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ダンジョンのある風景  作者: はぐれうさぎ
第1章

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第21話 ストーンゴーレムへの一当て

 ここに来るのは1週間ぶりだろうか。

 第1階層の最奥、ストーンゴーレムの部屋の前に立ってそんなことを考える。

 

 正直、ストーンゴーレムに一当てするにあたり、いつもの大部屋をどうするか悩んだ。だが、結局いつも通り、大部屋を攻略してからストーンゴーレムに一当てしようという結論になった。

 ただ、今にして思えば順番を逆にした方が良かったかもしれない。なぜ、新しく挑戦しようという時に余裕をなくすようなことをしているのか。

 まあ、いつもの大部屋の方は特に危なげもなく、大して消耗することなく攻略できているので、問題ないと言えば問題ないんだが。



 「さて、行くか。」

 

 そう声に出してから扉に手を当てる。そのままゆっくりと扉を開き、中の様子をうかがう。ひとまず、扉付近にモンスターはいない。それを確認してから部屋の中へ入った。


 改めて部屋の中全体を見渡す。

 とりあえず、モンスターの配置は前回とそう変わりはないようだ。部屋の奥にストーンゴーレムを中心としたレッドスライム3匹を含むスライムたちの集団。そして、その集団から距離をとるようにして3~5匹で固まっているグループが4つほど。

 前回はストーンゴーレムから距離をとっているグループを部屋の外に釣り出して処理してからストーンゴーレムへと挑んだわけだが、今回はそれをしないし、必要もないだろう。

 武器を金属バットからダンジョン産の魔鉄のメイスに更新しているし、“投擲”スキルによる遠距離攻撃もある。何より、手前の大部屋を釣り出しなしで問題なく攻略できているという実績がある。

 もしこれで手前にいるスライムたちを処理できないのであれば、それは俺の力不足だろう。その場合は素直に諦めて、ダンジョンに複数回挑戦することでレベル上げをすることにしよう。

 まあ、前回のことから考えると距離をとっているスライムたちにちょっかいをかける分については、ストーンゴーレムもレッドスライムも無反応なので問題はないと思うが。






 結局、手前にいたスライムたちを処理しきるまでストーンゴーレムたちがこちらに仕掛けてくることはなかった。同じ部屋の中にいる仲間がやられているのにそれはどうかとも思うが、こちらとしては都合がいいので気にしないことにする。一応、グリーンスライムやブルースライムなんかはこちらに対して反応していたので気づいていないわけではないと思うが。

 なんにせよ、ここからが本番だ。幸い、手前にいたスライムたちを処理する際に受けたダメージはほとんどない。ストーンゴーレムの側にいるスライムたちが仕掛けてこないおかげで呼吸も整えることができた。

 後は思う存分、ストーンゴーレムに対して一当てしてみるだけだ。


 ボール袋から硬球を取り出し、ゆっくりとストーンゴーレムたちの方へと歩く。30メートルを切ったあたりで手前のグリーンスライムたちが反応しだしたので立ち止まり、投球モーションへと入る。まずは硬球による“投擲”スキルの効果を確認だ。

 

 ゴッという音をたてて硬球が弾かれる。狙い通り、ストーンゴーレムの胴体に命中したが、ダメージが入っているかどうかは疑問だ。はっきり言って、見た目的には石の壁にボールが弾かれただけにしか見えない。

 続けてサイズが大きい砲丸についても試したいところだが、こちらに反応したグリーンスライムとブルースライムが迫ってきている。確認はこいつらを処理してからだ。

 

 メイスを右手に持ち直し、左手で小石をいくつかつかむ。

 ストーンゴーレムの影響範囲から出てこないかもしれないと思っていたが、どうやらそのままこちらまでやってきてくれるらしい。スライムたちがほどよく近づいてきたところで、こちらもスライムたちへ向かってはしり出す。

 ブルースライムが2匹、グリーンスライムが2匹のグループに対し、スライムたちの攻撃範囲に入る直前で小石をばらまく。先行してこちらへと飛びかかろうとしていたブルースライム2匹に小石がヒットしてその動きを止める。

 そこを見逃さず、右のブルースライムに向かってメイスを振り抜き、間髪入れずに残った左の1匹も蹴り飛ばす。

 次いで、遅れて飛びかかってきたグリーンスライムたちの攻撃をメイスで難なく受け止める。そのまま目の前で落下していくグリーンスライムに向かってメイスを連続で叩き込んだ。


 グリーンスライムが光の粒になったのを確認し、弾き飛ばしたブルースライムを追撃しようとするが、レッドスライムからの火の矢が飛んでくる。どうやらストーンゴーレムの陰に隠れて詠唱していたようだ。そのせいで気づくのが遅れた。

