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ダンジョンのある風景  作者: はぐれうさぎ
第1章

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第13話 小部屋の先へ

 レッドスライム討伐を果たした翌日。

 俺は再び小部屋へ挑むことにした。

 理由はレベル上げとインターネットで調べた情報の確認である。


 調べたのはレッドスライムが使用する火魔法についてだ。インターネットの情報によれば、あの火の矢は火魔法Lv.1の魔法呪文で“ファイアアロー”というらしい。その消費MPは5。そして、第1階層のレッドスライムのMP量は個体差はあるらしいがおおよそ20らしい。

 昨日のレッドスライムは火の矢を4回放って以降、魔法を使わなくなった。インターネットの情報を信じれば、昨日のレッドスライムはMP切れを起こしていたということだ。

 今日はレッドスライムに火の矢を4発撃たせることを狙っていく。そして4発目以降の火の矢が飛んでこないことを確認するのだ。

 実際に火の矢4発でMP切れを起こすことが確認できれば今後の攻略がしやすくなる。とにかく火の矢を4発耐えれば、後にはただのタフなスライムが残るということになるからだ。


 

 小部屋での活動は順調に進んだ。今回は火の矢を撃たせる数を増やすために通路に釣り出す回数を3回に増やしたんだが、レッドスライムの奴は期待通り、3回すべてで火の矢を使ってくれた。

 結果、小部屋の中に残るのは火の矢を1回残したレッドスライム1匹とグリーンスライム2匹だ。このまま一気にけりをつけてしまおう。


 小部屋の中に入るとスライムたちは部屋の中央にまとまっていた。前方にグリーンスライム2匹、後方にレッドスライムといういつもの陣形だ。

 俺は気負うことなくスライムたちへと近づく。

 するとレッドスライムは詠唱を開始し始めた。

 最後の1発を余裕のある状況で使ってくれることに感謝しつつ、俺はバットを構えて火の矢に備える。


 数秒後、飛んできた火の矢をバットで迎撃し、同時に飛びかかって来ていたグリーンスライムたちを腕でガードする。

 俺はバックステップで一度距離を取り、スライムたちの様子を確認する。

 レッドスライムは未だ後方に位置し、グリーンスライムが突出している形になっているようだ。

 であれば、速攻でグリーンスライムたちを片づけるべきだろう。

 そう決めた俺は目の前に転がる2匹のグリーンスライムたちに殴り掛かった。


 レッドスライムがこちらに攻撃を仕掛けてきたのはグリーンスライム1匹にとどめを刺し終えたタイミングだった。

 動かなくなったグリーンスライムを叩きつけているという余裕のある状態であったため、レッドスライムの行動は全て見えていた。

 なので俺はバットを構え、レッドスライムが目の前に来たタイミングでフルスイングを放った。

 真芯で捕えた今のバッティングは我ながら会心の一打だと思う。

 だが、壁にぶつかったというのにレッドスライムはまだ息があるようだ。

 俺は面倒に感じつつも目の前のグリーンスライムにとどめを刺し、残ったレッドスライムにもとどめを刺しに向かった。


 

「今回はドロップなしか。」


 レッドスライムにとどめを刺した後、残念に思いながらつぶやく。まあ、いくら上位種といっても所詮はスライムだ。都合よく毎回ドロップアイテムを残すわけではないだろう。

 それに今回の目的はレッドスライムの火の矢の最大数の確認だったのだ。今日も4発で打ち止めとなっていたのでおそらくインターネットで調べた情報は正しいのだろう。

 今日のところはそのことが確認できただけで満足すべきだ。


 

「じゃあ、奥に進んでみるか。」


 気を取り直してつぶやく。

 そう、当然ではあるがこの小部屋が第1階層の最深部というわけではない。であれば、先に続く道があるのが当然である。そしてその先に進む道、というか扉はすでに見つけている。

 まあ、見つけるもなにも部屋の右手の壁面に入って来たのと同じような巨大な扉が設置されているので部屋に入るとイヤでも目に入るのだが。

 昨日はレッドスライム初討伐ということに加え、HPにもダメージが溜まっていたのでそのまま帰還した。だが、今日はHPもほぼ満タンの状態だ。ここは先の通路の確認に行くべきだろう。


