命名の儀
俺が生まれて1日たった。
厳ついパパと超美人なママが国王と王妃で、俺は待望の第1王子らしいことはわかった。しかし、この世界の状況はまだわからないので情報を収集したいが、動くことができないので、とりあえず耳をすまして情報を確保するか。
メイドさんは常時近くにいるし、会話も昨日の授乳のおかげかはっきり聞こえる。
早速聞き耳を立ててみると
「王子さま可愛いよね~」
「だよね~、お名前今日にでも決まるらしいよ」
「お二人のお子さまだからきっと立派になるんでしょうね」
・・・雑談だな、しかし名前が決まるんだな。前世の名前は思い出せそうにないが。
「でも、お名前と本人の能力でスキルも決まってくるらしいから大変よね」
「そうよね~、名前がかっこよくても相性が悪いと碌なスキルつかないらしいからね」
名前をとるか、スキルをとるかってこと?変な名前は嫌だな~
「あ、でも王様って観相スキル持ってるからいい名前付けるんじゃないかしら」
「え~、この前聞いた話じゃ王子さま見る前の名前候補酷かったらしいよ」
「確かドンマイケル・サドジェイソン・・・とか」
「確かスキルがいい名前にこだわってるって聞いたような」
「そうそう、だから王妃様が反対なされて、お生まれになって決めることになったみたい」
・・・セーフなのか。変な名前絶対反対。
「お名前と一緒に聖紋も刻まれるのよね」
「そう、王族だから継承権も兼ねて魔法で刻まれるみたいね」
「痛いのかしら」
「されたことないからわからないわ」
痛かったらどうしよう~、赤ん坊じゃ逃げれないぞ
「魔法といえば、昨日アリス様が唱えたのも回復魔法なのかしら」
「だと思うけどね、騎士公国じゃ魔法嫌われてるからね」
「だよね、人払いしたうえで祝言表現でかけておられたわね」
「本当は、言葉なんて出さずにかけれるらしいけどね、イメージが上手くできれば昔の人はなんでもできたらしいけど」
「最古上位魔法でしょそれって、今の人じゃやっぱり呪文が必要らしいよ」
ふむふむ、魔法はこの世界にもあるようだ、呪文がいるのか~。あ、でもイメージでもできるっていってたな。
ちょっと試しに、喉渇いたし水だしてみるか。
水。水。水でろ~とイメージしてみる。
うーん出ないよねやっぱり。
あ、あ〜でましたよ水。おしっこですけど何か。
気持ち悪いので
『おぎゃあおぎゃあ(おしっこ漏らしちゃったので)おぎゃあおぎゃ(取り替えお願いします)』
雑談中だったメイド達が駆け寄ってくる。
「どうしたのかしら、お腹すいたのかな?」
3分後おもらしをわかってもらい取り替えて貰った。すっきりです。
しばらくして、俺は神殿へと連れて行かれ、もちろんそこには両親と神官がいた。
厳かに神官が命名の儀開始を告げる。
「それでは命名の儀を開始いたします。国王及び王妃は前へ」
国王と王妃は俺のいる儀式場へやってきた。
神官が再度告げる。
「それでは、名を聖紋にて刻み、第一王子に祝福を」
国王・王妃が手をつなぎ空いた反対の手を俺にかざし唱える
『我ジンライ・私カレンの子たる我が君にシリウスの名を与え王位継承権を刻まん』
唱えたあとに手が輝きおれの右手薬指に魔法らしきリングがはまりそして吸い込まれるように体内へ消えていった。
そして教皇らしき人物が唱える
「ここに王位継承権1位 シリウス王子の誕生を祝福いたします」
すると、女神像から光の衣が舞い降り俺を包み込み全身を覆ったあとすっと体に吸い込まれる。
どうやら俺以外にはこの衣は見えていないらしい。周囲は命名を終え安心している両親と神官達が雑談を初めていた。
「それでは、初期スキルを確認してみようか?王妃も気になるだろう?」
「ええ、お願いいたします王様」
「我ジンライが求めん、このものの力を示せ」
と俺に手をかざし唱えた。
「おお、出たぞ。それでは書き示すので、紙と筆をここに。」
お、俺にもスキル見えてる。目の前に画面が出ている感じかな
「よし、書けたぞ。王子のスキルはこんな感じだ。ほら王妃見てご覧」
国王と王妃がおれのスキルが書かれた紙を見つめている。
名前:シリウス・ウルクス
職業:王位継承権1位 王子
Lv:1
HP:100/??????
AP:100/??????
SP:100/??????
MP:100/??????
スキル:観相(全表示可能)
言語超越(いかなる言語も対話・識字)
限界突破⇒?
狩猟⇒?
剣技使用⇒?
魔法使用⇒?
才能開花⇒?
*****
*****
「結構スキルあるな、この言語超越・限界突破って見たことないしな、やっぱり俺たちの王子だな」
「ええ、本当に。でもこの⇒?とか*****とかは何?」
「俺の観相スキルでは見えなかったんだ、変化するのかもしれないな」
どちらにしても、両親は嬉しそうに会話をしている。
ちなみに、*****だが俺には確認できていて
神の恩寵(神に愛されし者)
神秘の開眼(新たなスキルを追加・発明・開眼できる)
といったものだ。
これで、俺も王子として生きていくんだなと思っていた矢先、両親の会話に仰天することになる。
「これで、安心して捨てられるな」
「ええ、ぐるしいですけど」
涙声で王妃が答えてる。
え、えええええ捨てる???
俺捨てられちゃうの?
しばらく放心している間に、部屋に帰って来ていた。
「シリウスさまかぁ、いいお名前ですね」
「本当に。一時はどうなるかと」
「でも、捨てられちゃうのよねぇ」
「ええ、この国の伝統だから仕方ないのだけど」
「国王様も確か捨てられたらしいからね」
「獅子は我が子を谷に落とすとか、捨て子はよく育つとかでよく捨てれるわよね、王妃さまが可哀想」
いや、まて、俺が一番可哀想じゃないのか・・
なんって国だ、俺はこの国の伝統により捨てられるみたいだ。
「でも、捨てるっていっても有能な人に預けて英才教育するんでしょ」
「王様は確か今の宰相さまにお拾われになられたみたいだし」
「そっかぁ、じゃあこの国で有能な家臣がお拾いになるのかしら」
「それが、王弟のリチャード様が生ぬるいとかいって国外の優秀な人物に拾わせるように言ってるらしいわ」
「王様も内紛は避けたいみたいで、今も悩んでるらしいよ」
「来年には、王子さまともお別れかぁ」
来年がタイムリミットみたいだ。
これは、捨てられるまでに少しでも知識をつけねば。