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第九話:異世界、それは別世界とは違うもの

こんにちは、河異零次です。

今回遅れたのは後で彼女たちが話してくれるでしょう。

ま、二週間以内に出せたので許してください(←土下座)

それでは本編です。どうぞ

「クソッ!」

走りながら攻撃を躱す。

「早くタカの所へ行かなきゃなんねーのに」

俺はイソラ。現在敵と交戦中。

え?なんでこんなことになってるかって?

簡単。向こうが俺を敵として見て、攻撃してきた。それだけさ。

「つーかなんだよ、あの武器」

武器としては珍しく、俺も名前も知らない物だ。

まだそんな武器があったとは・・・。世界は広いな。

「あなたはお強いですね」

「うるせー。お前は全然余裕そうだな」

こっちは息が切れ切れなのに向こうは息一つ乱れてない。

「あなたが激しく動くからでしょう?」

「お前がそこをどかないからな」

そう言って大剣を振る。

上段切りからの横払い。横払いのときには遠心力を加えながらの全力だ。

「おいおい、マジかよ・・・」

しかし、相手はただ一歩後ろに下がり上段切りをよけ、自分の武器を縦に持っただけで横払いを止めやがった。

「今のはなかなかに重い一撃でしたね」

「今のでびくともしないとか、バケモンかよ」

魔法で大量の氷の粒を打ち出し、後退する。

しかし、相手はそれを自分の武器を広げて防いだ。あれ盾にもなるのかよ。

「お前、それはなんだ?」

「なんだ?というのは?」

「その武器だ、それは俺も見たことがない」

「ああ、これは『傘』ですよ」

「『傘』?」

「ええ。この世界では使う人はいませんが、別世界では結構ポピュラーなものらしいですよ。雨よけとして」

「へぇ」

雨よけなんだ・・・。じゃあ雨よけとして使えよ。なんで武器にしちゃったんだよ。

「おや?あまり関心が無いようですね」

「ま、別世界から来たやつが俺の知り合いに二人ほどいるんでね」

「ほぅ。それは興味がありますね。ちなみに私は八人・・ほど」

え、そんなに異世界人いるの?そんなにいらねーよ。一人でも多いくらいなのに、八人?俺の所の含めれば十人だよ。何?この世界は異世界人にでも乗っ取られちゃうの?

「俺は今急いでるからさ、そこをいい加減どいてくれねーか?」

「私にはどく理由が無いので」

「チッ。やっぱ実力行使しかねーか」

念のためマドカとミーを逃がしてタカの所に向かわせたのは正解だったな。

怪我してても俺じゃ治癒魔法は上手く使えないし、戦いになっても二人が行けば問題ないだろ。

・・・タカが一番心配なんだが。戦闘でもなんとか二人が行くまでは持ちこたえてほしいな。

ま、あのチビ(エレン)が居ればなんとかなるだろ。

「さて、コイツはどうしたもんかねぇ」

すでに相手は決め技に入ろうとしているんだが。

「『刺斬しざん』三連型!」

そう叫ぶや否や物凄い勢いで突きを繰り出してくる。

顔の右、胴、喉と来て、最後は横に・・・いや、こいつは違うな。

『傘』から持っ手を取り勢いよく引き抜く。

「おいおい、仕込み刀かよ・・・」

「『満月十文字切り』っ!」

剣士ってのはどうして決め技の前に剣を満月のように丸く回すのだろうか?

あれかね。ルーティーンってやつ?

なんでもすることで技の成功率が上がるとかなんとか・・・。

そして、満月十文字切りとやらが俺に向かって振られる。

俺に飛んできたのは刃ではなく、斬撃だった。

聞いてねーぞ!?大体、そういうのはひとつなぎの大秘宝とかを探してる某剣士とかが使う奴だろ!?

常人が使っちゃダメだって!

しかし、軌道上にいる以上受けなければならない。

俺は衝撃を受け流すように大剣を構え、斬撃を受けたのだが、

「クソッ!重い・・・っ!」

なんつー衝撃波だよっ!受け流すだけで腕が痺れる。

威力は後ろの建物の被害状況で見てもらうしかないんだが、あー半壊どころか全壊だなこりゃ。

こんな奴まともに相手してたら何時間掛かるかわかったもんじゃねぇ。

ここは煙幕を使って逃げるか?

