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第十話:無敵、それはとにかく強いこと

こんにちは、河異零次です。

またまた二週間の締切ギリギリでしたね。

次回は遅れるんじゃないかとドキドキです。

それでは本編です。どうぞ

「いや~。まさか別世界に飛ばされるとはな~」

俺はタカ。平凡な勇者やってる男の子。現在別世界にて元の世界に戻る手段を講じています。

「そもそも別世界ってなんだ?異世界とは違うのか?」

その質問に答えてくれるのは俺の相棒ともいうべき存在、エレンだ。現在彼女は大人バージョン(今決めた)に変化へんげしている。実際は変身と言うらしい。・・・なんかカッコいい。

「別世界が異世界と違う点は、基本構造がが同じか違うかの違いだよ」

「???」

「・・・簡単に言えば、さっきいた世界がAの世界をすると、君が元いた世界をB。さらにその他の世界をC、Dとおける。君はBからAの世界に来た。これが異世界に行くという事だ」

「ふむふむ」

「でも別世界は、AからA’の世界に行くという事だ。もっと簡単に言えば、場所は同じところにあるけれど、まったく違う空間にある。これが別世界さ」

異世界はそもそもある場所が違うってことで、別世界は、同じ場所にいるのに空間が、つまり存在している場所が違う。ってことかな?

「うんうん。君は分からないことはたくさんあるけれど、理解が早くて助かるよ。」

勉強は苦手だけど、なんかモンスターの名前とか、行動パターンとかは覚えちゃうんだよな。人間って不思議。

「さて、異世界と別世界の違いが分かったところで、どうやって出るかを考えようか」

「そうだな。このまま永久にとかだったら食料とかじゃなくて退屈で死にそうだ」

「ハハッ。じゃあもう死んじゃえば?今死ぬのと後で死ぬのなんて変わらないよね?」

・・・え?

「危ない!」

エレンが俺に向かって蹴りをかましてくる。いや、正確には俺の頬をかすって、その後ろへだ。

「・・・水色と白の縞々」

「今そんなこと言ってる場合じゃないよね!?てか今の一瞬でよく見えたね!?その動体視力をもっと別のところで使って欲しいよ!」

「いやほら、だってミニスカでハイキックとかしたら見えちゃうのは仕方ないよね。俺は悪くない。うん、俺は悪くない」

「そんな自分を正当化しないでくれよ・・・」

「いてて・・・。まったく、僕の腕が折れたらどうするのさ」

後ろを振り向くと壁に穴が開いていて、さっきエレンが蹴りを入れた人物が腕をぶらんぶらん振っていた。

「おいおい、相手はガキかよ」

それは百五十センチいくかいかない位の少年だった。

「油断しないでね。アレ、結構強いから」

「そうか?そんな風には見えないが・・・」

どっちかっていえば隙だらけな気がする。

「だから強いんだよ。さっき彼は君を殺すつもりだった。つまり、君しか見てなかった・・・・・・・・・。僕のことなんか見向きもしなかった。なのに僕の蹴りにいち早く反応し、防御の姿勢を取った」

