EP.0 魔法使いの村
新作連載小説です。
メインと並行しての投稿ですので頻度、高くないです。
まだまだ至らないところがあると思いますがよろしくお願いします。
少女は大きく、可憐な瞳を閉じて大きく深呼吸する。
2度、3度深呼吸した後、透明な水晶に手をかざす。
自分の力を示してくれる魔法の水晶。
この水晶が自分の力を見せてくれると考えるだけでぞくぞくしてしまう。
自分の力がどれほどなのか今すぐにでも見たくなる。
何故か?それは彼女が「魔女」の娘だからだ…。
時はソーサラー743年、ドルド帝国の深き森、「ボノ大森林」にある村でのこと。
この村では200名程度の人々が生活していた。
村の住人達は盛んに農業や林業を行っていた。
この村でしか取れない「特産品」で帝都と取引もしていた。
何も知らない人間が来たところで、他の一般的な村と勘違いしても不思議ではない。
しかしこの村には他の村にはない点がいくつかある。
それはここの住民たちが全員「魔法」が使えることだ。
この世界で魔法を使う者は魔物や魔族しかいない。
生身の人間では魔法を使うことができない。
何か特別な理由がなければの話だが…。
その例外がこの村に住む住民たちなのだ。
この村に住む住民の祖先たちははるか昔、世界を狂わせた邪神、「ボルヴァ・デモス」との間に魔の契約を結んだのだ。
この契約により、寿命が20年減る代わりに魔法が使えるようになることができるようになったのだ。
そして今になってもその契約は続いておりこの村の住人は15歳を過ぎると魔法が使えるようになってくるのだ。
しかし、そのことは村の者以外のものに言ってはならない。
普通は使えない魔法を人間が使っていたら、大騒ぎどころの話ではない。
気味悪がる人々によって村の住人全体が死に追いやられることになるのだ。
そうしてこの村では秘密が漏れることがなく、長い時が過ぎていったのだ。
そしてこの村では15歳になると成人の儀式とともに、魔法が使えるかどうかを見極める「魔測の儀」
が執り行われる。
そしてこの物語の主人公である1人の少女がこの儀式に臨むこととなる。
その少女の名は、エラ・ディオスと言う。