 仕方がないのでブルースライムへの追撃を諦めて、防御に専念する。無理をすればそのまま追撃できなくもないが、本命を前にして無理をすることもないだろう。

 メイスを身体の正面で構え、距離をとるために後ろへと下がる。弾き飛ばしたブルースライムが体勢を建て直し、ストーンゴーレムの方からも追加が来ているのが見えるが今は無視だ。

 飛んできた火の矢をメイスで打ち消す。どうやらけん制目的だったようで、飛んできたのは1発だけだ。

 だが、ストーンゴーレムの方に残っていたブルースライムとグリーンスライムが、先ほど弾き飛ばしたブルースライムに合流している。さらに、ストーンゴーレム自身もこちらへと向かってきているようだ。

 ゆっくりと後退し、部屋の手前側、ある程度扉に近い位置まで下がる。途中でストーンゴーレムは止まるかと思ったが、スライムたち同様、こちらに向かうのをやめることはなかった。

 今は俺から20メートルほどの距離で、なおこちらに迫ってきている。

 だが、これ以上後退すると扉側の壁が邪魔になる可能性がある。さすがに硬球1発ぶつけただけで撤退というのはありえないので、仕掛けることにしよう。今度はメイスの確認だ。

 

 手前にいるスライムたちのために小石を用意し、ストーンゴーレムへと駆ける。こちらの動きに気づき、スライムとゴーレムが足を止めて迎撃の体勢をとろうとしているのが見えた。

 先頭にいるブルースライムの射程圏内に入る。

 飛びかかってくるブルースライムに小石を投げつける。命中し動きを止めるのに成功するが、1匹だけタイミングをずらした奴がいる。そいつはメイスでお出迎えだ。

 地面に落ちたブルースライムをかわし、やや離れた位置にいたグリーンスライムたちへと迫る。

 一応、こちらに向かって身構えているみたいだが、ブルースライムに比べると反応が遅い。中途半端な体制のグリーンスライムに、腰からパチンコ玉を素早く取って放り投げる。投げるというより、腰をたたいて弾き飛ばしたようなものだが、これでもスキルの効果があるみたいなので問題ないだろう。命中した奴らがダメージを受けたのかやや後ろにのけ反ったのが見えた。

 さて本命を、と奥に目を向けたところでストーンゴーレムが右腕を振りかぶるのが見える。まだ距離はあるが、このまま行くといいタイミングで腕が飛んできそうな気がする。しかも、レッドスライムが1匹詠唱し始めているし。

 だが、1度だけとはいえ、前回見た動きであれば躱すことができるはずだ。……レッドスライムの邪魔がなければ。

 詠唱している1匹を除いた2匹がストーンゴーレムの前に出てこちらへと迫る。

 小石やパチンコ玉を取り出す余裕はない。

 メイスで防御するために左に抜けるように進路をずらす。元々すれ違いざまにストーンゴーレムにメイスを叩き込むつもりだったので問題はない。……抜けた先で腕が飛んできそうだということ以外は。

 そんなことを考えている間にレッドスライムがタイミングをずらしながら飛びかかってくる。

 地味にいやなことをしてくる。

 1匹目はメイスで払うことができたが、2匹目が潜り込むように腹に向かってくる。

 左腕を前に出して受け止めるが、やや衝撃を感じる。

 しかも、前を向くと次はストーンゴーレムの一撃だ。

 ストーンゴーレムの動きを見て、腕の軌道を見切る。かっこいいことを言っているが、相手の動きがそこまで早くないからこそできる芸当だ。これ以上早い動きをされると、なすすべなく吹っ飛ばされる自信がある。

 迫りくるストーンゴーレムの腕を屈むようにしてかわす。

 そのまま駆け抜ける勢いそのままにメイスを叩き込む。

 

 「!?」

 

 返ってきた衝撃に、危うくメイスを取り落としそうになる。

 まさに石の塊を殴りつけたような強烈な衝撃だ。前回は金属バットが折れ曲がったことで衝撃が吸収されていたんだろう。仮にこの衝撃を前回受けていたら、武器を取り落とした状態でそのまま終わっていたかもしれない。

 驚きで足が緩んだところで後ろから不穏な気配を感じる。

 背後を振り向くと、ちょうどレッドスライムが詠唱を終えたところだった。

 落ちた速度を戻して可能な限り距離をとろうとする。

 2歩も進まないうちにファイアーアローが迫り、振り向きざまにメイスで撃ち落とす。

 メイスを前にしたまま、素早く相手の様子をうかがう。

 さすがにまだ追撃の体勢には入っていない。こちらへと向きを変えたところのようだ。

 そのことに安堵し、ゆっくりと後退して距離をとる。

 

