25 答えたいと思ったから
「レオン大切な話がある」
お祖母様と爺ちゃんが来てから数日後・・・えらく真面目な様子のお父様にそう言われて首を傾げながらも大人しく頷く僕。
タイミングよくなのか、僕がお菓子の差し入れをしにいった時にそう言われたのだが、室内には母上と爺ちゃんとお祖母様・・・それに何故かミラお姉ちゃんとアリシアもいた。
皆がいる前でも話せる内容なのか、お父様はそのまま気にした様子もなく真剣に言った。
「レオンお前にまた縁談が来た。相手は・・・魔族の女王。最強の魔族と言われるミカエル様だ」
・・・・その話か。
でも、そんなに真面目な顔して言うことなのかな?
イリナのことがあるからかな?
でも・・・なんていうか、お父様の表情があまりにも真剣すぎるような・・・
いまいちその雰囲気の理由を把握しきれてないと、お父様は何を勘違いしたのか「まあ、戸惑う気持ちはわかる・・・」と一つ言ってから言葉を続ける。
「私も・・・というか、この話は世界にとってかなり衝撃的なことだ。あの実質的な世界の支配者であるミカエル様との婚約というのは・・・」
・・・・み、ミカエルさんてそんなに凄い人なの?
確かに魔族の女王とは聞いてたけど、世界の支配者って・・・しかもそんな人と友達だった母さんはマジで一体・・・
「正直この話は断ることが出来ないものだ・・・だが、私はお前が望まないならこの婚約を・・・いや、エンペラー家との婚約も無しにしてもいいと思っている」
真剣にそういってくるお父様・・・もしかしてこれがその理由なのか?
「でもそれじゃあ・・・」
「大丈夫だ。もちろん色々大変だろうが・・・私はお前が望まぬことを強いたくはない。だから正直に答えてくれて構わない」
真っ直ぐに僕の瞳を見つめるお父様に僕は・・・言葉を失った。
お父様の瞳には確固たる覚悟があった。
何があっても、僕を守ろうとするような強い瞳。
そんな普段とは違いすぎるお父様に僕は・・・
「お受けします」
自然と笑顔で答えていた。
その返事を聞いてお父様は「いいのか?」と聞いてくるが・・・
「お父様のその気持ちは凄くうれしいです。だからこそ・・・とい訳ではありませんが、僕はミカエルさんとイリナとの婚約を受けるつもりがあります。勿論まだ結婚なんて考えられないけど・・・僕を望んでくれる人がいるなら答えたいですから」
「そうか・・・」
その返事を聞いてお父様は少し複雑そうな表情をしてから頷いた。
「ではこの話は受けておく。婚約の正式な発表はレオンの御披露目の時に同時に行うがーーーその前に、アリシアとミラ。お前たちもレオンに言っておくことがあるのだろ?」
そう言われて僕は二人の方を見てみると・・・二人はなにかを決意したような瞳でこちらを見ていた。
「アリシア?ミラお姉ちゃん?」
不思議に思っていると、二人は綺麗に一礼してから居ずまいを正して口を開いた。
「レオン・マスタール様。マスタール王国第3王女ミラ・マスタールはあなたに婚約を申し込みます」
「・・・・同じく・・・アリシア・マスタールも・・・婚約を申し込みます・・・」
「それって・・・」
驚いて二人を見つめると少し顔を赤くして言った。
「レオンを弟としても異性としても好きになっちゃったから・・・」
「お兄様・・・・ずっと一緒・・・・」
照れたような感じのミラお姉ちゃんに、いつものように小声ながらもしっかりとこちらを見るアリシア。
正直、まったく予想してなかったから困惑してはいるけど・・・でも・・・
僕は少しの間沈黙してから不安そうにしている二人の方を見て笑顔で答えた。
「こちらこそよろしくお願いします」
「本当に!?やったー!」
「お兄様・・・うれしい・・・」
答えた瞬間に完全にいつもの二人に戻ったように僕に抱きついてくるミラお姉ちゃんとアリシア。
そんな僕たちを見てお父様たちは感慨深そうに言った。
「まさかこんなことになるとはね・・・三人とも幸せになりさい」
「ふふふ・・・ようやく二人も婚約が決まってよかったわ」
「ハハハ!人気者だなレオン!」
「また、あなたは・・・でも、おめでとう。ミラもアリシアもレオンに幸せにしてもらいなさい」
はしゃぎながら抱きついてくる二人を宥めながら僕は色々考えてしまう。
本当に僕で大丈夫のか?幸せに出来るのか?
様々な不安が心に渦巻くがそれを表には出さないように僕は笑顔で二人を見つめる。
ーーーそんな僕のことを心配そうに見つめる瞳の主がいることには気づかずにーーー




