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『【トラウマ確定】地図にない村で地蔵を壊した僕たちは、スマホ越しにしか見えない「それ」に順番に食われていく』  作者: ゆっきー


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6/9

第5話:自動更新される死:ハッシュタグは「遺言」

 前書き:

 死んだら、SNSのアカウントはどうなると思いますか?

 この村では、あなたの意思に関係なく「更新」され続けます。

 ……ほら、あなたのタイムライン、一分前に「死んだはずの誰か」が投稿していませんか?


 本文:


 車内は、完全な静寂に包まれていた。

 かつて美波だった「石の塊」は、スマホを握りしめたまま、満足げな笑みを浮かべた形で固まっている。


 勇人は震える手でドアを離れ、暗闇の中を走り出した。

 だが、ポケットの中でスマホが震える。


『美波:おすすめのスポットを共有しました。目的地まで徒歩五分です』


 画面には、美波のアイコンから勝手に送られてきたナビゲーションが表示されていた。

「やめろ……もう、放っておいてくれ!」

 勇人が電源を切ろうとしても、ボタンは反応しない。それどころか、スマホ本体が異様な熱を帯び、手のひらの皮が焼けるような痛みが走る。


「……勇人……くん……こっち……だよ……」


 スピーカーから流れるのは、ノイズ混じりの美波の声。

 逆らえば殺される。本能的な恐怖に突き動かされ、勇人はナビに従い、村の中心部へと足を踏み入れた。


 そこで目にしたのは、狂気の光景だった。


 村の広場を埋め尽くす、数十体の石像。

 彼らは一様に、スマホを顔の前に掲げ、最高の笑顔で自撮りをするポーズのまま固まっている。

 驚くべきことに、彼らが持つスマホの画面は、今も青白く光り輝いていた。


 チリン、チリン、チリン――。


 無数の通知音が、まるで吸血害虫の羽音のように広場に充満している。

 勇人が恐る恐る一体の石像の画面を覗き込むと、そこには今この瞬間の「自撮り写真」がアップロードされていた。


『#■■■村 #貸し切り状態 #新しい友達が来たよ』


 写真の端には、怯えた表情で広場に立ち尽くす――自分自身の姿が写り込んでいる。

 石化したはずの彼らは、電子の幽霊となって、今もなお「観測者」を求めて発信を続けているのだ。


 勇人のスマホのコメント欄が、爆発的な勢いで更新される。

『あ、新しい生贄アカウントだ』

『今回のやつ、いつ石になるかな?』

『賭けようぜ、次は左足からだ』


 肉眼では見えない。だが、スマホのレンズを通すと、石像たちの掲げるスマホから、**青白い「認識の糸」**が何条も伸び、勇人の体に絡みついているのが見えた。


「ログイン……継続中……」


 どこからか聞こえる、大勢の、重なり合った声。

 石像たちのスマホのライトが一斉に勇人を照らし出す。


 逃げ場はない。

 この村そのものが、巨大な「スタジオ」であり、逃げ惑う勇人は、世界中の悪意に晒された「コンテンツ」に過ぎなかった。


 後書き:

 石像たちは、今も「いいね!」を待っています。

 彼らの投稿にリアクションをした瞬間、あなたの座標も「認識」されるかもしれません。

 ……さっき、何気なく押したその「いいね!」、本当に安全ですか?

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