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ダンジョンのある風景  作者: はぐれうさぎ
第2章

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第17話 感想と装備の見直し

「試してみた感想はどうだった?」


 ダンジョンへの挑戦を終え、家に戻って落ち着いたところで美冬ちゃんへと問い掛ける。

 結局、今日のお試しは第2階層で終わらずに、第3階層まで足を伸ばすことになった。


「そうですね。思っていたよりも簡単に感じました。ただ、ゾンビはもう相手にしたくないですが。」


 座布団に座り、麦茶を手にした美冬ちゃんから返事が返ってくる。

 既に装備は外しているし、なんなら軽くシャワーを浴びて汗も流し終えた後なので、かなりラフな格好になっている。


「まあ、ゾンビについては俺も同感かな。でも、先に進むにはアレを相手にしないといけないんだよ……。しかも、あいつらは第3階層だけじゃなく、第4階層の迷宮エリアにもいるからね。」


「2階層続けて出るんですか……。ん?というか、達樹さんは第4階層の迷宮エリアに入ったんですか?」


「えっ、あ、まあ、様子見としてね。とりあえず、強さ的には第3階層にいたのと大差なかったよ。どちらかというと、迷宮エリアの通路の狭さのほうが問題になるかもしれないね。」


「いや、何を考えているんですかっ!迷宮エリアに1人で入るなんて危険すぎますっ!」


「い、いや、本当に様子見だけだったから。」


 予想外に強い美冬ちゃんからの非難に、ついつい第4階層では様子見しかしていないと返してしまった。

 この様子だと、行き止まりだったとはいえ、迷宮エリアの先まで到達したことは黙っていたほうが良さそうだ。


「たとえ、様子見であっても1人で入るのはあり得ませんっ!」


「いや、でも、迷宮エリアでも日をまたぎさえしなければ、マッピングだって有効だし、時間さえ気を付けて入ればそこまで危険ではないよ。」


 これに関しては、本当のことだ。確かに、俺自身も試しに入ってみるまでは、迷宮エリアを過剰に危険視していたが、実際に入ってみるとそこまで危険はなさそうだと思うようになっている。

 まあ、ソロだとマッピングが手間だし、万が一マッピングを失敗していた場合に面倒なことになりかねないから、楽観視しすぎるのも問題だとは思うが。


 その後も怒りが収まらない美冬ちゃんに対し、ソロで迷宮エリアに入らないことを約束することでどうにか許してもらえた。




「はぁ、私はなぜまだ会社を辞められていないのでしょうか。」


 夕食後、家に帰るという段階になって、美冬ちゃんが憂鬱そうにそんなことをつぶやく。

 明日は普通に平日なので、未だに会社をやめることができていない彼女は翌日の朝から出社しないといけない。だからこその嘆きなのだろうが、あいにくと俺にしてあげられることはない。


「でも、もうすぐ辞められるんでしょ?だったら、あと少しの間だけ頑張ってみなよ。」


「他人事だと思って……。達樹さんはいいですよね、希望通りにすぐに辞めることができたんですから。」


「ハハハ。」


 一応、何か言葉をかけるべきかと思って口にしてみたものの、気持ちがこもっていないことが完全に見透かされてしまっている。

 とはいえ、あっさり辞めることができるというのも、それはそれで微妙だと思う。あれはあれで、自分が必要とされていなかったのではないかと思ってしまうから。

 まあ、これに関しては、ないものねだりというか、隣の芝生は、ということなんだろうが。


 そんなことを考えつつ、愚痴をこぼしながら渋々帰っていく美冬ちゃんを見送ることになった。






「とりあえず、装備の見直しをやっておくか。」


 翌日になり、再びソロでダンジョンに挑戦する日々が戻ってきたのだが、とりあえず、昨日のお試し挑戦で気づいたところの対策をしていくことにする。

 まあ、単にゴテゴテするようになった装備を見直そうというだけなんだが。


「ひとまず、最近使ってない投擲物は置いていくか、リュックに仕舞うかするか。」


 しばらく前に覚えた投擲スキルだが、最近は牽制のために小石をばらまくという使い方がほとんどだ。一応、遠距離から硬球を投げつけて気を引いたり、ダメージを狙ったりという使い方もするが、レベルが上がったことで近接戦闘だけで押し切れることが多くなった結果、そちらの使い方はあまり使わなくなっている。

