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一夜。-02
「こんばんは」
柔らかな、低めの声がした。
あの出会いからたまにこうして、約束をしたわけじゃ無いのに、偶然なのか2人の何かが重なった時、この駅の入り口で会うようになっていた。
ただの雨の日には会わないのに、仕事が上手くいった日には会わないのに、こうしてお互い何かに疲れた時に会えてしまう。
今日も君は静かに泣いていたのか、目が赤くなっていた。
『どうして泣いているの?』
そんな事、聞けない。
「行こうか」
もっと聞きたい事があるのに、口から出た言葉はいつもの言葉。
そしていつもの様にお互いの温度に触れ合って、重なって、一夜を共にする。
彼女の温度はとても暖かくて、優しい。
僕も何かを与えれていたらいいな、と、涙を流す彼女に思った。
隣で眠る君に、何か込み上げてくるものを感じた。
それがなんなのか分かるようで、分かりたくなくて、でも知らないふりは出来なくて。