 先に続く扉の前までやってくると俺は立ち止まり深呼吸をする。

 どうもこういう先に何があるかわからないようなものには無駄に緊張してしまう。

 気を取り直し、左手で扉に触れる。

 徐々に力を加え、わずかに開いた隙間から奥を覗き込む。


 どうやら、扉の向こうはここのような部屋ではなく今まであったような通路になっているようだ。

 さらに慎重に周囲を見渡してモンスターがいないことを確認した俺は、扉を開けて先の通路へと足を踏み出した。


 100メートルほど進んだところだろうか、左側に横道を発見した。

 よって進路の選択肢は直進か左折かということになるのだが、目の前の通路の先に小さく扉のようなものが見える。

 なのでここは直進して扉を確認しに行くことに決めた。

 というわけで俺はそのまま前へと通路を進み始めた。


 更に数100メートル進んだ後、俺は先ほど遠目に見えていた扉の前に立っていた。

 自衛隊の探索チームの報告では、第1階層から第3階層まで各階層には3部屋ずつ部屋があったと言っていたはずだ。であれば、ここが第1階層最後の部屋になるわけだ。


「ふぅ。」


 俺は短く息を吐き出してから扉に手を触れる。

 そしてゆっくりと扉を開き始め、慎重に部屋の中を窺う。


「……。」


 俺はゆっくりと音を立てないように扉を閉めた。


 

「マジかー。」


 通路の天井を見上げつぶやく。

 中をのぞき見た感じ、部屋の大きさは以前見た大部屋と同じサイズだろう。それは良い。

 で、モンスターについてなんだが、スライム以外のモンスターがいた。距離が遠いためダンジョン適応の識別が効かなかったんだが、あれはゴーレムだ。見た目的にはストーンゴーレムっぽいが実際のところは対峙して識別してみなければわからない。

 だが、遠目から見ても強そうなことが分かった。ごつごつとした岩のような体表に太い手足、胴体も重量感のある巨体だった。正直、あんなものに殴られることを想像したくもない。

 さらに問題なのはレッドスライムも3匹いたことだ。

 俺はやっとレッドスライム1匹に対して勝てるようになったところだ。それも通路への釣り出しなどの小技を駆使した上で。それなのにそれが3匹もいるのだ。加えて当然のようにグリーンスライムやブルースライムもいる。


「まあ、まだ無理だな。」


 少し考えた後、分かりきっていた結論を口に出す。

 そう、まだ無理だ。少なくとも小部屋にいるスライムたちを釣り出しなしで掃討できる程度に強くならなければどうしようもないだろう。

 より慎重を期すのであればもう一つの大部屋をクリアしてから挑戦すべきだろう。

 まあ、しばらくはレベル上げだな。


 そう結論を出した俺は後回しにした横道の探索へと向かった。


 

 通路を戻り、横道に入ってから5分ほどで通路の奥にまで達した。

 そして、この通路の奥なんだが初めて見るものがある。

 宝箱だ。


 ……なんだが、この宝箱からものすごい違和感を感じる。

 そう、あの落とし穴を見つけた時のような違和感だ。

 つまりはこの宝箱には罠が仕掛けられているということなんだろう。

 残念ながら俺には罠を解除するような技術はない、さらにスキルの罠探知も探知するだけで解除には別のスキルが必要だとこの前調べたときに確認している。

 要するにこの宝箱はあきらめるしかないというわけだ。……はぁ。


 

 結局、見つけた宝箱に対して有効な手段を講じられなかった俺はそのままダンジョンを後にした。


 


 

 翌日、俺は背中に背負ったリュックに秘密兵器を入れてダンジョンへと入っていった。


 レッドスライムの小部屋をいつも通り通路への釣り出しを利用して突破し、俺は再び宝箱の前にやって来た。


 俺は背中のリュックを下ろし、家の物置で見つけた秘密兵器を取り出す。

 そう、それはマジックハンドだ。

 ……正直、なぜマジックハンドが紅葉(クレハ)おばさんの家に置いてあったのかはわからないが。


 何にせよこれがあれば罠のある宝箱に対しても安全な位置から開けることができるはずだ。


 俺はマジックハンドを慎重に操作して宝箱の留め金を外す。

 ここでいったん間を置くが、これだけでは特に何も起きないようだ。


 続いてマジックハンドを蓋にひっかけ慎重に宝箱を開いていく。

 蓋が持ち上がり、中身が見えるかというところになった瞬間、宝箱は爆発した。


「……。」


 正直、呆然とするしかない。

 使っていたマジックハンドも先の方が吹っ飛んでしまい、もう使い物にならなくなっている。

 というか、宝箱が爆発するとかマジックハンド程度では不用心だったかもしれない。幸い威力が低かったからマジックハンドだけの被害で済んでいるが、もう少し威力があると俺自身が危なかった。

 今後はもう少し慎重に行動しよう。


 一応宝箱があった場所に行って中身が残っていないか確認してみるが、そこには宝箱の残骸しか残っていなかった。


 結局、この日は他を探索する気力をなくし、ダンジョンをとぼとぼと出て行った。


 

 なお、翌日確認してみると宝箱は元通りに復活していた。……罠付きで。


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