15 何やら重大な話のようです
本日2話目です。
※今回の話は少しファンタジーな展開に思えるかもしれませんが・・・基本的には平和な王子生活メインなのであしからず(超展開ワロタとかなしでお願いします)
それからしばらくしてどうやら目的地に着いたようでミラお姉ちゃんの護衛さんが馬車の扉を開けた。
ちなみに、この馬車は窓の所にブラインド・・・というか黒い布のようなもので窓を覆われていて外の様子がまったく分からないからどこなのかもさっぱりわからない。
まあ、まだ地理の勉強し始めたばかりの僕には景色を見ても分かるかは不明だけどね・・・
そんなことを考えながら馬車から降りると・・・そこには楽園が広がっていた。
見事な庭園・・・そんな言葉で片付けるには足りない花園に、噴水から出た水が跳ねて綺麗な雫を撒き散らすような噴水・・・花の種類も様々で、ハッキリと分かるものは少ないけどどれも相当貴重なもののように見えた。
「レオン、こっちよ」
僕がその景色にみとれていると、ミラお姉ちゃんが普段からは考えられないくらい静かな・・・でもいつものように優しい声音で僕の手を引いてくれた。
一瞬、いつもと違うように思えたミラお姉ちゃんにドキッとしつつもやっぱりいつものミラお姉ちゃんだと分かると途端にホッとする。
「よかった・・・」
「レオン?」
思わず溢してしまった言葉にミラお姉ちゃんは訝しげな表情をしたので、僕はなんとなく恥ずかしく感じつつも答えた。
「その・・・ここに来てからミラお姉ちゃんがいつもより大人びて綺麗に見えて・・・でも優しい所は変わらないからよかったと思って・・・」
「・・・・・!?」
「ミラお姉ちゃん?」
何故か顔を赤くしたミラお姉ちゃんに僕は困惑してしまうけど・・・しばらくしてから普通に戻ったからよかった。
ただ、小声で「ずるい・・・」とか、「反則・・・」とか呟いていたのはなんでだろ?
そんな風に庭園の緑の道を歩いていると開けた場所に静かに一つ置かれた机と椅子が見えて・・・そこでまたしても僕はフリーズする。
そこには確かに机と椅子があるけど・・・そんなことよりも僕はそこに座る人物に目を奪われてしまう。
艶のある黒い髪と吸い込まれそうな真紅の瞳・・・陶器のような真っ白な肌と見た目から分かるほどに整ったスタイル・・・女神と言われれば信じる程に綺麗な美女・・・すべてにおいて僕の知ってる常識を超えた美しさだった。
その美女は静かにカップを持って優雅にお茶をしていたが・・・ミラお姉ちゃんと僕を視界におさめると微笑んだ。
「お久しぶりですねミラ。そして・・・」
ゆっくりと視線をミラお姉ちゃんから僕に向けて美女は微笑んだ。
「始めましてですね。私はミカエルと申します。会いたかったですよレオン」
その美女・・・ミカエルさんは僕のことをどこか懐かしく愛しそうに見つめている気がした。
・・・・・って、会いたかった?
「あの・・・それはどういう・・・」
「リーゼ・マスタール」
「・・・・・!?」
思いもよらぬ名前を出されて僕の意識はフリーズする。
そんな僕の様子を見ながらミカエルさんは続けて言った。
「私はあなたのお母さんの古い友人です」
「お母様の・・・」
「ええ。彼女・・・リーゼの子供のあなたを見て見たかったからミラにお願いしたのだけど・・・その様子だと何も知らないのよね?」
「え、ええ・・・」
混乱する思考をなんとか繋ぎ止めようとするが訳がわからない。
母さんの友人なのはわかった。
だけど何故ミラお姉ちゃんはそれを皆に隠して僕を連れてきたんだ?
そもそも、ミカエルってどこかで聞いたような・・・
そんな僕の様子を見てミカエルさんは呆れたような視線をミラお姉ちゃんに向けた。
「あなたって子は・・・少しは説明なさいよ」
ミラお姉ちゃんはそれに対して明後日の方向を見て口笛をわざとらしくふく・・・あ、結構上手だな。
そんな場違いなことを考えているとミカエルさんの視線が今度は僕に向いた。
「ごめんなさいね。混乱するでしょうけど・・・とりあえずあなたには最初から説明するわね」
「お、お願いします・・・」
緊張しながら答えるとミカエルさんは優しく微笑んだ。
「まず、あなたは魔の国・・・魔国のことは知ってる?」
「えっと、一応・・・」
この前習ったところだ。
「そう・・・一応説明するけど、この世界には4つの大きな大陸が存在するの。人間と少しだけど他種族の暮らす3つの大陸とは別に存在するのが魔の国・・・魔国。」
そう、最近知ったけどどうやらこの世界には人間以外にもエルフや人魚なんて種族も少数だがいるらしい。
僕の住んでいた村が特殊な場所で人間しかいなかったから実感はわかないけど・・・
そして、この世界は4つの大きな大陸があってその内3つは人間とその他の種族の暮らす大陸なのだが・・・残りの一つの魔国だけは少し違う。
魔国とは文字通り魔物や魔人といった種族の暮らす場所で、人間の世界とは少しばかり毛色が違うらしい。
魔物や魔人のことを人は魔族と総称するらしい。
それで何が人と違うのかと言うと・・・まあ、簡単に言って魔法が使えるかどうからしい。
エルフや人魚など人間以外の種族には少し魔法を使えるらしいけど、人間は“魔女”と呼ばれる特殊な女性以外には使えない。
その中でもっとも魔法に特化した種族が・・・魔族と呼ばれる存在だ。
他にも色々あるらしいけど、人間には理解しきれないことと講師の先生は言っていた。
特に人間と違うのは彼らには寿命という概念はなく、殺されない限り不老らしい。
「魔国とその他の大陸は約500年前までは争いが絶えなかった・・・魔族と他種族の争いは苛烈を極めたけど・・・その500年前にとある一人の“魔女”の存在によって争いは収まった。その圧倒的な力で“魔女”は互いの矛を収めさせると、そのまま彼らの領地を決めて、長い時の中でお互い歩み寄るようにした。まあ、結果として今は表面上は魔族もそれ以外も友好的になったけど・・・」
そこでミカエルさんは悲しげな表情を浮かべながら紅茶のカップを置いた。
「互いの溝は深いのよ・・・今まで争っていて仲良くしろなんて言ってもね。まあ、それでもうまく回るのが世界の理なのかもしれないわね・・・」
わからない・・・この話のどこに僕の母さんが関わるのだろうか?
そんな様子を読んだかのようにミカエルさんは苦笑した。
「少しばかり脱線したわね。ごめんなさい。それで何故あなたのお母さんと私が友人なのかと言うとね・・・まず先に言っておくと、私は魔族なの。そしてあなたのお母さんは“魔女”だったのよ」
ミカエルさんは魔王的な立ち位置なのです。
“魔女”が勇者的な感じ。




