11 勇者になる
勇者ってなんだよ!わたしは勇者にはなりたくないでござる。
わたしが勇者になるという。これをわたしに教えてくれた、いや、押し付けてくれやがったのは、俗にいうカミサマ。多分。
カミサマはわたしに勇者という役割をお与えになった。
しかし、わたしは勇者にはなりたくないでござる!
カミサマはわたしとしかコンタクトを取れないようなので、わたしが勇者にならなければ、わたしが勇者になることは誰にも知られず終わるだろう。勿論、終わるのは世界ではない。わたしの人生が、だ。
カミサマは胡散臭いやつで、なんかごちゃごちゃ言ってたけど、ほとんど覚えてない。だって胡散臭いし。
カミサマ、と呼んでるけど、これもやつの自称であるし、そもそも姿も見てない。声を聞いたわけでもなく、思念?なのかな?
夢の内容は覚えていられないものだけれど、起きてすぐに覚えていようとすれば概要くらいは覚えていられるでしょ?そんなかんじ。
わたしを疑わないでほしい。これはわたしの妄想ではないのだ。
証拠に、わたしのステータスにはしっかり「勇者になる」と記載されている。「になる」ってなんだ!将来の夢かよ!っておもったけど、わたしはこれに救われている。つまり、今現在勇者ではないのだ。いつなるかも書かれていないので、回避可能なのだ。で、あってほしい……




