表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
平和な王子生活始めました  作者: サウス・ジュン
29/31

閑話 ミカエルの希望の光

本日3話目です。


ミカエルさんとお祖母様。

どこともしれない、人間には知覚もできない庭園にて、ミカエルはお茶を飲んでいた。

この空間はミカエルが魔法で生み出したもので・・・普通の人間と強力な魔族には入ることも出来ない場所なので、ミカエルにとって安息の地とも言えた。


「人間と魔族の境界の庭園」と、前にミラに言われたことを思い出してクスリと笑う。


「何か面白そうだけど・・・どうかしたのかしら?」


そんなミカエルに声をかけたのは彼女の古い知り合いのマゼリカ・マスタール・・・マスタール王国の前王妃にして、強力な“魔女”。そして・・・レオンの祖母でもある。


突然表れたマゼリカに、しかしある程度予測していたミカエルは対して驚いた様子もなく普通に返事をする。


「おや・・・久しぶりねマゼリカ。こっちに来るなんて珍しいね・・・」


「まあね。あなたに話があってね」


「話?」


内容は察しているミカエルだが、あえて自分からはわからないような振る舞いをしてみる。

そんなミカエルの態度に苦笑しながらマゼリカはいきなり核心的なことを聞いた。


「あなたが人間と結婚する・・・という噂があるんだけど、本当に?」


「本当よ」


あっさりと答えるミカエル。

それに対して予測はしていたのか軽く驚きながらもマゼリカは「そう・・・」と一つ納得するように頷いた後で更に聞いた。


「どんな相手か聞いても?」


「あなたの孫・・・リーゼの息子よ」


「あぁ・・・まさか本当にそうだなんて・・・」


その答えにマゼリカは頭を抑える。

マゼリカが今回ミカエルの元を訪ねたのは、ある噂を聞いたからだ。


なんでも、「ミカエル様が人間の王子と結婚する」という今まででは信じられない内容。


その内容と、その頃に城からもたらされたリーゼの息子・・・つまり自分の孫であるレオンと再会したというものに何故かピンと来たマゼリカはこうしてはるばる里帰りのついでに先にミカエルの元に寄ったのだが・・・


「まさか本当にそうだなんて・・・あなたねよね?リーゼの張った結界を壊してレオンを見つけたのは」


「おや?気づいていたの?」


「当たり前よ・・・私ですら破れた後で存在に気づく程の強力な結界を発見して壊せる魔族なんてあなたぐらいでしょ?」


そう、何年もの間レオンとリーゼが発見されなかった理由の一つが・・・優秀な“魔女”であるリーゼによる強力な認識阻害の結界を張られていたからだ。

“魔女”としての力なら、もはや弟子のリーゼの方が圧倒的に実力も才能も上なことを知っているマゼリカはそれだけのことをやってのける目の前の存在に呆れてしまう。


そんなマゼリカの様子を見てミカエルは答えた。


「私もかなり苦労したよ・・・正直少しだけ結界の力が弱まったから気づけたようなものでね。リーゼは本当に凄いよ・・・」


遠くを見つめるように自然と緩めた表情をするミカエル。

そんな彼女にマゼリカは「それで・・・」と改めて聞いてみた。


「私の孫はどうだったの?」


「あら?まだ会ってないの?」


「報告しか見れてないのよ・・・しかもその報告も『リーゼに似て可愛い』っていう息子からのものしかないから」


息子からの報告を思い出して苦笑するマゼリカ。

ミカエルは少し考えてから優しく微笑みながらその質問に答えた。


「確かにリーゼそっくりだったよ・・・外見も中身も。でも・・・レオンはリーゼより魅力的かもしれない」


そのミカエルの発言にマゼリカは驚いた表情をする。


「あなたがリーゼ以上って言うなんて・・・どれだけなのよ」


マゼリカにとって長い付き合いのミカエルがリーゼのことを友人として深く愛していたのは知っているので思わずそう言ってしまうが・・・ミカエルはそんなことを気にせずに続けた。


「レオンは・・・きちんと“魔女”としてのリーゼの力も引き継いでるみたいだし・・・何より真っ白なのよ全てが」


ミカエルは思い出す。先日会った愛しい少年の姿を。

最初に見たときはもちろん驚いた。

親友のリーゼそっくりな・・・でも幼い男の子の存在に。


リーゼの息子として見ていたはずなのに、自然とレオン本人に心を奪われる感覚にミカエルは驚愕して・・・同時に歓喜した。


自分と対等に話せる人間というもの自体が貴重な存在なミカエルにとって、レオンの存在はとても大きかった。


最初に婚約するつもりになったのも、ただリーゼの子供なら大丈夫だろうというリーゼのことを考えてのことだったが・・・会ってからはその考えがことごとくかわり、「レオン」だからというものにされたこともミカエルには新鮮だった。


今まで感じたことのない感情・・・リーゼという友に会った時以上の感覚にミカエルは自然と頬を上気させて、さながら恋する乙女のような表情を浮かべる。


「とても・・・魅力的だった」


「そう・・・よかった」


そんなミカエルの様子にマゼリカは唖然としてから・・・心底嬉しそうに微笑んだ。

長い付き合いのミカエルが初めて浮かべるその表情は、昔自分が夫であるゼストに抱いた感情と同じだろうと思うと嬉しくなる。


ただ・・・会ったことのない幼い孫が婚約するというのは少し祖母としては悲しくもあったが・・・


その後で少しだけ話してからマゼリカは颯爽と去っていったが、ミカエルはレオンのことを思い自然と頬を緩めながらお茶を楽しむ。


ーーー彼女にとっての希望の存在に思いを馳せてーーー



リーゼさんチート説・・・

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