「今回僕はこの姿でサポートさせてもらう。君はその子を使って」

エレンは俺の背中にある剣を指す。

「わかった。やばくなったらすぐに俺の所に戻ってこいよ?」

これは、ピンチになってもエレンなら、俺の中にしまうことができる。つまり、一時的に安全圏に入れることができる。

「それをするとアレの相手は君一人になっちゃうじゃないか」

「お前がなんとか復帰するまで俺が耐える」

キメ顔でそう言うとエレンはため息をつきながら、

「どうして君はここで『俺が一人で倒す』位のかっこいい言葉が出てこないのかなぁ」

「いやだって、俺弱いし」

「それは知ってるよ。だけどさ、やっぱそれくらい言ってくれないと、かっこがつかないじゃないか。一応僕の主なんだから、しっかりしてくれよ」

「え、何それ初耳なんだけど。何?俺お前の主だったの?」

「そうだよ?あれ?言ってなかったっけ」

「うん」

「いや、いい加減僕に突っ込んでくれよ」

吹っ飛ばされた少年がこっちに声を掛けてくる。

「うるせーな。僕っ子キャラが二人もいて、俺しかいないとかわかりにくいんだよ!ちったぁ考えて喋りやがれ!」

「えぇぇ!?まさかの逆ギレ!?僕はどうしたらいいんだ!?」

「・・・俺、とか言えば?」

あ、ダメだ。今度は俺と被る。

「やっぱ今の無し。お前喋んな。これ決定事項な」

「えぇぇ!?喋らせてすら貰えなくなった!?」

「あーもうめんどくせぇ。じゃあ語尾に『バーカバーカ』とか付けとけ」

「ふぅ。やっと喋らせて貰える。バーカバーカ」

「「・・・・・・・・(何ともいえない表情)」」

「さぁ!その兵器を渡して貰いますよ!バーカバーカ」

「なぁ」

「うん?なんだい?」

「アイツ、本当に強いのかなぁ」

「実力は多分あるけど、ちょっと、」

「バカだよなぁ」

「うん」

「何をごちゃごちゃと!バーカバーカ」

「あぁん!誰がバカだって!?」

「え~、君が言わせたんでしょうが」

「俺そんな人を馬鹿にするようなことは人に教えません!・・・たぶん、きっと」

「普通に教えてたでしょうが」

「てか兵器ってなんだよ」

「後ろの彼女のことですよ」

「てことはお前」

「はい。彼女の実験、研究に携わっている者ですよ」

「そうか。確認がとれてよかったよ」

「え?」

「これで安心してお前を殺せる」

「は?」

「『流歩りゅうほ』」

流歩は簡単に言えば足運びの技で、文字通り流れる動きで相手に肉薄する。

その途中で背中から剣を抜くことは忘れない。

「お前に慈悲はいらねーよな」

「ちょっ、ちょっとまっ――――――」

「『飛翔雷神ひしょうらいじん』!!!」

剣から電気が放電される。その様はまるで龍のような動きだ。

「チッ!簡単に回収させてはくれないってことですか」

怒りから出た言葉で、実際に殺す気は無かった。殺すつもりで、殺さないように放ったつもりだった。

飛翔雷神は少年に当たった。致死量ギリギリの電気が流れたはずだ。死ななくても確実に気絶するレベルの威力だった。なのに・・・

「どうして・・・倒れていない・・・いや、それよりも、どうして傷一つ・・・・・・・無いんだ・・・・!」

それが間違いだった。俺は始めから本気で殺しにかからなければいけなかった。

エレンが言っていたじゃないか。強いって。本気でやって、倒せるかわからない相手に手加減なんて必要なかったんだ。

「まったく・・・。僕が死んだらどうするんです・・・かっ!」

少年は勢いよく俺の方に飛んでくる。と、思った。

しかし少年は俺を素通りしてエレンの方へ向かった。

「おい!相手はこっちだぞ!」

「あなたより彼女の方が厄介そうだ。先にそっちを片づけさせてもらいますよ」

「ふぅん。きなよ。君は僕の攻撃を何秒耐えられるかな?」

まずはエレンが右ストレートを放つ。見えるか見えないかギリギリの速さで。

しかし少年はそれを受け止めず、腕を絡め取った・・・・・・・

