表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダンジョンのある風景  作者: はぐれうさぎ
第2章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

35/41

第11話 大部屋の先

 トロール戦を終えた翌日。

 前日とほぼ同じ時間にダンジョンへと向かう。まあ、ダンジョンへ向かう時間をキッチリと決めているわけではないので、いつも通りともいう。


 昨日と同じように最短コースで第2階層の大部屋へと向かう。

 昨日はトロールを倒し終えた後にそのまま奥へと進もうとしたが、今日のダンジョン挑戦でそうするつもりはない。

 なぜなら、昨日の針山の罠で思い知ったからだ。俺の実力はまだまだだと。


 トロールを比較的余裕をもって倒せたことから、レベルやステータス的なものの安全マージンは十分に取れているとは思う。

 ただ、ダンジョン攻略に対する心構えというか、慣れみたいなものが足りていない気がする。

 ソロで挑戦している以上、他のパーティーメンバーにフォローしてもらうことが期待できないということはわかっているが、それ以前にダンジョン攻略の方法に問題ないのかが気になった。

 一応、インターネット上の情報を調べたりして、モンスターや罠の調査はしている。ただ、それでも俺のやり方が我流で手探り状態であることは否定できない。

 そう考えると、時間をかけることでどうにかなるレベル的な安全マージンを取れるだけ取っておくのもありなんじゃないかと思ったのだ。


 しばらくすれば、美冬ちゃんがパーティーに加わってくれるということもある。

 意地というか見栄でダンジョンを先まで把握して案内したいという気持ちがないでもないが、それ以前に倒れてしまっては元も子もない。

 なので、ひとまずはレベルを上げて安全を確保することにした。

 それに、トロールを倒したといってもまだ1度だけだ。ストーンゴーレムのときもしばらくは同じ場所でレベル上げをしたのだから、それほどおかしなことではないはずだ。

 まあ正直、昨日の件で多少弱気になっていることは否定できないが。


 そんなことを考えつつ、第2階層の大部屋へと到着する。

 昨日と同じように薄く扉を開き、内部の様子を確認。近くにモンスターがいないことを確認してから部屋へと侵入した。




 光の粒子となって消えたトロールと引き換えに現れた宝箱の中身を確認する。

 中身は昨日と同じ銀貨が5枚。まあ、そんなものかという思いを抱きつつ、先へと続く扉へと視線を向ける。

 一度倒したことで、より危なげなくトロールたちを討伐することができた。今日は油断することなく、集中力を切らさずにいたため、ダメージも昨日よりも少ない。

 だが、視線の先にある扉に背を向け、入ってきた扉へと向かう。

 もう少し、もう少し何かきっかけとなるものが欲しい。具体的に言えばレベルアップだろうか?あるいはより強力な装備やスキルでもいいかもしれない。

 たかが第2階層レベルの罠相手にビビりすぎだという気もするが、不安を抱えたまま進むつもりはない。

 まずはレベル上げというわかりやすい基準を求めて、第2階層の小部屋、第1階層の大部屋へと経験値を稼ぐために向かうことにした。






 トロールを初めて倒してから5日目。

 4日目となる昨日、レベルが上がったのでそろそろ大部屋の先へと向かおうかということになった。レベルが上がったことで、現在のレベルはLv.13になったわけだが、実はそちらが理由ではなかったりする。

 都合よくというか、やっとというべきか、スキルのレベルが上がったのだ。昨日のレベルアップで初期スキルである“罠探知”のスキルがLv.2にレベルアップした。残りのスキルについては相変わらずLv.1のままなわけだが、懸念のあった“罠探知”がレベルアップしたのでちょうどいいということになった。

 正直、延々とレベル上げのために経験値稼ぎをするのに疲れたというのもある。

 まあ、そんなわけで今日は第2階層の大部屋の先へと進む。



 ここ数日のレベル上げで対処に慣れたトロールたちをサクッと倒し(相応の時間がかかったが)、宝箱の中身を回収して大部屋の先へと歩みを進める。

 一本道の通路を進み、曲がり角を左に進んだところで前回と同じように通路の床に違和感を覚える。

 “罠探知”がレベルアップしたことで、何か感じ方が変わるかとも思ったが、特に変化はないようだ。そういえば、第1階層の罠に対しても同じだったのだから当然かもしれない。


 そんな考えをひとまず脇に置き、罠を確認するために砲丸を取り出して違和感の感じるあたりへと放り投げてみる。

 地面に落ちて小さくバウンドしてゆっくりと転がったところで、地面から反応が返ってくる。

 “罠探知”で罠を探知したときに感じる違和感とは異なる反応。何らかの音が聞こえたとか、そういうわけではないが、強いて言えば何らかの気配を感じ取ったという感じだろうか。とにかく、罠が起動する気配を感じ取り、警戒して後ろへと飛び下がる。

 瞬間、目の前の地面から鉄の針が無数に飛び出してきた。


「さっきの気配みたいなのは“罠探知”がレベルアップしたことでわかるようになったものなのか?」


 なんとなく違うだろうという思いを抱えつつ、口にだしてみる。

 “罠探知”で感じる違和感とは違うものだったし、何より、仮に“罠探知”でしか罠の起動が察知できないのであれば他の探索者はどうやって罠を回避しているのかという話になってくるからだ。