腰から煙玉を取り出し、地面に向かって投げつける。

「フフッ。逃がしませんよ」

いつの間に刃をしまったのか、傘の状態で煙を払われる。

一振りで!?まったく。なんつー威力だよ!

「チッ!逃げられねーとわかった以上、手加減はしねぇ。後悔しても知らねーぞ!」

タカのことはあいつらに任せよう。

俺ができるのはコイツを足止めしてタカの所へ行かせない事。

「ハハッ、あなたで私に敵いますかね!」

傘と大剣が火花を散らす。

・・・一体何で出来てやがんだ?


「イソラ達遅いなぁ」

「まだ連絡して数分も経っていないだろう?」

「え~?そうか~?」

エレンはそう言うが、俺としてはもう二十分以上経ってるような気がするんだけどなぁ。

俺はタカ。現在エレンと二人で意識不明のアリシャを保護している。

「しかし、ほんとにまったく動かないな」

「当たり前だよ。寝てるんじゃなくて、意識が無いんだから」

「しかし、なんで急に倒れたんだろうな?」

「分からない。けど、アリシャの中にいる神が暴走したと僕は考えている」

「神が暴走した?」

「本人たちの意志がどうであれ、神にとっては不本意であることは確かだろう。だって人間は信仰される対象であって、別に神たちにとってはどうでもいい存在だ。その辺の石ころと大差ない。そんな奴らの下になんか居られないだろ?」

つまり、自分より下に見てた奴に見下された気分って事か。そりゃ苛立つわ。

神様皆がそう言う奴じゃないと思うけどな。ほら、俺を生き返らせた神様とか。

「じゃあアリシャはそれを鎮めない限り起きないと考えた方がいいかな」

「そうだね。このまま放っておくこともできないし、かといって戦闘になっても意識が無いんじゃねぇ」

どうしよっか?と聞いてきたエレンに俺は知らん、と答え、窓の外を覗く。

う~ん。静かだ。とても暴動が起きたとは考えられない静かさだ。いや、そもそも暴動かどうかはわからないけれど。

あれ?もしかして暴動なんて起こってなかった?

いやいや。それならなんで火が起こっていた?

あれ?兵士が言ってなかったけ?町に放った火が消えたって。

つまりあれか?暴動が起きたんじゃなくて、兵士たち・・・つまり軍の方が悪いのか?

町の人たちは関係ないのか?

じゃあ町の人はどこに行った?

「ん?なんだろうこの紙」

部屋に目を戻すと、エレンが一枚の紙を持っていた。

「なんだ?その紙」

「え~とね、『明日、町に火を放つ。最低限の物を持って逃げること』だって」

え~。なにそれ~。お~か~し~く~ね~?

「いや、それで納得しちゃうのかよ」

「『なお、残った者には反逆罪の刑を課す』だって」

「なるほど」

どうりで町がすっからかんなわけだ。誰だって残りたくないわな。

じゃあ今回悪いのは普通に軍部だったわけだ。これで容赦なくぶっ潰す口実ができたな。

ま、アリシャがこんな感じじゃ動けないんだけどな。

「でもどうしてこんな行動に出たんだろうね」

「さぁな。悪い奴ってのは蓋を開ければよくわからないことで動いてるからな」

「ま、本人たちからしたら大事なことなんだけどね」

「人間の考えることなんてそんなもんだろ」

「君の今回の行動理由だって、僕からしたらよくわからないけどね」

「何が?」

「『困ってる女の子はほっとけない』ってやつさ」

「ああ、それか」

う~ん。なんでだろうな?俺は今までそんな奴じゃなかったはずなんだけどな。

「あれだよ。勇者になったから、正義感が出たんだよ。・・・たぶん」

「ま、君自身がよくわかってないことは僕が一番わかってると思うけどね」

・・・なら聞くなよ。

そこでエレンはくるりと一回転する。

するとそこにいたのは幼女ではなく、普通の女の子がいた。

「僕は君の考えはわかるけど、それを理解してるかと言えばそうではないんだよ。君の考えに共感する部分はあっても、完全に君のことがわかってるわけではないんだ。君から聞きたいこともあるのさ」

