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 月日が流れ、成人となった俺は世話になった孤児院(家)のためにと働きに出た。お金の稼ぎ方は単純だ。子供にでも稼げる。そう大金は得られないかもしれないが、パンひとつぐらいなら買えるほどだ。

 俺らは孤児院(家)でパンひとつだけでもそれがどれくらいの苦労を重ねて得たのかを先生や旅立った冒険者、先輩から話しを聞いて、俺らもお金の工面の仕方、貯金の仕方、稼ぐ方法などを学び、俺らが成人を迎えたときには、ひとりでも世の中に出て稼げるようになった。


「次の仕事が見つかった。アーチ峠の魔物せん滅だ」

「アーチ…峠って昨月、オークの集団が商人が乗った馬車を襲ったという話があったな」

「どこで訊いたんだ? リク」

 リク。俺の仲間でこの中でも最年少だ。左目に黒い眼帯をつけ、青い銀色の髪をした小柄の少年だ。

「同じ傭兵から聞いた。危険な仕事だが商人からの依頼だ。価値はあるっていう話さ」

 話しを聞いているのなら早いと言い、

「では、この依頼を引き受ける人は手を挙げてくれ」

 五人の仲間のうち俺を含めて三人が手を挙げた。

「あれ? リクは行く気じゃないの?」

「ハァ? バカか。オークが潜む場所にぼくがいたら大変だろう」

「でもよ、リクは魔法使いだ。一掃できるし、それに…」

「それでも、ぼくは反対だ。行きたいなら、手を挙げた人だけ行けばいいだろう」

 そう言って、席を後にして建物から出て行ってしまった。

「私も今回はパス」

 酒飲みのビリング。彼女は酒が強く、仕事帰りは必ず酒を飲む癖…というよりもアルコール中毒だ。そんなビリングの仕事ぶりは他の剣士とは比べ物にならないほど剣の腕はいい。

 報酬の金がビリングとミアの二人の食費で消えていることに気づいているのだろうかと疑わしいところだ。

「ミアはどうする?」

 この中でも身長は高い方だ。魔物や動物の声を聞くことができるという特殊能力を持っているうえ、回復魔法が唯一使える女性だ。細身でありながら体系に問わずいくらでも食べれるという腹の作りがおかしいのではないかと疑うほどだ。

「今日は別の要件があるので、行けれません」

「どんな要件だ?」

 ウォークが尋ねた。

「リクとビリングの三人で別の依頼を受けたので、参加はできないのです」

「でも、いま手を挙げたよね?」

「食べ物の追加で手を挙げたんです」


 結局、三人は参加できず、二人だけでオークせん滅へとマーチ峠に向かった。

「ウォーク二人か…こんなの昔みたいだ」

「ああ、あの時か」

 過去を振り返る。まだ、孤児院出たばかりだったころ、二人だけで仕事を探そうとしていた。あるとき、山にゴブリンが現れたと話を聞き、せん滅に向かったことがある。道具が不足していて、装備も未熟だった。初めてゴブリンとの戦いで、ウォークは腕に怪我をして、囲まれて、危ない状況だった。

「あの時は危なかった。エルザを庇ったら切られちまったからな」

「あの時はすまなかったって。俺が油断していたからな」

「その油断が命取りなんだよ。まぁ、結局はどうにかできたんだからいいじゃねーか」

 どうにかして、剣を投げるなり、ゴブリンの武器を奪って戦ったりしてどうにか勝てたっけ。

「あの日からだよな、仲間を集めるようにギルドに赴いたり、魔物の討伐を避けたりするようになったのは」

「そうだったな。でも、魔物討伐以外は金銭的に苦労が絶えなくて、結局討伐に戻ることになったけどな」

 半笑いした。

「けど、あの時とは違う。装備も道具もある」

「ただ、仲間がいないだけど。さて、おしゃべりはここまでだ。この先は生きるか死ぬかだ」

「昔のようなヘボはしないさ」

 そう言って、オークが根城にするマーチ峠に二人はかけ走っていった。

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