結晶の光を抱いて、共に。
遠くで雨音がする。
何時もの泣き声は、しない。
その代わりに、隣で穏やかに眠る君が居た。
…めずらしい。何かあったんだろうか。
明日の朝、なにか聞けるだろうか。
明日?今日でも変わらない。
もう、俺らに朝日を眺める権利は、ない。
でも、俺らは幸せだ。
君以外の全てを捨てた。
地位も、名誉も、信頼も、全ての中心だったはずの金すらも。
それでも、俺は幸せだ。
幸せだった、なんて言わない。君にも言わせない。
なぁ、幸せだろう?君が言っていたじゃないか。
「幸せって、なんなの?」
ほら、君が今経験していることだよ。
穏やかに眠る君を眺めるだけでは飽き足らず、頬をつつく。
何時もの温かさは、もうない。
…先にいっちゃったかぁ。
大丈夫。すぐ俺も追いつくよ。
遠くの雨音が、さらに遠ざかる。
つい先程まで痛かった、逆に曲がった足も、身体を打ち付ける水滴も、
もう、なにも感じなくなる。
じゃあ、こっちの世界での、最後のプレゼント。
全ての力を注ぎ、手に雨粒を集める。
君の顔に、雨粒をかける。
「居た!居たぞ!まだ、生きて...」
沢山の水滴で濡れた君は、懐中電灯の光で結晶のように美しく輝く。
やっぱり、君はこうじゃなくっちゃ。
こんな君を独り占めできるなんて、俺...
最高の幸せ者だ。
さてと、皆が追いかけて来ちゃったね。
遅れちゃってごめん。約束、ほんのちょっとだけ破っちゃった。
約束に遅れても、破っちゃっても、
何時も君は笑っていた。
俺と一緒なのが、君の幸せだもんね。
さてと、俺もそろそろ着くよ。
待たせちゃってごめんね。
もう、指一本動かないや。
君も一緒だったでしょう?
…ねぇ、へんじしてよ。
ねぇ、きいてる?
ねぇ、しあわせだよね?
ねぇ、おれのことしかみてないよね?
ねぇ、はなしてよ、
なんで、うごかないの?
なんで、こうなったの?
もうおれ、こわいよ。
なんで、なんで、なんで?
もう、わかんない。
望んだのは、君だからね。




