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第百二十八話 その妖精、発禁になりませんでしょうか?

ぶっくま、ありがとうございます!!


・・・前回、見直しが甘く、いろいろ誤記とかやらかしてましたが、気づいた場所は修正しました。

まだあるかも。


なお、冒険者ギルド含め公都では、現在話題のエリアを「幻惑の森」と呼んでますが、

地元の村人は「迷いの森」と呼んでます。

特に深い意味はありません。

その方がしっくり来るかなと思っただけです。


・・・オジサン・・・ダレ?

 

 「ヒッ!?

 な、なんでバレた!?」

こっちを向きやがった!?

こんな暗がりで大木の陰に隠れてるのに?


ソコ イル ワカルヨ・・・オジサン、オーク? コボルト?


 「は!? い、いや、オレはヒューマンだぞ!! ヒューマン! 人間!!

 わかるか!?」

なんでオレがオークやコボルトなんだよ、純正純生の人間様だぞ!?


ヒューマン? ニンゲン?


 「そ、そうだ・・・!

 もしかして人間に会うのは初めてか?」


ハジメテ・・・?

ワカラナイ、オジサン、スガタ、ミセテ・・・。


ええええ、どうすりゃいいんだ?

逃げれないのか?

逃げてもよさそうだけど・・・もし追ってきたら・・・。

で、でも敵意は・・・感じないよな?

別に腹を空かせてそうにも見えないし・・・。

ていうか、両足を地面の下に埋めて何やってるんだ?

涼しいのか、あれ?

まぁそれより、仕方ない、あいつの前に出ていくか・・・。


 「お、オラ、これでどうだ?

 てか、お前、俺を襲わないよな・・・?」


オジサン・・・マエ ココ キタヒト、ニテル?

オソウッテナニ?

タベルコト?

オナカ ヘッテナイ・・・。


 「あ、ああ、前に来た奴な、あいつはオレの村の人間だ、

 森の中でお前に出くわしたことも聞いている・・・。

 てっきり見間違いかデマかと思ってたんだが・・・。」


アノヒト、ワタシミテニゲテッタ・・・シツレイ


 「は、ハハッ、ホントにそうだな、

 あいつは臆病なんだよ。

 それより、君はなんなんだ? 妖精なのか?」


改めて姿を見るに、人間だと3、4才くらいにしか見えないぞ?

しかも素っ裸で・・・。

む・・・といってもアレだな・・・。

もちろん、胸は大きくはないが、膨らみ始めてる?

下腹も・・・人間の三歳児というよりは・・・大人の女に近い・・・

もちろん、まだ生えてはいないけども!

ゴクリ!


いやいや、オレはロリコンじゃねぇ!


ワタシ・・・タブン ヨウセイ・・・

・・・オジサン、ドコミテル?


 「いえいえいえ! どこも見てません!!

 そ、それで君はどうしてこんなとこで一人でいるんだ?」


妖精か・・・そうでも言われねーと納得できねーよな、

緑銀・・・とでも言うのか、薄っすらと発光しているようなサラサラの髪に、

なんでか知らんけど、両足の膝から下が土の下に埋まってる。

これだけ気持ち悪いな、赤紫の眼球・・・。

瞳のようなものは存在しない。

ただただ、赤紫だ。


ワタシ、サイショカラ ヒトリ・・・。

ココデウマレタ・・・、

ヨソニハイケナイ・・・。


 「・・・そいつは残念だな・・・。

 なんなら村に連れ帰ってやろうかと思ったんだが・・・。」


ムラ? ソコ アナタノヨウナニンゲン タクサンイル?


 「まぁ・・・こじんまりした村なんでな、

 あまり人はいないがな。

 ここにいるよりかは退屈しないと思うぞ。」


・・・デモワタシウゴケナイ・・・


なんか、ちょっと可哀そうになってきたな。


 「そうか、オレもここに残るわけにもいかんしな・・・、

 なら、たまに様子を見に来てやる。

 他の奴も気が向いたら遊びに来るよう言ってやるさ。

 ・・・あ、でもここ迷いの森っていうぐらいだからなぁ、

 そう簡単にたどり着けないか?」


チカク キタラ ユウドウデキルヨ?


 「そうか! そりゃあ頼りになるな!

 じゃぁ、こんどお土産持ってくるからよ!!

 それまで元気で過ごせよ!!」


ホントウニ?