そのまま勢いを殺さずに背負い投げをする。エレンは驚いた顔をしつつ、叩きつけられる前に地面に手を付き、そのまま後ろに二回転して距離を取る。

速い。一つ一つの動作全てが。目で追うのが精一杯な俺が対峙していたら、たぶん背負い投げの時点で叩きつけられていただろう。対応が追い付かない。

「うん。やっぱり君は厄介だ」

「君を一分以内に倒すのは諦めよう。代わりに、五分以内にする」

二人は今の攻防で相手のレベルをほぼ見極めたようだ。俺?わかるかよそんなもん。とりあえず二人は強い。それだけわかれば十分さ。

二人は同時に動き出す。少年はスライディングを掛ける。

エレンはジャンプではなくバックステップで避ける。案の定両足蹴りがジャンプ地点に飛んできた。

エレンは少年の片足を両手で掴み、投げ飛ばす。しかし少年は境界を超えることなく何かにぶつかり波紋が広がる。

元々狭い空間に閉じ込められていたのを忘れていたぜ。

「いたた・・・。まったくその体のどこにそんな力があるんだか・・・」

そこは問題ではない。

「さっきからずっと思っていた。どうして君は今のやり取りの中で、澄ました顔で、余裕そうな顔で、傷一つなく立っているんだい?」

そうだ。ずっと気になっていた。少年は電撃を受けたり、さっきまでの攻防の中で、かすり傷程度だったとしても傷がついていてもおかしくなかったんだ。

「僕は十分間、無敵になれるので」

「おいおい、それチートだろ・・・」

なんだよ。無敵になれるって。そんなの勝てる訳無いじゃん。

「でも十分経てば勝てない相手じゃない!」

エレンがとにかく攻撃を仕掛けて、相手に攻撃させないようにしている。

たとえ向こうにダメージが入らなくても、こっちは消耗するからな。今は攻撃が効かなくてもとにかく攻めることが大事だ。

「あまり僕をなめないで貰いたいですね。いくらあなたが強くても、攻撃が効かない今なら僕は最強だ」

少年は反撃をしようと距離を取る。

「そうはさせない!」

エレンが距離を詰める。右ストレートからの裏拳、左足の蹴りからの左手でパンチ。基本は一回の攻撃で二発の連携技を出しつつ、相手に逃げる隙を与えさせないように、牽制を入れる。

「あまり近くによると、反撃が来ますよ」

「君に反撃する余裕があるのかい?」

「あるさ。あなたは攻撃に専念するあまり気が付かなったみたいだけど」

地面が光り、魔法陣のようなものが浮かび上がる。いや、実際魔法陣なんだけど。

「っ!拘束魔法!?しまっ――――っ!」

魔法陣から鎖(鉄ではない何か)が出て、エレンの全身を縛った。

「エレン!」

「大丈夫ですよ。何もしません。彼女を渡していただければあなた達に危害は加えません」

「くそっ!」

アリシャを渡すのは無しだ。しかし抵抗すればエレンが危ない。

どうする。考えろ、考えるんだ!

その時、頭に声が響いた。エレンの声だ。

『僕は大丈夫さ。多少の怪我なんてすぐに治る。ここでアリシャが敵の手に渡る方がハイリスクだ』

いや、でも

『隙を見て僕を戻せばいい。鎖で動けないけど、君に触れれば抜けられる。その時回収すればいいさ。さ、早くアリシャを助けなきゃ』

いま思いつく選択肢がそれしかない。それしかないのか・・・。

でもな、エレン。俺は人の命に優先順位を付けるつもりはない。どっちも絶対に助ける。でも、大切なものから助けたいって言う気持ちはあるんだ。俺は、お前が大切だ。

『・・・絶対に僕たちを助けてよ?』

もちろんだ。

少年は今こっちに背を向けている。エレンを助けに行くなら今がチャンスだ。

「さて、思ったより時間がかかってしまいましたが、予定通り回収は成功」

「待て」

エレンが背後に隠れるように立つ。後ろからエレンが背中に触れ、俺の中に入る。これでエレンは大丈夫。

剣を構え、立ち向かう姿勢を取る。

「両手が塞がっていては不利ですね。一旦彼女は降ろしましょう」

少年はアリシャを置き、構えを取る。

「相変わらず素手か」

「武器の扱いはどうも苦手でして」

「そうかい」

殴ってもダメ。電撃も効かない。斬った場合はどうなるんだ?

