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ある指揮官のお話  作者: たっけ少佐
プロローグ
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プロローグ

一人称から三人称に変えました。

 韓国軍の大部隊が対馬に上陸した。


 統合参謀本部にこの報告が来たのは韓国軍上陸直後のことだった。対馬に駐屯している国防陸軍対馬警備隊は直ちに応戦したが、韓国軍は規模が大きく、満足な抵抗はできないでいた。


 日本政府は直ちに韓国政府に抗議をしたが、韓国政府は『対馬は我が領土である』とだけ返答した。このことが報道された途端、日本国内で対韓国戦争の機運が高まり、それに押される形で日本政府は韓国に宣戦布告をした。



 これにアメリカは当初、傍観をした。日本と韓国は両国共に同盟国であり、下手に手を出すわけにはいかなかった。


 しかし、中国が韓国と共に日本に宣戦布告すると事態は急変した。


 中国はこの戦争を機に東アジアにおける覇権を確立させようと考えていた。もちろん、それをアメリカが見過ごすわけがない。アメリカはすぐに、日米同盟を口実に韓国、中国に宣戦布告した。


 すると、その漁夫の利を得ようとロシアが東アジアの安定を名目に軍を中国に進めた。これに対し、中国がロシアに宣戦布告したため、ロシアは結局、日本、アメリカ側で参戦する。


 こうして第三次世界大戦が勃発した。




 福岡県春日市。ここには国防陸軍第4師団が守りを固めていた。と言っても、第4師団のほとんどの隊は九州北部に上陸してきた韓国軍、中国軍との戦闘で壊滅状態にあり、第6師団でまともに機能にしているのはここ春日駐屯地に元からいた司令部及び司令部付隊、第19歩兵連隊、第4後方支援連隊、第4通信大隊、第4偵察隊、第4特殊武器防護隊と久留米駐屯地から移動してきた第4砲兵連隊第5大隊、第4高射大隊第2中隊、玖珠駐屯地から移動してきた第4戦車大隊第4中隊だけであった。


 福岡市の周りには韓国陸軍第11機械化歩兵師団、中国陸軍第1装甲師団が展開しており、睨み合いが続いていた。



 事態が動いたのは睨み合いが始まって1週間後のことだった。第4偵察隊が韓国軍と中国軍が大規模な攻勢に出る準備を進めていることを確認した。これに対して、第4師団司令部は敵軍が準備を整える前にこちらから奇襲をかけることを決定し、第19歩兵連隊第1中隊、重迫撃砲中隊、第4砲兵連隊第5大隊第13中隊、第4戦車大隊第4中隊をまとめで福岡戦闘団を結成した。そしてこの戦闘団の指揮を第19歩兵連隊の隊長であった近衛良太大佐に任せた。



『こちら第13砲兵中隊。これより砲撃を開始する。』


 戦闘は第4砲兵連隊第13中隊―――便宜上、第13砲兵中隊と呼ばれた―――の20式155mm自走榴弾砲の砲撃から始まった。その後、重迫撃砲中隊による砲撃も始まる。


 その榴弾砲、迫撃砲による砲撃合戦の中、第4戦車大隊第4中隊―――第13砲兵中隊と同様に第4戦車中隊と呼ばれた―――の10式戦車が敵陣に向かって突撃を始めた。その後方に第19歩兵連隊第1中隊―――こちらも第1歩兵中隊と呼ばれた―――の兵士たちを載せた22式装甲戦闘車が続く。


 これに対し、韓国陸軍第11機械化歩兵師団は福岡戦闘団が来た方向に戦力を集中させた。中国陸軍第1装甲師団は逆に別働隊を警戒して師団司令部に戦力を集中させた。これが両師団の命運を分けることとなる。


 韓国軍と第4戦車中隊及び第1歩兵中隊―――便宜上、前線部隊と呼ぶ―――が交戦を開始したのは戦闘開始から2時間後だった。第1歩兵中隊は第4戦車中隊と22式装甲戦闘車を盾にしながら進行した。韓国陸軍の装備はほとんどアメリカ製のものであり、日本国防軍の将兵にとっては慣れ親しんだものだった。そのため、兵力は圧倒しておきながら、韓国軍は押され始めた。すると、韓国軍は中国軍に支援を要請した。これに対し、中国軍は支援として1個戦車大隊をまず派遣し、戦力を前線に移動し始めた。このとき、中国軍は交戦中の福岡戦闘団の規模と春日駐屯地を監視していた部隊からの報告から別働隊はいないと判断したのだ。


 福岡戦闘団の前線部隊と韓国軍が交戦し始めてから3時間後、中国軍本隊が前線に到着した。すると福岡戦闘団の前線部隊は突然、撤退し始めた。それも戦略的撤退ではなく、敗走の態をなしていた。これに対し、被害の大きい韓国軍はそのままその場に留まり、中国軍が追撃を始めた。前線部隊は一応、殿を務める部隊が抵抗を続け、砲兵隊による支援砲撃も続いているが、それだけだ。中国軍はこれは福岡戦闘団の完全な敗走であると考えていた。

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