風景 No.002 腹の中の島
腹の中の島の地図です。
① 海。エメラルドグリーンの海。ただし波は全くない。海水と同じ成分でできている。センカンソシャクブナが魔改造されてしまっているからである。
② 西の海岸。少年が泳いで辿り着いた砂浜はここである。ここでの方角は、⑦の、村長の屋敷を北としてみた場合。魔改造されてしまっているセンカンソシャクブナの腹の中にあり、その胃に固定された島なので、方位磁針では方角は分からない。
③ 門へ続く階段。
④ 門。港以外の町への入り口。トンネルになっている。町側の入り口に門番が二人待機しているが、出番はほぼない。丸飲みされると、飲まれたものは島の港以西に落ちるように流される。よって、町への入り口はこの二つで十分なのである。船の場合は、⑤の港へ吸着させる。人やその他は、西へと流れるようになっている。
⑤ 港。モンスターフィッシュの一種である、ゼリーゲルクラゲの体液を四角い形に固めたもの。半透明である。それを凹の形にして、へこんでいるところの反対側を島にくっつけている。へこんでいる部分には、水を吸い込む管がついており、それを作動させることによって、船をここに吸い付ける。ゼリーゲルクラゲは非常に柔らいため、吸着するときに船を傷つけることはない。
⑥ ⑦の、町長の家まで続く登り道。途中に枝分かれした道がついている。角地には、この島を訪れた者を対象にしたお土産屋や、現地住民用の店が混在している。枝分かれした道に沿って住宅地が広がっている。しかし、途中からは傾斜がきつくなり、道のまわりに何もない。それを上りきると町長の家に着く。
⑦ 町長の家。しかし、この町長は変わり者である。家は外壁で囲まれており、入り口はない。町長が家の中からしかけを動かすことによって、入り口が現れるようになっている。
⑧ 東の海岸。特に何もない。
⑨ 北の海岸。モンスターフィッシュの一種である、ジャリジャリバキュームヒトデを釣ることができる。
⑩ 船員全員が集まってたところ。宿。
⑪ 造船所。しかし船を作っているのではなく、船に取り付ける変わったパーツを提供している。それらは町長の研究の成果である。
腹の中にある島。真っ白な島。島全体は石灰岩でできている。そして、島の周りに星の砂による海岸ができている。
実は、町長であるドクターが趣味で作ってしまった、センカンソシャクブナの体内に作った人工島と町。(絵では黒くなっていますが、海岸も真っ白です。)
あらゆる資源は、センカンソシャクブナに辺りのものを適当に飲み込ませて集める。石灰岩は、センカンソシャクブナが飲み込んだものから手に入れられる。ジャリジャリバキュームヒトデを魔改造し、センカンソシャクブナ飲み込んだものを分別して収集している。
飲み込むものはセンカンソシャクブナの自由意志によって決められるため、少年たちの船が飲み込まれたのは事故である。もっとも、こういったことは頻繁にあるらしいが……。
周囲はただの青空が広がっているように見えるが、ただの絵である。だから天気は常に雲ひとつない晴天である。太陽は、モンスターフィッシュの一種である、タイヨウアンコウを巨大化させ、そのちょうちんを採集したものである。
このちょうちんは、刺激を与えるだけで光る優れもので、非常に強い光を放つ。それを、町の真上の、ちょうどいい位置につけて、太陽の代わりにしている。夕焼け色の光や月の光も出せるように改造されており、夕方も夜もちゃんとある。
この海域(胃袋)から出る場合、センカンソシャクブナの体の出口である肛門まで、急流すべりのように激しく船ごと流されていくことになる。当然、ドクターによって改造されているので、船が大便まみれ(砂まみれ)になったりすることは決してないので安心である。