「『流歩』からの『鎌鼬かまいたち!』」

流歩はさっきも使ったし、説明はいらないかな。

鎌鼬は電気の力を相手に向けて使うのではなく、自分に使った・・・・・・

ようは、電気の力で肉体強化を施して、鎌鼬ができるほどの速さで斬った。

「マズッ――――――」

え?マズ?まだ十分経ってないと思うんだが・・・。

体に傷がつく。かすり傷だが、確かに傷がついた。

感じる違和感

無敵になれる?ならマズイなんて言葉はとっさに出てこないはずだ。それにわざわざ避ける必要は無い。だってダメージはゼロ固定なんだから。ならなんでそんな言葉が出た?

『もしかしたら、彼の能力は無敵になることじゃないかもしれない』

俺もそう思う。

『君はどう思う?』

憶測だけど、『相手の意識で強さが変わる』ってやつだと思う。

『それなら、初めにあった手ごたえが、無敵と聞いてから無くなったのも納得できる』

つまりアイツは勝てないと思ったら、どんなに努力しても勝てないんだ。

だから初めから絶対に勝てないと思うように、無敵だとか適当な言葉で勝てないと思わせた。

十分とか、あえて時間を設定したのは、『十分経ったら攻撃できるはずなのに、まったく効いてない。これは勝てない』と思わせる為だろう。

「おや、拘束していた彼女が消えていますね。まさか拘束魔法を抜けるとは。ま、僕には何をしても無駄ですが」

やっぱりだ。勝てないように思い込ませてる。

「その表情は、気付いたようですね」

「ああ、つまりお前を雑魚だと思えば雑魚になる。っていうわかりやすい展開になってくれると助かるんだが」

「困りますよ。この幼さで現場に出られるのはこの能力のおかげなんですから。タネがばれたら撤退ですよまったく」

アリシャを連れてかれないように睨み付ける。

「大丈夫ですよ。もう僕は無力に等しいですからね。デコピン一発で気絶する自信がありますよ」

デコピンで気絶させてやろうか。

「僕が気絶したら結界は解けませんよ?いいんですか?」

むぅ。それは困る。

「結界を解くので、見逃してもらえませんかね?」

「仕方ない。さっさと解け」

「はい」

その時だった。

物凄い光と爆音と共に一本の巨大な光の柱が結界を貫き、破壊した。

「第一段階・・・終了・・・時間の流れの問題か・・・」

少年は唖然と何かを呟いている。

しかし、問題なのはそこじゃない。

「アリシャ・・・だよな」

アリシャに羽が生えて、空中に浮かんで、いや、飛んでいたんだ。

意識は無いのかぐったりとしているが、それでも確かに飛んでいる。

「おいおい、どうやってこんなの止めんだよ」

さっきの光線撃たれたら即死だぞ。

「あれ?タカ君?」

少年と戦う前は家の中で待っていた声が今掛けられる。

「え?マドカ?」


残り時間・・・十二時間

さあ、ここからが本番だ

改めましてこんにちは。河異零次です。

次回こそはマドカが出てきますよ。メインヒロインを二話も放置した物語なんていっぱいありそうだけど、なかなかなさそう。

では、今回はこの二人です。

タ「どうも~。みなさんゆうばる~。今回戦闘をほとんどしてないタカと~」

マ「出番すらほとんどないマドカだよ~」

タ「この二人でトークするのは久しぶりなんじゃないか?」

マ「五話以来、っていうと微妙だけど、一ヶ月以上経ってるからね。久しぶりなんじゃない?」

タ「最近はエレンがヒロインみたいな扱いになりつつある気がするんだが」

マ「おかげで私は干され気味だよ・・・メインヒロインなのに・・・」

タ「ま、まぁ今回くじが当たって良かったじゃないか」

マ「作者めぇ」

タ「さ、さて次回はどうなるのかな?」

マ「残り時間ってやつも半分を切ったし、これからって感じだね」

タ「~編ってつけるとしたら、今回かなり長いよな」

マ「もう五話目だからね」

タ「それで半分って・・・。予定と違いすぎだろ作者。何が長編だよ。超長編だろ」

マ「いや、周りの人からしたらそれが普通なんだけどね」

タ「話の終わりが見えねぇ」

マ「じゃあ締めようか」

タ「ん、了解。それじゃ、次回も」

マ「お楽しみに~」

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