16 兄あらわる
ハーレムを夢見てたこともありました。
今、たいへんなことになっております。
「レイト!お前、隣国のティアキ姫と婚約するってほんとか!?」
「レイト……いったいいつの間に……お兄ちゃんに詳しく教えてくれる?」
午後の授業が終わり、ひとりお茶をしていると、突然両脇にイケメンが。
気配に気づかなかった!危うくお茶を吹き出すところだったよ!
お茶にむせそうになっているわたしに構わず、イケメンふたりは丸テーブルの空いている椅子に座った。
クリーム色の肌に焦茶の目、金髪のふたりは全く同じ顔をしている。同腹の兄たちである。
見分け方はヤンチャ系でマッシュっぽい髪型をしているのがサブレ、おっとり系でツーブロックがクッキーである。
彼らは双子で、わたしより7つほど年上だ。イケメンうまうま。
「兄さま、一体どこからその話を?まだ婚約するとは決まってません。」
これは事実。まあ、姫から熱烈なアプローチを受けてはおりますがね。
「まだ、ってことはいずれするんだろう?」
クッキーが呆れた顔で呟く。
「母上から聞かされたんだ。大丈夫なのか?」
サブレは心配そうにこちらを見てくる。
それもそうだろう。隣国のティアキ姫は彼らよりも上の兄であるカスタードの婚約者候補だったのだから。
カスタードも同腹の兄であるが、サブレ、クッキーと違ってあまり仲はよくない。それというのも、どうも奴はわたしがモテるのを妬んでいるようなのだ。
わたしが生まれるまでは奴が王子の中で一番モテていたようで、その地位を脅かすわたしをライバル視している。
わたしはわたしで、名前をズルいとおもっている。プリンス・カスタードってカッコいくない?
わたしたちの父である王はプリンだ。クリーム色の肌に焦茶の目と髪をもつおっとりしたおじさま系。
その正妃が母のクリイム。真っ白な肌に銀髪銀目の女王様と呼びたくなるような美女!実際、カアサマは側室たちの女王様である。「お姉様」と呼ばれているのをわたしは知っている……
わたしたちは魔力の親和性が重要で、その相性は味覚で判断できる。
合わせたときに美味しいイコール親和性が高いということ。
お気付きかとおもうが、わたしたちは名前の通りの味がする。そして、その相性も大体想像がつかないかな?
クリームとかの甘味ならなんでも合うような魔力の持ち主はそりゃあもうモテる。
母のクリイムは生クリームっぽい味で父との相性も抜群だが、フルーツやアイスといった系統の側室たちを纏めるのもドンとこいといったところだ。後宮は母のハーレムである。わたしの目標!
その息子であるカスタードもモテた。ちょっとしつこい安っぽさはあるが、まあモテる。見た目は黄色味が強いクリーム色の肌に金髪茶目。タレ目でキザっぽいところが鼻につく。まあモテるけど。
そしてわたし。まじモテます。モッテモテです。魔力量はまだそんなにないんだけど、どうも魔力に魅了の成分が多く含まれている模様。チョコって恋愛成分だっていうらしいしね!
カスタードは隣国のティアキ姫が本命だったのかな……
基本放任主義のカアサマが口を出してくるくらいだから、これから厄介なことになるんだろうな……




