23 ブラック寮
わたしはショタキャラを諦め、ナルキャラでいくことに決めた。ナルちゃんを常時展開させておくだけでいいしね!
自己紹介も終わり、なんか面倒な学園の説明とやらも終わり、今日はもう解散の流れのようだ。
寮に帰り、次は寮のルールとやらを叩き込まれるらしい。
寮は大きく分けて5つ。
正義感の強いレッド、冷静沈着なブルー、明るく元気なイエロー、癒し系ホワイト、個性派揃いのブラックである。
入試のとき、なんかすっごい面倒なマークシート式の性格調査されたんだけど、それを元に分けられてるらしいよ?
わたし?勿論ブラックですよ。個性派って言ってるけど、実質どれにも当てはまらないのをまとめただけだろうね……
島の真ん中に学園があって、時計でいう11時から1時は森とかの演習場になってて、1時から3時はレッド、その次にブルー、イエロー、ホワイト、ブラックの順に等分されたように寮がある。寮といってもほぼ町だとおもってくれればいいよ。1年次は男子寮と女子寮1棟ずつに全員入るけど、2年次からは能力次第で家に配置されるから。
さてさて、寮長を待つ間に彼に話しかけてみよっかな?
「ねえ、ヒドゥーキだっけ?ぼくはレイト、ブラック寮だよ。君はどこの寮か教えてくれる?」
上から目線でちょっと高飛車に言い放つ。おっさんはキョトンとした顔でわたしを見上げた。
「……俺もブラックだ。よろしく。」
「うん。君、料理が得意って言ってたけど、ほんと?」
「ああ。」
「ぼく、味噌とか醤油っていう調味料を探してるんだけど、知ってる?」
あるよね?煮物に醤油っているよね?味噌もお願いします!
10年も味噌も醤油も口にしてないなんて!種族的に塩っぽいものなくても生きていけるけど、精神的にムリ!まさにソウルフードだよ〜。
「持ってるぞ。俺の国でしか扱ってないらしい。よく知ってたな?」
やった!絶対仲良くなる!
「本で見たんだ。どんな味がするのか興味あるな。」
「へえ、お前、甘族だろ?珍しいな。」
おっさんはわたしに興味を持ってくれたようだ。第一段階突破!おめでとう、わたし。
おっさんの言う「珍しい」は甘族が珍しいっていうのと、甘族が食に興味を持っているのが珍しいっていうの、どっちもっぽい。
わたしの種族である甘族は基本甘いものしか食べない。魔力の質も燃費もいいので食事しない者もいたりする。下手に食事すると魔力の味が変わってしまったりもする繊細な種族なのだ。しばらく絶食したら戻るけど。
わたし的には丈夫な種族だとおもってる。魔力供給なしで絶食してても死なないし。この世界で一、二を争う長寿だし、老いないしね!
マジ、ビビるよ!老衰でも見た目若いんだよ!魔力がある程度多くなると成長止まるんだってさ。
だからわたし気を付けてるんだよね〜。永遠のショタっこも憧れるけど、この美貌はおとなになってからが真髄だとおもうし〜。あえて魔力増やさないようにしてるんだ〜。
「まあね。みんなは食事に興味ないみたい。魔力美味しいしね。でもぼくはいろんな味を知ってみたいんだ。」
この世界の人は甘族ほどではなくても食に対しての意識が低い。
魔力はそりゃ美味しいよ?でも、自分で手軽に作れたらどんなに便利か。食べたいときに食べたい味を自分で作れたらどんなに幸せか!いろんな味の記憶があるわたしにはこの世界の食事情は耐えられない。
この学園で美味しい人脈作りと美味しい料理作り、どっちも外せないんだから!