 「ああ、約束だ!!」

ヤクソク・・・フフ、ウレシイ・・・。


あいつは別れ際、オレの姿が見えなくなるであろう場所まで、俺の方を名残惜しそうに、ずっと見てやがった・・・。


そんなことされると・・・後ろ髪、引かれないでもないが・・・

なんか・・・いいな、こういうの。





 「そこで、そ奴は村に帰ってくるなり、大騒ぎでその妖精の事を喋った。

 みんな最初は胡散臭げに聞いておったが、一番初めにその妖精を見つけた者と目撃情報が合致したことで、話の信ぴょう性が一気に高まった。」


私たちは質問も入れずに、ここまで一気に長老様の話を聞きました。

 「今の話を聞く限りでは、あまり危険な妖精には聞こえませんでしたね?」


アレン様の言う通り、むしろ可愛いイメージしかありませんね。

気になると言えば、裸の幼子の姿をしているとか・・・。

衣服を一切纏ってないのは仕方ないのでしょうが、さすがにそんな小さな子供の姿に、低劣な欲情を覚える者はいないでしょうね?


 「・・・そうじゃろうなぁ、

 向こうも生まれたばかりで、人間とどう接していいのかわからなかったのかもしれん。

 実際にその後も何人かが森の妖精に会いに行った。

 ちゃんと出会えた者もいれば、見つけることも出来ずに村に帰って来た者もおる。

 ただ、最初にその妖精を発見した者と、そして再び会う事を約束した猟師は、その後も何回も会えたそうじゃ・・・。

 お互い、友達のように親交を深めていったと聞く。」


 「そ、それが何故?」

 「詳しくは分からん・・・

 今言えるのは・・・その二人を含め、数人の男が、この村に帰ってこなくなったというだけじゃ。」


 「その妖精の元で元気に暮らしているという可能性は?」


 「それはない・・・。」

 「何故そう言い切れるのですか?」


 「言ったろう、他にも何人かがその妖精の元に辿り着けたと。」

 「え? ええ、そうですね、それで?」


 「その妖精の元に辿り着き・・・

 この村に生きて逃げ帰ってこれた者はたった二人だけじゃ。

 その二人は見たのじゃよ・・・。

 その妖精の元で猟師たちの変わり果てた姿をの・・・。」

 「・・・。」


 「そこでようやくわしらも危険性を認識した。

 冒険者ギルドに妖精討伐の依頼をかけたんじゃ・・・。」


それは知りませんでした。

冒険者ギルドには、日夜、様々な依頼が舞い込み、任務遂行しやすいものから早いもの順で依頼は消化されていきます。

当然、そうなったら後から来たパーティーは、どんな依頼が貼り出されていたのか、知ることも出来ません。


そしてまた、自分たちのランクとかけ離れた依頼は興味すら持たれないでしょう。

とは言っても、3年前以降・・・の話ならアレン様のパーティーは、まだDランクの頃でしょうか?