 なので、牽制用以外の投擲物――遠距離から投げつけてダメージを狙うような投擲物の数は減らしてもいいのではないかと思ったりもするのだ。


「とはいえ、遠距離からダメージを狙える手段というのも残しておきたいという気持ちもあるんだよな。」


 ソロで活動する宿命として、基本的にすべてのことを1人で賄わなければいけないので、色々な手段を用意しておきたいという気持ちは当然ある。

 ただ、そうした結果、今のゴテゴテとした装備が出来上がっているので、ある程度で見切りをつける必要はあるのだろうが。


「とりあえず、牽制用の小石と遠距離用の硬球は残すとして、この2つで不足するケースは何だ?遠距離からのダメージが不足する場合か?そう考えると、砲丸くらいは残すべきか?」


 口に出して考えてみるが、そもそも硬球でダメージが不足するのであれば、他に用意できるような一般の投擲物では厳しいという気もする。

 確かに、砲丸であればダメージ量は増すだろうが、硬球が通用しない相手にどれだけのダメージを与えられるというのか。おそらく、ダメージを与えられたとしてもそれは微々たるものだろう。


「そう考えると、そもそもの話として、小石や硬球なんかの一般の投擲物をどこまで信用するかということも考えておく必要があるのか。」


 とりあえず、第4階層のゾンビやスケルトン相手には小石による牽制がまだ有効だった。であれば、それよりも威力のある硬球は、まだまだ先の階層でも使えるだろう。

 だが、仮に小石による牽制が効かなくなったときに、硬球だけでやっていけるのかという問題はある。


 さっきも考えたことだが、最近の投擲スキルは牽制のために小石をばらまくという使い方をしている。

 なので、小石が通用しなくなった場合、他の投擲物を牽制のために使うということになるのだが、今用意している投擲物を単純に小石の代用とするのは難しいのではないだろうか。

 小石での牽制が有効なのは、簡単に防いだり回避したりできないほどの数をばらまけるからだ。だが、もし硬球で代用しようとする場合、牽制のためにばらまける数はせいぜい3つか4つだろう。そうなると、今ほどの牽制効果は見込めなくなる。


「というか、そもそも牽制でばらまけるほどの数の硬球を持っていくのは難しいしな。そうなると、今の戦闘スタイルは、小石が通用する階層までしか使えないのか。」


 第1階層に出るストーンゴーレムの時点で小石の牽制が通用しない以上、階層ボスレベルを相手に使うことは諦めている。だが、せめてそのお供として出てくるモンスター相手には通用してほしいとは思うのだ。


「まあ、こればかりは実際に試して確認するしかないしな。ひとまず、次の第4階層に関しては問題なく利用できそうだし、問題になってから改めて考えることにしよう。一応、家のダンジョンくらいの階層だったら、ダンジョンを攻略する最後まで通用する可能性だってあるんだし。」


 そんなことをつぶやき、改めて装備の見直しへと考えを戻すことにした。



 その後も色々と考えてみた結果、投擲物として残すのは小石と硬球のみとなった。

 いずれは階層ボス以外のモンスター相手にも通用しなくなる可能性はあるが、その場合は諦めて一度撤退するつもりだ。さすがに、投擲スキルが使えなくなったくらいで、いきなり撤退することすらできなくなることはないだろう。

 また、予備としてリュックに用意しておくものも、小石と硬球の予備だけにする。まあ、小石の予備に関しては余らせることになるパチンコ玉にするつもりだが。こっちの方が小石よりもコンパクトにまとめることができるし、無駄にするのももったいないからな。


 で、投擲物以外の装備に関しては、そのままにすることにした。

 正直、特殊警棒に関しては外すことも考えたのだが、現状そこまで邪魔になっていないので外す必要もないだろうという判断だ。万が一、メイスを失ったときに、無手になるよりはすぐに特殊警棒を装備できた方がいいだろうし。

 まあ、あくまでも万が一の時のためなので、基本はメイスとラウンドシールドを使うことになるのだが。




「まあ、この程度なら許容範囲かな。」


 姿見の前で装備を身に着けた姿を確認する。

 左右のももに小石を入れたビスカップと特殊警棒、腰には硬球を入れたボール袋、そして背中のリュックに予備の硬球とパチンコ玉という形だ。


 一応、見直す前と比較すると腰回りに着けていたウエストポーチとゴルフボールのボールケースを外しただけになる。なので、大きく変わったかと聞かれると微妙ではあるんだが、思っていたよりも動きやすくなっている気がする。

 まあ、ダンジョンに入っていないのでステータスが反映されていないということもあるんだろうが、腰回りに色々とつけすぎるのはあまり良くなかったのかもしれない。


「とりあえず、これで試して問題なければ今後はこの装備だな。」


 まあ、使っていない物を外しただけで問題が出ても困るのだが。

 そんなことを考えつつ、確認のためにダンジョンへと向かうことにした。


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