臨死と新規
光である。耀であり、洸であり、光である。木霊は、多少、いやかなり驚きはしたものの、かなり安心していた。安心していたからこそ、油断してしまったのかもしれない。最も、この場合は油断も何もないのだろうが。
「・・・いや、何処だよ此処ぉぉぉ!」と、木霊が叫んだ刹那、少年は浮いた。
飛んだ、ではない。浮いた、のだ。木霊の半径1m位の足場が、砕け散った。現実というのは非情だ。
アニメのように、3秒ほど浮いてから落ちる、なんて淡い幻想は、一瞬で砕け散った。
木霊の体は、足場が無くなったのを認識するまでも無く、落下を始めた。
「え、ちょ、まっ、っおぉぉ!?」
落下する、落下する、落下する。落ち続ける木霊は空中で必死に腕を振るが、掴めるものなどそこにはない。
重力に逆らわず、延々と落ち続ける。絶対絶命大ピンチ、地面に砕け散るまであと2秒ほどになった時、
木霊の目を、影が横切った。直後、爆発音。否、打撃音だろうか。ともかく、ドッ、という鈍い音がした。
砂埃が舞い、そこから聞こえるのは、少年のせき込む音。やがて砂埃が腫れだすと、そこに居たのは、
木霊と、少女であろうか、端正な顔をした、背の高い大人であった。木霊は死んではいないが、
どうしたのだろう、うずくまってせき込んでいる。
「ガハッ、ゴホッ、何してくれんだアンタ!」
木霊は叫ぶ。それに対する女性(?)の反応は、
「落ちてきたから・・・、助けただけ。」
のみであった。どうやら女性は上から降ってきた木霊の下への力を、横から殴る事によって相殺したらしい。随分と極端な力技である。
「君・・・名前は?」
「いやこの状況で名前聞くか!?」
「いいから」
「いや、そういう事言われても・・・、三日月、木霊だ。」
言われた通りに名前を教える木霊。素直とはいかないが、一応命を救ってくれた事は覚えているようだ。
「三日月木霊?変な名前だね。」
「うるせぇ!そういうアンタはなんなんだよ!」
「僕はカイ。神貫カイ。」
「お前もだいぶ変だな・・・。」
どうやら、一人称から察するに、男らしい。人通りの会話を終えた後、木霊は怪訝な顔をする。
「あれ、でも名字が日本チックだな・・・。なぁ、ここって日本?」
「日本?どこそれ?ここは・・・神坂だよ?」
「かんざか?また日本にありそうな町だな・・・。」
木霊は頭を抱えるが、カイはそれを許さなかった。無理やり木霊を起こし、一言。
「逃げるよ」
「・・・は?」
刹那、爆音。
時系列によって違う挨拶。はいどうもよろしくお願いします。最近は意味怖にはまっている島々です。
第二話となりました。これからも出していくと思います。以後ともよろしく願いました。