『狸にかみ砕かれたプレスマン』
掲載日:2026/07/13
ある女が、庄屋様の御用で隣村に出かけ、背負子一つ分の荷を背負い、八幡様にお参りして、帰ろうとしたとき、ふいにあたりが暗くなって、何も見えなくなりました。ぶつかったり転んだりはしませんが、行けども行けども真っ暗で、村に帰り着きません。不安になったころ、遠くのほうに明かりが見えました。女が、小走りに走ってみると、その明かりは灯籠の明かりで、灯籠は、八幡様の灯籠でした。女はびっくりしました。家路を急いでいたつもりが、どこからか逆戻りしていたのです。女は情けなくなって、背負子を下ろし、ため息をつきかけて、もう一度びっくりしました。背負子の荷がなくなっているのです。背負子一つ分のプレスマンが、そっくりないのです。女は大泣きしました。心配して、通りかかった男がどうしたのか尋ねてくれ、女が事情を話すと、それは狸のしわざで、人間が持っている食べ物をねらって、背中に乗って目隠しをするのだ、と教えてくれました。
女が、仕方なく、帰り道を戻ると、途中に女の荷物が捨ててありました。一本だけかみ砕かれていましたが、それ以外は無事だったので、いい勉強になったと思いました。
教訓:魚でも鳥でも動物でも、口に入れると、食べ物かどうか判断できるという能力があるのがすばらしい。人間の赤ん坊は、もう少し鈍い。