 まあ、レベルの高い探索者になれば、罠が起動してから見て回避するということも可能なのかもしれないが。


「まあ、注意していれば罠の起動がわかるようになったのだと思っておくか。」


 とにかく、罠の起動がわかるようになったことは、どう考えても良いことだ。今後もダンジョンの攻略を進めるうえで有利になることだろう。“罠探知”で罠の有無が事前にわかるのだから、モンスターに追われているような状況でない限り、しっかりと見極めることができるということなのだから。

 そう結論付けて、針山の横の壁を走って奥へと抜ける。

 なんとなく一度針山を振り返り、再びダンジョンの奥へと歩みを進めた。




「扉か。」


 針山の罠を超えた先は、再度左へと曲がる曲がり角があるだけで大部屋からは一本道が続いていたらしい。そのまま第3階層への階段へと続いているのではないかという期待もあったが、あいにくとその前に別の部屋が待ち構えていた。


「小部屋か。」


 いつも通り薄く開いた扉の隙間から内部を窺い、扉を閉めてからつぶやく。

 覗き見た内部は確かに小部屋の広さだったのだが、今までのものとは違うものがあった。

 岩だ。

 高さが2m近い岩が小部屋内部に点在していた。そのせいもあってか、内部にいるモンスターを確認することができなかった。


 どうするべきか。

 一度扉から距離を取って、内部に入ってからの行動を検討する。

 扉から覗き見た限りでは、岩がうまい具合に視線を塞いで奥まで見通すことができない状態だった。つまり、いつものように投擲スキルを使っての挑発や牽制がやりにくいということだ。

 ただ、岩の上に立てば逆に高所から狙い放題になるのではないかという気もする。

 高さが2m程度なので上ること自体は難しくないはずだ。壁走りスキルを持っているうえ、岩には普通に凹凸があったので、スキルがなくても十分に上ることが可能だろう。

 問題があるとすれば、岩の上の空間が狭そうだということか。

 見た感じだと、上に立つことができないほど狭いということはなさそうだが、逆にそれ以上のことはできそうになかった。大きな岩でも半歩ずらせるかどうかなのではないだろうか。

 そうなると、モンスターの種類次第ではかなりつらいことになる。

 ここまでにいたモンスターで考えてみても、上空からインプに狙われた状態で、下からコボルトに攻め込まれると厳しいものがある。

 仮にトロールがいた場合には、あの狭そうな岩の上でやりあうのは無理だろう。

 まあ、トロールがいる場合は岩の上から上半身が見えているだろうから、この部屋にはいないだろうが。


「つまり、岩の上はなしか。」


 結局そういうことになりそうだ。

 まあ、単純に考えて、この部屋のモンスターもインプとコボルトだろうし、多少やりにくさはあるものの地上で迎え撃つだけで十分なはずだ。せいぜい、逆にコボルトに頭上をとられないように気を付けるくらいか。

 後は、岩が密集している場所で壁走りスキルを使ったアクロバットを試してみるとかか?

 今まで試す機会がなかったが、三角飛びみたいなことができるかもしれないし。


「まあ、なるようになるか。」


 ある程度考えたところで、そうつぶやいて覚悟を決める。

 そして、軽く装備を確認してから、いつものようにゆっくりと部屋の中へと侵入した。




 部屋の中に入り、周囲から反応がないことを確認して扉から離れる。

 ゆっくりと、音をたてないように壁際を移動し、部屋の内部にいるモンスターの様子を窺う。



「モンスターがいない?」


 扉を離れ、側面の壁際まで達したところで小さくつぶやく。

 岩が点在していることで、上手く部屋の内部を見通すことができていないのだが、それを考慮してもモンスターの気配がなさすぎる。音も自分が歩く際の音くらいしか聞こえてこない。

 改めて部屋の内部を見回す。

 慎重に見落としのないように見てみるが、やはりモンスターがいるような様子はない。


「ただの小部屋なのか?そういう場所もないわけじゃないらしいが。」


 そう口にし、改めて気を引き締めてから、今度は部屋の奥へ向かって足を踏み出す。

 瞬間、部屋の中心から光が発せられる。


「くそっ、そっちかよ。罠探知に反応はなかったのにっ!!」


 そうこぼして、入ってきた扉へと駆け出す。

 だが、数歩駆けたところで、行く手を阻むように目の前を矢が通り過ぎた。


 矢が飛んできた方へと向き直ると、奥の岩の上で弓を構えるモンスターの姿がある。

 さらに岩の隙間から、今もなお部屋の中心で光を放ち続けている地面の魔方陣からモンスターが召喚されていることが見てとれた。


「なんで、モンスターハウスに罠探知が反応しないんだよっ!!」


 愚痴りながら、ダメ元で入ってきた扉へと再度駆ける。

 途中、再度矢による妨害が入ったが、装備しなおした盾で防いだので問題ない。


「やっぱり、ダメか。」


 駆けた勢いのまま飛びついた扉は予想通りビクともしない。


 モンスターハウス。

 侵入者を部屋に閉じ込め、召喚したモンスターによって蹂躙するという罠に捕らわれてしまったらしい。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 淡々と進んで行くが気がつくとスマホを持つ手に力が入っているのに気づいて驚いた。 [気になる点] いまは特にありません。 更新待ってます。 [一言] どんなペースでも良いので続きを楽しみに待…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