中側にももう一組?

二つの頭が肉の塊の表面に浮き出て、近づいた僕らを見据えていたのだ・・・!


 「「あわうぃあhうぁうがwぐいあがわgwががいw!!」」


「それ」は叫び声を上げた!!

何を言ってるんだかわからない!!

悲鳴なのか!

これはなんなんだ!?


1メートルほどの物体に人間の頭が二つ!

服も着ていない!!

足!?

足はある!?

一人分の!!

でも足の生え方も変だぞ?

左右の足の長さが異なっているし、まるで太ももの途中から体に繋がっているみたいだ!



それに腕に相当する部分がない!!

腰と腹と・・・それだけか!?

首はないのか、胴体からいきなり頭が生えてるようにも見える。


あ、あと、あれ・・・男根・・・ペニスというものが・・・

二本・・・所在なさげにぶらぶら揺れているっ!!



 「そっ、その顔はあああああ!?」

後ろからカイゼルシュタットが悲鳴にも似た声をあげた。

 「あああああにぃきぃぃぃいぃぃっ!?」


兄貴だって?

この頭が二つ生えた肉塊が!?

オーガブレイカーズはカイゼルシュタット達にとって先輩にあたるパーティーと聞いていたが・・・、

血の繋がっていた肉親がいたのか・・・。


それが・・・


無理もない、

家族がこんな変わり果てた姿になったら・・・。


 「クワーハッハッハ!!

 驚いた!? 驚いたか!?

 ワシもこんな事ができるようになったのもつい最近でのう?

 ユニークスキル【融合】と言ったかな?

 人間は栄養を吸い過ぎると死んでしまうのでなぁ、

 どう逃がさずにこの場に留めればいいのか悩んでおったのよ、

 そこでこのスキルで、いらぬ部分を削ぎ、二人のカラダを繋げて、動けぬようにしてしまえば、

 ワシは好きな時に栄養を吸い出せるというわけよぉ!!

 最初は足を二本とも切り落としていたのじゃが、何度も実験しておるうちに正気でなくなったようでなあ、

 逃げる心配も要らんようになったので、足はまた別の人間のものを繋げ直してあるがなあ!?」

 


妖精アルラちゃんの3分間くっきんぐ


「まずはストーンランス生成じゃな、

魔力の少ない者は形状を鋭利な刃物に変形させたストーンでもよいぞ?」

「それで、材料をスパスパ斬るのじゃ、即死させんように気を付けるのじゃぞ?」

「そのままだと出血多量で死亡するので手早く処理するのが肝心じゃ。」

「材料をいくつか用意出来たら、それぞれ別々のカラダを切断面同士で融合させると出血が止まるわけじゃな!!」

「後は美味しくいただくだけじゃ!

注意することは、完成させたボディには人間一人分の内臓を入れておかないと長持ちせんし、味も悪くなるからの。」

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