表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
平和な王子生活始めました  作者: サウス・ジュン
20/31

18 来るそうですよ?

本日2話目です。



ミラお姉ちゃんの一件から数日後・・・着々と僕の王子としての御披露目が近づく中でそれは起こった。


「お祖父様とお祖母様ですか?」


「ああ」


いつもの午前中の授業が終わり、お菓子の差し入れにお父様の元を訪れた僕は話があると珍しく真面目な様子のお父様に言われたのたが・・・そこで切り出されたのは僕にとっての祖父母にあたる人達のことだった。


「一応、この国の前国王と王妃・・・つまり私の親でお前の祖父母なのだが・・・近日中にこちらに来るそうでな」


「そうなのですか・・・それで何故僕に?」


事情はわかったけど・・・今そんなに真面目な顔で話すほどの内容とは思えずそう訪ねるとお父様は深刻そうに言った。


「レオンの紹介をしたいのだがな・・・あの人達はなんていうか・・・リーゼのことをとても気に入っていてな・・・その息子であるレオンが大変かもしれないからと思って話したんだ」


「そうですか・・・その・・・具体的にはどのくらい大変なんでしょう・・・?」


お父様は僕のその質問に視線を反らしてしまった。

な、なんだろ・・・普段のお父様からは考えられないくらいのこの反応・・・そんなにヤバイのか?


「お、お父様?」


「まあ、とにかくだ。何かされたら私に絶対に言うこと。わかったな」


「は、はぁ・・・」


不自然にそう切り上げてしまうお父様。

なんだか大変な予感・・・




「前国王夫妻ですか?」


「お父様が珍しく真面目な様子で話してくれたから気になって・・・ユーリは何か知ってる?」


とりあえず一番親しい人であるユーリにそう聞いてみるとユーリは少し考えてから「まあ、私もそこまで詳しくありませんが・・・」と前置きをして話した。


「前国王陛下と王妃様は『王は民のことを第一に考えろ』という考えの方で、よくあちらこちらへと飛び回っているそうです。なんでも『暮らしを見るのが一番』とのことで早くに王位を辞されてから各国を回っているらしく、お二人がこちらに戻るのは滅多にないことだという噂です」


「そ、そうなんだ・・・」


なんだか思ったよりアグレッシブな人達・・・というか前の国王ならもうかなりの年齢じゃないの?そんなに元気な人達なの?


「ユーリは会ったことはあるの?」


「いえ、私はあまり拝謁の機会には恵まれず・・・ただ、あくまで噂ですが・・・王妃様は“魔女”だったのではないかと言われております」


「“魔女”って・・・本当に?」


僕の質問に首を横にふるユーリ。


「いえ、あくまで噂です・・・ご本人達には誰も確認が取れませんし・・・ただ、前国王陛下は剣技の腕では有名なお方で、その妻である王妃様は何らかの力をお持ちなのでは?ーーーという憶測から来ているらしいので噂でしかないのですが・・・」


「そっか・・・」


もしかしたらその噂は本当なんじゃ・・・?

それなら母さんのことを可愛いがっていたと言われても納得できるし・・・前にミカエルさんが、『ミラにも少し“魔女”の才能がある』と言ってたから可能性は高いだろう。


こないだ講師の先生に聞いたところ、“魔女”の力は遺伝することがあるとのことで・・・まあ、相当低い確率な上に男には発現しないそうだし、そもそも力のある魔女は子供どころか結婚もしてない人が多いらしいから、確証はないけど。


でも、それならもしかしたらお父様達が知らない母さんのことを知ってる可能性も高い。

それにもし知らなくても、各国を回っているってことは色んな話を聞ける可能性が高いだろうから・・・ミカエルさん達魔族のこととか、知らないことが聞けるかも。


そう考えると少しだけ楽しみにもなるかな?


「ありがとうユーリ」


「いえ・・・ところでレオン様。そちらは何を作っておられるのですか?」


ユーリは作業をしている僕の手元を見ながら興味深そうにしている。


「これかい?これはね・・・ケーキだよ!」


「ケーキですか?それにしては何やら色が黄色いというか・・・」


「ああ、これはね。チーズケーキっていう名前のケーキなんだよ」


「チーズケーキ?」


不思議そうな表情のユーリ。

実は最近知ったけど・・・この世界には甘味があまり多くない。

というか、原形らしきものはあるけど、どれもあんまり美味しくないし・・・ケーキもあるにはあるけど、チーズケーキとかチョコレートとかそういう種類のケーキはないらしい。


僕にはその事実があまりにも耐え難い・・・というか、僕はチーズケーキ大好きだから頑張って材料集めて自作をしているわけです。


正直レシピには自信ない・・・というか、数回しか作ってないから正解なのかは不明だけど、とにかくチーズケーキが食べたいので僕は頑張って作っている。


それにしても乳製品あるのにチーズケーキないとかどんだけこの世界の人は甘味に興味がないの?

・・・いや、確か種族が違うと味覚も変わるとか聞いたような・・・そこなのか・・・


まあ、とにかく・・・


「出来たら皆にも味見して欲しいから・・・お願いね」


「は、はい!」


笑顔でそうお願いするとユーリは少し顔を赤くしながら頷いてくれる・・・うん、本当にユーリはいい人だよな・・・


まあ、お祖父様とお祖母様は来たら考えればいいよね?


そんな感じで僕はこのあと初めて自作したチーズケーキを第3騎士団のメンバーに食べて貰ったんだけど・・・予想以上に反響が大きくて、大騒ぎになったりしたりするけど・・・ま、まあ、大丈夫なはず・・・






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