12 ステータス
わたしのステータスには「勇者になる」と記載されている。
このステータスというものは便利なもので、自分の能力が大体わかるようになっている。そして、他人のものは基本見れない。
この世界の誰もが自らの持って生まれた能力を知ることができる。
前の世界で、自分の能力がわかってたら就職にも困らないし勉強も効率よくできるんだろうなあ、と考えたこともあったけど、実際になってみると、それがいかにアホな考えであったか……
ステータスは変化するものであるが、持って生まれたステータスの差というものは無視できない。
ここで生まれる超格差社会!能力主義に裏打ちされた絶対君主制である。
ステータスは遺伝からスタートするので能力の高い両親からは能力の高いこどもが生まれやすい。元から能力が高いところからそれに合った最適な教育を受けた王族たちに敵うものはいないだろう。
平民に稀に両親や祖先のいいとこどりをして高ステータスで生まれる子がいることもあるが、大抵の場合、貴族に引き取られる。隠すことはできるが、クーデターの夢を持っているとかでもない限り、いいやり方ではないとだけ言っておこう。
わたし?王族ですがなにか?
それではステータスの表示の仕方を説明しようか。
まず、言葉が喋れるようになることが最低限必要な条件である。
ステータスは「ステータス」とステータスの表示を念じながら発声することによって閲覧可能になる。その表示は人によって異なるようで、頭の中に浮かぶと言う人もいれば、天の声が降ってくると言う人もいる。他にも色々あるらしい。ステータスは自分にしか見られないものなので、本当かどうかはわからないけどね。
ちなみにわたしは本型だ。辞書みたいなのが現れる。黒革の表紙にページ数625のマジ辞書だ。索引が付いているのが救いである。自分辞書……最初見たとき引いた。辞書だけに。
これは不思議なことにちゃんと質量がある。他の人には白紙に見えるらしいけど。いざという時には鈍器として使えるね!わたしから離れると消えちゃうけど。
訓練したら身体のどこからでも現れるようになった。無駄に便利である。これで包丁で刺されそうになっても安全だね!




