9 受け継ぎしものと誓いを今
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ありがとうございます!
しばらく皆でお茶を楽しんでいると、部屋の準備が出来たと侍女さんが報告に来てくれて僕は護衛で付いてきたユーリとアリシアと共に部屋に向かう。
何故アリシアとかって?
アリシアが僕の側を離れてくれないからだよ。
どうやら思いの外なつかれ度合いが高いらしくて、ずっと僕にベッタリの状態のアリシア。
一応、離そうとしたけど・・・無理でした。
だってさ、涙目で「一緒・・・ダメ・・・?」なんて聞かれたらもうそれ以上何も言えないでしょ?
まあ、そんな訳であきらめて僕はアリシアを連れて部屋に向かう。
ちなみにユーリは完全に僕の護衛だから、特別なことがなければ側にいるらしい。
護衛とかは別にいいのに・・・と思ったけど、過保護なお父様と母上から万が一のためにという話でそうなったらしい。
案内された部屋は今まで住んでいた家の何倍もの広さがあって、本当に一人で住むのか謎だ。
家具もどれも高そうだし・・・ほんとに今日からここに住むの?
「あの・・・本当にこの部屋ですか?」
案内の侍女さんに念のため訊ねてみる。
もしかしたら違う可能性も・・・
「はい。陛下と王妃様から、こちらをお使いくださいとご指示がありました。家具など好みのものがありましたら取りかえますが・・・」
「いえいえ!大丈夫ですから・・・」
どうやらここらしい・・・
てか、これ以上無駄にお金を使わせるのもね。
案内の侍女さんにお礼を言って僕はアリシアとユーリと共に部屋に入る。
ユーリは外で待機すると言ってたけど、聞きたいこともあったので一緒に中に入ってもらった。
軽く室内を見てみるとどうやら簡易的なキッチンもあるようで、幸いなことに紅茶の葉もカップもあったので僕は手早くお茶を入れて二人の元に戻る。
「お待たせ・・・二人とも紅茶で大丈夫?」
そう聞くとアリシアは静かに頷く。
さっきはお菓子がメインだったけど、紅茶も好きなようでどことなく嬉しいそうな表情だ。
そしてユーリは・・・
「れ、レオン様!そのような雑事は私の仕事で・・・レオン様がなさらなくても・・・」
「あー・・・ごめん。癖でついね。まあ、良ければ飲んでよ」
反射的にやってしまったが、ここに住むということは普段の家事とかも侍女さんとかの仕事になるわけで・・・彼女達の仕事を取るわけにもいかないし、今度から気をつけないとな・・・
まあ、そうは言いつつ入れてしまったのは仕方ないので飲んでもらおう。
ユーリも非常に恐縮してはいたけど、なんとか入れたお茶を飲んでもらえたのだが・・・飲んでから驚いたような表情を浮かべた。
「もしかして美味しくない?」
心配になりそう聞いてみるとユーリは慌てたように首をふった。
「ち、違います!その・・・あまりにも美味しくてつい・・・レオン様は紅茶を入れるのがお上手なのですね」
「そ、そうかな・・・・アリシアはどう?美味しい?」
アリシアにも聞いてみると、彼女は明るい笑顔で静かに頷いた。
「お兄様・・・凄い・・・」
なんとなくわかってきたけど、アリシアはどうやらあまり話すのが得意ではないようだ。
失語症・・・とかではないか。
多分、恥ずかしいのだろう。
その変わりに彼女は表情がわりと豊なので分かりやすいかもしれない。
二人の様子に安堵しながら僕もひと口飲む。
母さんから教わった入れ方だからかいつも通り・・・だけどいつもより上品な葉を使っているから美味しく感じる。
しばらく皆でお茶を楽しんでから僕はユーリに切り出した。
「ユーリに聞きたいんだけど・・・ユーリってもしかしてお母様と面識があったの?」
その質問にユーリは少し驚いたような表情を浮かべた。
「何故そう思われたのですか?」
「うーん・・・なんとなく馬車の中でお母様のことを話すユーリの表情が柔らかかったからかな?」
「そうですか・・・レオン様は凄いですね」
ユーリは優しく微笑んだ後に少し考えるように目を閉じた後に話始めた。
「私がリーゼ様と初めてお会いしたのはまだ新人の頃でした・・・当時の私は剣の腕を上げることに注力していて、後はどうでもいいと思っておりました。今にして思えば愚かなこと・・・剣を捧げる主もいなければ守るものもない剣など対して意味はありません。でも、その頃の私にはそれが分からなくて・・・そんなときにリーゼ様と出会ったのです。」
懐かしむように語るユーリ。
「色々あって私はリーゼ様と決闘することになったのですが・・・そこでボロボロに負かされてから目が覚めたのです」
「負かされてって・・・お母様に負けたの?」
「はい。リーゼ様は侍女として戦闘訓練も積んでいたらしいのですが・・・とても私では敵いませんでした」
母さん・・・あなたはどんだけスペック高かったの?
「私を倒してからリーゼ様は私に言いました。『守るものもない今のあなたでは私には勝てません強くなりたいなら守るものを見つけなさい』ーーーと。その一言に私は・・・凄く衝撃を受けました。色々悩んで・・・私はリーゼ様に仕えたいと思い頼みました。そしたらリーゼ様は、『私は仕えてもらう程の人間ではありません。ですが・・・どうしてもと言うならあなたは私の子供に仕えなさい』ーーーと。」
そこでユーリは僕の方をみた。
「レオン様に直接会ってから私は・・・あなたを心底守りたいと思いました。リーゼ様からの言葉もそうですが・・・あなたが私の主に相応しいと思えたのです。ですから・・・」
ユーリはその言葉の後に床に剣を置いて、ひざまづいた。
「レオン様。どうか私を・・・あなたのお側に置いてください」
そのあまりにも唐突な行動に僕は驚いてしまったが・・・それでもなんとなくここで答えは出さなくてはならいと思った。
「ユーリ」
僕はユーリの側に寄る。
「僕は・・・正直まだこの状況に圧倒されてて、王子の自覚とかないけど・・・それでも君がそれを望むなら僕はそれに答えたい。だから・・・」
そこで僕はユーリに笑顔を向けた。
「これからも僕の側にいて欲しい。ずっと僕の側にいてねユーリ」
その言葉にユーリは何故か顔を少し赤くしながらも「はい・・・」と答えてくれた。
まあ、色々あったけど・・・ユーリが僕にとって大切な存在になったのは確かだった。
♪♪♪ピロリロリン♪♪♪
☆ユーリが仲間になった
☆ユーリの好感度パラメーターが解放された
☆ユーリの好感度はマックスだ