「俺から?」

俺は混乱しすぎて、その容姿に対するツッコミを忘れていた。

「手紙や人からみたいに間接的ではなく、君の口から直接、ね」

なんだよ、その表情。なんか妙にエロいぞ。なんかこう、なんて言えばいいんだろう。

こう・・・艶やかというか、蕩けた顔というか・・・、とにかくなんかエロいですエレンさん。

「フフッ。君の慌てた表情はとても面白いね。ん?どうしたんだい?」

可愛いとは違う。でも美しいという表現も違う気がする。俺はそれを表現することができなかった。

それからどれだけ時間が経っただろう。それくらい俺はエレンの顔に見とれていたんだ。

「・・・お~い?タカく~ん?意識ある~?」

目の前で手が振られ、ハッと気が付く。

「そ、その格好はなんだ?」

少し声が上ずってしまったが気にしない気にしない。

「ああ、これ?少し姿を変えたい気分だったからさ。変・・・かな?」

「いや、変じゃないけど、なんでそうお前は出来ることを先に言っとかないんだ」

「ほら、後出しって強いじゃないか」

「世間ではそれを出し惜しみっていうんだ」

てか、姿変えられるのかよ。それなら俺はウルスさんに説教されることも無かったんじゃないか?

「この姿は魔力消費が少し多いから、普段はあまりならないようにしてるのさ」

「なんで今は変化へんげしたんだ?」

「変化って・・・妖怪じゃなんだから・・・。ま、簡単な話、たまにならないと忘れちゃうからだよ」

「ああ、そういう」

「あと、今は空気中に魔力が溢れているからね。使わないとバランスが崩れちゃう」

魔力が溢れてる?バランス?

「まったく。君は魔力についての基本知識は教えてもらっただろう?」

俺の表情を見たのか、俺の心を読んだのか、頭の上に?ができている俺にエレンが聞いてくる。

「空気中にも微量に魔力があり少しずつではあるが魔力回復にも使える。ってことくらいは」

「うん、そうだね。まぁ簡単に説明すると、原子論のように空気中に何パーセントかの割合で魔力が存在するんだけど、稀に空気中に魔力が溢れることがあるんだ。それによって起こる被害には予想がつかない」

「どうしてだ?」

「魔法がほぼ使いたい放題な状態になるからさ。それによって滅んだ国だってある。自然災害みたいなもので人為的に起こった例は聞いたことなけど、数時間で元に戻るし、範囲も狭いから、人がいない今なら問題ないと思うよ」

ああ、それでバランス。てか、数時間で国が滅ぶのかよ・・・。自然災害こわっ。

「で、使えるときに使っとこうと思って」

「ん?てことはなんにでも変化できるのか?」

「だから変化じゃ・・・いや、もういいや。えっとね、なんにでもなれるわけじゃないんだ。何通りか種類があるくらいかな」

「へー。種類があるのか」

「ま、いつか見せる時があると思うよ」

今は見せてくれないんだ・・・。

「何を残念そうな顔をしているのさ。あとの楽しみとしてとっておけばいいじゃないか」

「いや、その気持ちはわからんでもないんだが、でもやっぱりなぁ」

見たいという衝動はなかなかおさまりそうにない。

「君は小学生か」

呆れ顔でいわれてしまった。なぜだろう。一気に衝動は心の奥底に封印された。

同年代とか年下に言われると悪いことしたな~とか思うけど、年上とか凛とした人とかに言われると、

あ、スイマセン。みたいな感じになるよね。

そんなことをしているうちに一時間以上もの時間が過ぎていた。楽しい時間は早く過ぎるものという相対性理論は本当らしい。

しかし、俺達は気が付いた。マドカ達が全く来ないことに。

おかしい。かれこれ一時間も経っているのに別れて数分の俺達の所へ着かないということは、何かあったのだろうか?

正確な場所は伝えなかったけど、あの二人なら魔力探知で見つけられるとか言ってたし、それでも来ないってことは本当に何かあったのかな?

