22 爆弾を落としてくれた爺ちゃん
本日9話目です。
「ごめんなさいねレオン・・・」
椅子にぐったりと座る僕にお祖母様は申し訳なさそうに謝ってくれた。
長いことお祖母様に抱き締められながらお祖母様が爺ちゃんに説教するのを間に入って聞く・・・そんな苦行が終わって心底僕はホッとしながらもなんとか笑顔でお祖母様に言った。
「大丈夫ですよ・・・抱き締められるのは嫌じゃないですし・・・」
ある意味本音だ。
まあ、限度はあるけど・・・どうやら僕は家族からのスキンシップというものに恥ずかしく思いつつも嬉しく感じていた。
まあ、前世で天涯孤独だったのに、こっちに来てから母さんに愛されて・・・他にもお父様や母上や兄弟、さらには祖父母まで・・・前世では考えられないくらい豪華なメンバーだ。
そんな人達に親愛の証としてスキンシップされることが・・・なんというか堪らなくうれしい。
そんな風に言うと、何やら部屋の中の全員が静まりかえって・・・僕をみていた。何故?
「あ、あの・・・?」
視線が集まって落ち着かなくなっていると突然お父様が立ちあがり僕の方に抱きつこうとーーー
「れお・・・」
「「可愛いすぎるわ!」」
「むぎゅ!」
ーーーしたところで、母上とお祖母様に突き飛ばされて地面に倒れ付して・・・代わりに僕を挟むように母上とお祖母様が僕を抱きしめていた。
思わず変な声が出てしまったけど・・・な、何事なの?
「あぁ・・・可愛いわぁ~、うちの孫は天使ね!」
「ですね、お義母様!レオン・・・可愛い!」
いつもは冷静な母上が頬を染めて僕を可愛いと言ってくれたのには驚きつつも嬉しく思ったが・・・それよりも女性二人に挟まれてるように抱き締められるのは辛い・・・
ただでさえ、さっきのお祖母様のダメージが抜けてないのにこれは・・・
助けを求めるように辺りを見回してみるが、お父様は二人の巻き添えでダウン。
爺ちゃんは爺ちゃんで、「いやーワシの孫は可愛い!」とか言いながら見ているだけだし、頼みのユーリに至っては何故か頬を染めてその場で何かを呟いていた。
「可愛い・・・いや、主に対して失礼・・・でも可愛いすぎる・・・」
完全に自分の世界に入ってるらしいユーリには助けを求められなさそう・・・あれ?てことは選択肢最初からないの?
お父様・・・ダウン
爺ちゃん・・・傍観
ユーリ・・・何やら忙しそう
あれ?全滅?全滅なの!?
母上もお祖母様も僕を抱きしめながら「孫が天使・・・」とか、「息子が可愛いすぎる・・・」とか言ってるだけで、離れてくれそうな様子がないし・・・
そこまで理解してから・・・僕はすぐに諦めた。
うん。これは無理だな。
大人しく解放されるまで流れに任せよう・・・
それから15分後・・・解放された僕はまたもやぐったりとしながら椅子に座っていた。
お祖母様や母上が申し訳なさそうに謝っているけど・・・答える気力がない・・・
「ところで・・・そこのレオンの騎士・・・ユーリと言ったか?」
そんな風にぐったりとしていると爺ちゃんが唐突に思い出したようにユーリの方を見ながら聞いた。
ユーリはその視線に緊張しながらもなんとか「はい・・・」と答えると爺ちゃんはニカッと笑って言った。
「最近の騎士にしてはなかなか強いみたいだな・・・これからも孫をよろしく頼むぞ。お前のように・・・主との信頼関係がある騎士は貴重な上に強いからな」
「も、もちろんです!レオン様にお仕えするのが私の生きる意味ですから!」
緊張しながらもしっかりとそう言ったユーリに爺ちゃんは嬉しそうにしてから・・・僕の方を見た。
「しかしレオン・・・お前もスミに置けんな・・・聞いたぞ?」
「な、何をですか?」
何故か爺ちゃんのそのときの表情が何やら少し邪な・・・エロ親父のような表情に見えたのか気のせいかな?
そう考えていると、爺ちゃんはとてもいい笑顔で爆弾を投下してくれた。
「またまたぁ・・・エンペラー公爵家の娘だけでなく、自分の騎士まで嫁にするなんてなぁ・・・可愛い顔してやるな!」
・・・・・嫁?
おや聞き間違いかな?
イリナのことはまあ、婚約の話は知ってるのかくらいで済むけど・・・自分の騎士まで嫁に?
自分の騎士・・・おや、僕の騎士とは誰ぞ?
ギギギ・・・と首をゆっくりとユーリに向けると・・・これ以上ないくらいに顔を真っ赤にされていた。
うん。僕の聞き間違いではないのかな?
つまりこの爺ちゃんはユーリのことを僕の嫁だと勘違いしたと。
なるほどなるほど・・・って、ええ!
「な、ななな・・・」
「しかしまさかこないだ拾われたばかりと聞いてたのにやるなぁ・・・しかも『私の生きる意味です』なんて言われるほどにぞっこんとはなぁ・・・若いってのはいいものーーー」
「こんのアホが!!」
フリーズする僕の変わりにお祖母様がしみじみとしている爺ちゃんを殴ってくれて・・・変わりに説教してくれた。
「空気を読みなさいよバカ亭主!どうみても初々しい二人にえらい爆弾を落として・・・」
「ん?あれ?もしかして違うのか?」
「そうなるかもしれないけど今そんなデリカシーのないことを言うんじゃない!まったく・・・だいたいあなたはーーー」
そこから始まる本日何度目か知れない爺ちゃんへの説教なのだが・・・僕とユーリはそれどころではなく、なんとも言えない空気を互いに感じているようで・・・なんか変に意識してしまうというか・・・お父様も何やら娘が嫁に行く父親みたいな悲壮な顔してるし、母上もなんかしきりに納得している様子だし・・・なんなの?
結局、その後もしばらく僕とユーリには変な空気があったけど・・・次の日には普通に戻れたのでよかった・・・のかな?