 とりあえず、ストーンゴーレムを殴りつけてみたが、スライムの邪魔が入ると危険かもしれない。

 今までのように食らうのがスライムの攻撃であれば、そこまで気にしなくてもいいのかもしれないが、ストーンゴーレムの攻撃を食らうのはまずい。前回はそれで死にかけたわけだしな。

 そうなるとやはり、先に周囲にいるお供のスライムたちを片付けないといけないのか。

 まあ、“投擲”スキルもあることだし、色々と試してみるか。

 

 

 

 

 

 「そろそろ終わりにして、撤退するか。」

 

 ストーンゴーレムを相手にし始めてから30分ほど。周囲のスライムたちを片付けるためにいくつか試してみたが、さすがに疲れた。

 “投擲”スキルで遠距離から狙えばすぐに片付くんじゃないかという甘い考えはすぐに捨てさせられた。

 あの後すぐの一投目はうまくいった。威力を重視して砲丸を使い、離れた位置からレッドスライムを狙って命中させた。さすがに1発で倒すことはできなかったが、そこそこのダメージが入ったように見えた。

 だが、2投目からはダメだった。

 スライムたちがストーンゴーレムの陰に隠れるように移動してしまい、投げてもストーンゴーレムに防がれるようになってしまったのだ。

 ストーンゴーレムを中心に円を描くように走りながら投げつけてもダメ。すべてストーンゴーレムに防がれる。防いでいるストーンゴーレムにダメージが入っているのではないかと思わなくもないけど、正直、防がれている姿を見ると期待薄だ。

 

 次に、いつもやっているようにヒットアンドアウェイでスライムを削る方向にシフトした。さすがにこれならいけるだろうと思ったんだが、これもなかなかに厳しかった。

 最初のうちは、こちらの動きにつられてスライムたちがばらけるようになっていたんだが、2、3匹も倒すとストーンゴーレムの攻撃範囲から外に出ることがなくなった。そうなると、攻撃しに近づくたびにストーンゴーレムからの一撃を警戒しなければいけなくなり、かなり精神的に疲れる結果となってしまった。

 

 で、最後に試したのが、この2つを合わせた戦法だ。ヒットアンドアウェイをメイスではなく、“投擲”スキルでやると言えばわかりやすいだろうか。

 スライムたちの中を駆け抜け、小石やパチンコ玉をばらまく。さすがに駆け抜けながら近距離で投げつければ、ストーンゴーレムであってもすべてを防ぐことはできない。

 まあ、駆け抜けながらの投擲なので威力もかなり落ちてはいるみたいなんだが、スライムたち相手であれば一応のダメージは入っているみたいだ。繰り返すうちにグリーンスライムから順に倒していくことができた。

 そうなるとスライムたちも考えるようで、俺が突っ込むと果敢に攻めてこようとするようになった。そうなると今度はメイスの出番だ。相手の出方に合わせることでより効果的にダメージを入れることができるようになったと思う。

 

 ただ、この戦法は結構疲れる。

 終始走りっぱなしになっているし、近づいた時はストーンゴーレムを警戒しないといけない。かといって、休憩しようかと考えて休もうとするとストーンゴーレムが出張ってくるという辛さ。

 全力で距離をとればある程度は休憩できるんだが、その場合はレッドスライムが火の矢を撃ってくることがある。まあ、弾数に限りがあるので、ある程度耐えればいいだけの話ではあるんだが。

 とりあえず、そのあたりの確認も明日でいいだろう。

 まだ、ストーンゴーレムの他にレッドスライムが2匹、ブルースライムが3匹残っているが、とりあえずのめどは立った。今日のところはここまでにして、明日万全の状態からどこまでできるかを確認しよう。

 そう決めて、ストーンゴーレムから慎重に距離をとって大部屋から撤退した。






 翌日。

 前日に試した戦法でどこまでやれるかを確認するため、ダンジョンへと入ってストーンゴーレムの部屋に挑戦した。結果、ストーンゴーレム以外のスライムたちをすべて倒すところまで成功し、ストーンゴーレムとの1対1というところまで持っていくことができた。

 ただ、準備というか、覚悟が決まっていなかったので、ストーンゴーレムを倒しきるところまで粘ることはせず、少しやりあっただけで撤退したが。

 代わりに、後回しにしていた脇道の大部屋でスライムたちを相手にレベル上げは行った。

 

 とにかく、今回の挑戦でストーンゴーレムを倒すための準備はできたと言っていいだろう。次はストーンゴーレムを倒し、第一階層の突破を目指そう。



次も近いうちに更新する予定です。

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