第百二十九話 妖精、教育される
今回のエピソードは完全にミコノたちの与り知らぬ部分ですので、
タイトルもミコノ視点バージョンから変えてあります。
話は再び3年前・・・。
「アラ? マタアソビニキタノ?」
「おお、元気そうだな、ほらよ、お土産だ。」
相変わらず両足の脛辺りから下は土の中に埋まったままかよ。
「コレハナニ?」
「ホーンラビットだよ、そこで仕留めた。」
「ワタシハアナタノヨウニ ニクヲタベラレナイノダケド。」
「そうかぁ、そいつはすまねーなあ、
ていうか、妖精だって食事はするだろ?
普段何を食べてるんだ?」
「ジメンカラセイキヲスッテイル。」
「・・・性・・・?
あ、ああ、精気な!?」
あぶねーあぶねー、オレは何を考えてるんだ?
欲求不満か?
まぁ確かに嫁さん募集中だけどよ。
ナニヲアワテテイルンダロウ、コノニンゲンハ。
ワタシハホカノイキモノノヨウニショクジハシナイ・・・。
デモコノホーンラビットヲミテルト・・・
「おい、どうした?
その肉に何かあるのか?」
「・・・タベレルカモシレナイ。」
「ほえ?
ああ、食えるんなら喰いなよ?
火で焼いた方がいいか?
時間くれるなら火をおこすぞ?」
「・・・ウウン、タブンコウスレバ・・・。」
ジメンニウメル・・・
イツモトイッショ、
ソシテワタシノ「ネ」ガコノウサギノセイヲ・・・
「ウフ・・・。」
「お? どうした!?」
「オ、美味シイ・・・。」
「く、食えるのか! 地面から吸い取って!
両足を土の中に突っ込んでりゃ食う事になるのか?
ハハッ、器用だな、お前!!」
多分、今マデモコウヤッテ食ベテイタンダロウ、
デモ虫トカ他ノ植物バカリデ・・・
「ネエ・・・?」
「なんだ?」
「他ノオ肉モ食ベテミタイ。」
「あ、おお、いいぞ?
でもな、物にもよるが獲物を捉えるのって大変なんだぞ?」
「出来ナイ?」
「・・・出来なくはないが、オレもそんな余裕はないんだ。
何かオレにメリットがないとそう簡単に願いは聞けねーな。」
「・・・ナラ。」
「ん?」
「私ガナニカ代ワリニナルモノトカ出セバイイ?」
おっ?
「・・・代わりか・・・そうだな、そうしてくれりゃ・・・
出来りゃ金なんかがいいんだが、金なんかお前、持ってないよな?」
待てよ?
これって・・・もしかして・・・。
「カネ?」
「ああ、いや、やっぱ金はいい、そうだな、
それじゃ、お、オレの願いを聞いてくれるか?」
そう、そうだよ、ここには誰もいないんだし、
来るとしても同じ村の連中で数人だけだ。
村を出る時、今日は俺が行くからお前ら来なくていいぞって断りいれりゃ済む話・・・。
これでこの妖精が俺の言う事さえ聞いてくれれば・・・
「アナタノ願イ?」
「そ、そうだ、あのさ、
少しでいいから、き、きみに触らせてくれないか?
痛いことはしないからさ・・・!」
「ソレダケ? イタクナイ?」
「勿論だ! もし痛かったりしたらすぐ言ってくれ、
その場で止めるから!!」
「ジャア・・・イイヨ。」
よっしゃあっ!
そしてオレは妖精に近づく・・・。
こいつもオレが何をするのか興味深げにオレを見つめるだけだ。
オレはゆっくり彼女の光り輝く緑の髪をなでる・・・。
そして慎重に彼女の小さい肩に手を触れる・・・。
ピクリと彼女がオレの顔を見上げる。
最初は気味悪かった彼女の赤紫の眼球にも慣れてきたな、
今は怖くもなんともない。
不思議だ。
人間じゃないとわかっちゃいるが、こいつには人間と同じ体温がある。
自然・・・そう、ここから先の流れは自然な展開だ。
両腕を拡げて優しく彼女を抱きしめる・・・。
「どうだ? 痛かったり怖かったりするか?」
「・・・ウウン? デモナンデコンナコトスルノ?」
「人間はな、いや、他の動物もだが、気に入った相手とこうやって、
抱き合ったり、カラダをこすり合ったりするんだよ・・・。」
うん、嘘じゃねーよな。
「・・・フーン、ワタシモ抱キシメカエシタ方がイイ?」
「お、おお! ゆっくりやさしくな!!」
やったぜ! 相手が何もしなかったら人形抱いてるみたいだしな!
