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光を灯す。それが、何色であっても。 -短編集-

結晶の光を抱いて、共に。

作者: あるふぁ.txt
掲載日:2026/06/10

遠くで雨音がする。



何時もの泣き声は、しない。



その代わりに、隣で穏やかに眠る君が居た。



…めずらしい。何かあったんだろうか。



明日の朝、なにか聞けるだろうか。









明日?今日でも変わらない。



もう、俺らに朝日を眺める権利は、ない。



でも、俺らは幸せだ。



君以外の全てを捨てた。



地位も、名誉も、信頼も、全ての中心だったはずの金すらも。



それでも、俺は幸せだ。



幸せだった、なんて言わない。君にも言わせない。



なぁ、幸せだろう?君が言っていたじゃないか。



「幸せって、なんなの?」



ほら、君が今経験していることだよ。



穏やかに眠る君を眺めるだけでは飽き足らず、頬をつつく。



何時もの温かさは、もうない。



…先にいっちゃったかぁ。



大丈夫。すぐ俺も追いつくよ。



遠くの雨音が、さらに遠ざかる。



つい先程まで痛かった、逆に曲がった足も、身体を打ち付ける水滴も、



もう、なにも感じなくなる。



じゃあ、こっちの世界での、最後のプレゼント。



全ての力を注ぎ、手に雨粒を集める。



君の顔に、雨粒をかける。



「居た!居たぞ!まだ、生きて...」



沢山の水滴で濡れた君は、懐中電灯の光で結晶のように美しく輝く。



やっぱり、君はこうじゃなくっちゃ。



こんな君を独り占めできるなんて、俺...



最高の幸せ者だ。



さてと、皆が追いかけて来ちゃったね。



遅れちゃってごめん。約束、ほんのちょっとだけ破っちゃった。



約束に遅れても、破っちゃっても、



何時も君は笑っていた。



俺と一緒なのが、君の幸せだもんね。



さてと、俺もそろそろ着くよ。



待たせちゃってごめんね。



もう、指一本動かないや。



君も一緒だったでしょう?









…ねぇ、へんじしてよ。



ねぇ、きいてる?



ねぇ、しあわせだよね?



ねぇ、おれのことしかみてないよね?



ねぇ、はなしてよ、



なんで、うごかないの?



なんで、こうなったの?



もうおれ、こわいよ。



なんで、なんで、なんで?



もう、わかんない。











望んだのは、君だからね。

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