「う~ん。少し外の様子でも見るか」

そう言って俺はまた窓の外を見る。

「あれ?」

微かに感じる違和感。

「ん、どうしたの?」

「なにか嫌な予感がする」

言うならば、漫画でしか見たことのないような状況にいる俺の予想は漫画などで得た知識に基づいている。それは本当に、ほんの少しな違和感。何かあるんだけど、それが何かはわからない。

「さっきから外の音が聞こえない?」

「だって人がいないんだから当たり前じゃない?」

「いや、だってたとえ人が居なくたって何かの音はあるはずなんだ。風でも何かが倒れる音でも。火だって少しくらいは音がするはずだ」

「でも、実際聞こえないんだから音がしてないんじゃない?」

「いや。可能性はいくつかある」

一つ目。俺達の居る建物が音が聞こえないほど頑丈な物である。

しかしそれだとマドカ達が来ない理由はわからないが、それが一番現実的だろう。

二つ目。何か別の音が混じっている。

これは、人には聞こえない程度の音域が周囲から聞こえることで、感じることはできないが、周りの音が聞こえにくくなっている可能性がある。ということだ。

でも、それだと何が発信源かわからないし、マドカ達が来ない理由もわからないのは一つ目と同じだ。

では最後に三つ目。俺達が魔法によって何らかの妨害を受けている可能性。

これが一番可能性が無いかな。まず、魔法によって何か影響が受けているからむしろマドカ達が真っ先に来るはず。でも音が聞こえない理由にはなってるんだよなぁ。魔法がありだからいろんな可能性があるし、魔力探知に引っかからない魔法だったらそれこそ三つ目の可能性はかなり上がるし。

でも、もし魔法で音を聞こえなくされたとしても、それをする理由がそもそもないんだよなぁ。

「ふむふむなるほど。可能性はいろいろ考えられるし、敵の攻撃の可能性も少なくは無い、と」

「可能性の話だし、確認しない事にはわからないけどな」

外を確認するために用心しつつ、扉を開ける。

そうそう、忘れてるかもだけど、アリシャは部屋のベットに寝かせていて、まだ起きる様子はまったく見られないぞ。

普通、予想することってのは、現実にありそうなこととか、経験則から来るものであり、まったくの突拍子の無い事には予想なんて、有っても無くても関係ないようなものだ。

今その話をした理由がわかるかい?

俺達はその建物と、その少し周りの地面だけを残して、別空間に閉じ込められてしまっていたからさ!


残り時間・・・十四時間

ゆっくりと、しかし確実に時は動き続ける

改めましてこんにちわ。河異零次です。

今回の話はどうでしたかね?二つ、ないし三つの班で別行動。つまり物語が色々な人物の干渉で成り立つ話を目指しています。

最近はいろいろ新しい試みにチャレンジすることが増えました。

さて、今回はこの二人です。

マ「はいは~い皆さんゆうばる~。今回出番が無かったマドカと~」

イ「今回戦闘パートだったイソラだ」

マ「イソラさん今回は大変だったね」

イ「まったくだ。あいつ、雨よけを武器にするって、どんな神経してんだ」

マ「まあまあ。」

イ「で、今回投稿が遅れた理由は?」

マ「え~と、前回から続く風邪。五月から急に増えた小テスト。授業を聞かずに小説書いてる作者に当然受かるはずもなく、ノートに書いてるので、話は溜まっているのにパソコンに打たない日々が続き、それに加えネットの通信障害。やる気は最低に。最後だけはパソコンで完成させたいので次の話も書けず、まぁ最初はひと月に一本のペースの予定だったので、十分に早く出せてるのかな?状態です」

イ「ああ、だからあいついつも帰ってきたら『俺は日本人だから英語とか知らねーよ!』って叫んですぐに寝てんのか」

マ「四時半に帰ってきたら七時まで、部活で八時を過ぎれば夕飯を食べないで寝た日もあったみたい」

イ「・・・あいつもあいつで苦労してるんだな」

マ「まあ体を壊さない程度に頑張ってほしいですね」

イ「てかいい加減に授業中に小説書くのやめろよ・・・」

マ「もう諦めが入ってるみたいです」

イ「まあ、次も早く出せることを願おうか。では次回も」

マ「お楽しみに!」

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