あ、まだ私はパーティーに参加していませんね、その頃なら。


 「・・・そう言えば、当時、妖精討伐の依頼があった気がするな、

 あの時、生まれたばかりの妖精種とは聞いていたが、その時、僕のパーティーにはミコノのような僧侶はいなかったからね、

 妖精の魔法を警戒して僕は依頼を受けようとは思わなかった・・・。」

 「さすがはアレン様、素晴らしい判断です・・・。」


本当にアレン様はただの正義感に熱く燃えるだけの馬鹿貴族ではありません、

ちゃんと勝てる勝てないの状況判断にも優れたお方です。

だからこそ、私たちはみんなアレン様についていくのです。


 「当時、冒険者ギルドは妖精種の討伐をどのランクに設定したのですか?」

あ、お話の続きを聞きましょう。


 「最初はDランクとして扱うと言っておった。

 ・・・正直、生まれたばかりの妖精じゃったし、こっちも金銭的に余裕があったわけではないのでな、

 Eランクの依頼にできないかと掛け合ったんじゃが、最低Dランクでないと依頼は受けられないと・・・。」


 「え・・・それって・・・。」

 「やってきたのはまさしくDランクパーティーじゃったよ、

 わしらも高い金払ったんじゃしな、すぐに片が付くと思った。

 唯一心配なのが、森に迷ってパーティーが帰ってこれなくなることじゃったが・・・

 村の案内人をつければなんとかなるかと・・・

 じゃが、そのパーティーは戻ってこなかった、案内人ごと・・・。」


 「魔物の討伐依頼は期限以内に達成されなければ失敗扱いになります。」

 「ふむ、その後、いくつかのパーティーが妖精討伐に向かったが誰も戻ってこんかった・・・。」

 「それじゃあ・・・その上の・・・Cランクか、Bランクパーティーは?」

 「一度、ギルドから連絡が来たよ・・・、

 これ以上、Dランクとして依頼を受けるわけにはいかないと。

 Cランク、いやBランクの討伐依頼として更新せざるを得ないとね、

 しかしわしらにそこまでの金銭はなかった・・・。」


 「普通なら村の存亡に関わる話です、

 お金の問題ではない筈なのですが・・・。」


 「村の存亡に関わるならな・・・。」

 「ああ、そう言えば妖精は自分のテリトリーから出てこないのでしたね?」


 「その通りじゃ、

 こっちから妖精の元に向かわなければ何の害もない・・・。

 たまに間違って村人が彼女のテリトリーに迷い込んだりしなければ、この村は何も変わらないのじゃ・・・。」


 「ではそこで依頼を取り下げたと・・・。」


 「ふむ、迷いの森に生える薬草を入手できなくなるのは・・・痛手じゃったが、

 働き盛りの男手を失うよりマシじゃ・・・。

 そこで今のワシらが恐れるのはな、

 中途半端な実力の冒険者が、迂闊にその妖精を刺激して、彼女がテリトリーを拡げたり、

 この村に襲って来たりせやせんかとな、そっちの方が切実な話なんじゃよ。」


そういうことですか。

その間に冒険者ギルドに未討伐の妖精種の話が残り、噂はグリフィス公国のマルゴット女王にまで話は伝わったわけですね。

あの女王様の事ですから、自分たちの手勢を率いて、自ら妖精討伐とかしそうですけど、隣国とのゴタゴタやら小競り合いがここ何年か起きてましたからね、

そんな余裕もなかったのでしょう。


ここでアレン様は「オーガバスターズ」のカイゼルシュタットさんに話を振ります。

 「『オーガブレイカーズ』は何の依頼を受けたんだい?

 彼らのパーティー構成も妖精討伐には向いてないと思うのだけど。」


 「・・・この森の先にコボルトの集落があると聞いていた。

 森の開拓を行う前にそいつらを殲滅する依頼を受けていた・・・。」


 「あっ、それは・・・。」

長老様が狼狽えた表情を浮かべます。

 「もしかしてこの村で掛けた依頼だったのですか?」

 「い、いや、あ、確かにこの村で出した依頼じゃが、私は関知しておらん!

 村の若い衆が、このまま産業が発展しなければ村に未来はないと・・・。」


なるほど、さては依頼を掛ける時に妖精種の話をギルドにしなかったのかもしれませんね。

確かに、コボルトの殲滅だけを目的とするなら不要な話です。

けれど、その通り道に妖精種がいるならば・・・。

ただその情報を付け加えた場合、依頼料が跳ね上がる可能性があります。

恐らくはわざと・・・。


 「いや! そもそも迷いの森を通過せずにコボルトの集落には辿り着けるはずじゃ!

 考えられるのは道を誤ったか、もしくはどこかで妖精の情報を聞いたその冒険者たちが、功名心に逸って・・・

 ま、まだ他にも考えられるぞ?

 単純に妖精種は関係なく、コボルトの一団にやられたのかも・・・!!」


 「ありえねーよ!!」

 「ヒッ!?」


カイゼルシュタットさんが長老様の言葉を遮ります。

 「先輩たちのパーティーは、それこそオーガを倒すために結成されたパーティーだ。

 人型魔物でゴブリンと並んで最弱のコボルトに後れを取る筈がねえ!

 例え相手が進化を果たしたコボルトキングがいてもな!!」


 「誘導・・・。」


 「「「えっ?」」」

今の声の主は?


誰もがその声の主を探して振り返ります。

あ、フードで顔を隠したメリーさんですね。

 「メリーさん・・・何か心当たりでも?」


 「確証はないけども・・・、

 今の話を聞く限り、テリトリーの外の人間をも自分の所へ引き寄せられるなら・・・。」



 「えっ、それって・・・。」


 「かなり厄介な魔物、ということになるわね。」



 

この後、話がエスカレートしますけど、

犠牲者の回想シーンはアレン達やミコノさんは勿論、長老も知りません。

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