こうやってオレに慣れさせてゆけば!!
彼女の短い腕がオレの腰に回る。
やっぱ小さいな。
そこでおれは両膝を地面をつけて、彼女の身長にカラダを合わせる。
視線が並んだ・・・。
いや、まだ俺の方が少し高いか。
互いの胸を密着させて、頬を彼女の小さいそこにこすり付ける・・・。
「うひょっ、かわいいな・・・。」
「カワイイ?」
「ああ、かわいいぞ、
こ、このまま、口をつけるからな・・・。」
「ソレモ・・・ソウスルモノなの?」
「ああ、気にいったヤツとだけな・・・。」
互いの湿った息が顔にあたる・・・。
「・・・ン。」
オレは妖精の唇に口を重ねた・・・。
彼女もいない一人モンとはいえ、若い時には村の女とキスくらいはしたことある。
さすがにキスの味は人間の女とは微妙に違うと思うが、
ほんのりとした甘味と湿り気は一緒だ・・・!
そう! なんか草花の蜜を吸ってる感じと言えばいいのかな?
数秒、そのままにしていたが、オレは意を決して舌先を彼女の口の中にこじ入れる。
「ンンッ!?」
動くんじゃねぇ!
妖精はびっくりしたようだが、その反応を抑えるように、オレは妖精を抱く両腕に力を入れた。
うへへ! オレの股間が漲るぅぅっ!!
お! 妖精の舌とオレの舌が出会ったぞ!
逃がさないからな、そうそう、正面からオレの舌を味わえ。
ぐりぐり仲良くな!
「ンンッ! ンン・・・ッ!!」
そうそう、一緒にぐりぐりぐりぐり。
妖精の口の中も唾液が溢れてきたのか、互いの唇の端から温かいものが垂れてきた。
ふへへへへへ!
一滴残さず吸い取ってやる。
妖精は困ったかのように身をよじるが、
オレは背中をさすり、
剥き出しのお尻を鷲掴みにする。
「ヒッ?」
お、おお、指が食い込む!
よがってるぞ、こいつ、
感じてるのか!?
「ンンッ! ンッ!!」
妖精は抗議するかのように小さい腕をばたつかせる。
さすがにこの辺にしておいた方がいい・・・かもな。
いきなり最初で飛ばすのはいけないよな、
おれはそこで唇を離す・・・。
でも腕や手はそのまま彼女を縛り付けたままな。
「ど、どうだ? 痛かったり苦しかったりしたか?」
「ビ、ビックリした・・・。
な、ナニアレ?」
「へ、へへ、少しでもお前も気持ち良かったらいいんだけどな、
その時はオレらの相性がいいってことだ。
どうだ? 肉を持ってくる度にこういうことさせてもらえるんなら、交渉成立ってことで。」
「・・・ン、
ダ、大丈夫・・・。」
よっしゃーーーーっ! 交渉成立--っ!!
あ、あとはだな。
「そ、それとだな、今の話は他の奴には言うんじゃねーぞ!!
オレとお前だけの秘密な!!」
「秘密? ・・・ワカッタ。」
そこでオレはもう一度キスをする。
向こうも学習してるのかオレの顔の動きに合わせて唇を近づけてきた。
「ん、いい子だ・・・。」
ウハ! こういうのなんなんだろうな?
ロリコン?
うるせえ、ちげーよ!
人間と妖精でそういう関係になれるもんかな!?
実は俺、人類の新たな可能性の開拓に貢献してるんじゃね?
次、来たときは・・・ふふふ、次来たときは!
ふははははっはははは!!
この世の春だっ!!
ロリっていうか・・・ペド・・・いえ!
この妖精の年齢、60才くらいにしとこう。
地中で60年くらい過ごして、
そうそう、セミみたいに。
妖精の実年齢は60才!!
今回、ホーンラビット食べてから漢字が使えるようになりました。
次回・・・妖精に名前が付きます。
「食事の時間」